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勇者side:レイのいないクラス(光輝、隆静)

新しい年が始まりました。

今年もよろしくお願いします。


【我が道】と同時投稿です。

そちらもどうぞよろしくお願いします。

エリヒド王国の王城では『勇者』を含む召喚された者達が訓練を行っていた。


本来のスケジュールであれば今の期間は『試練の迷宮』に潜っている筈だったのだが、零刀が行方不明となってしまった今、すぐに再挑戦させるのは技術的にも精神的にも不安が残るため、技術を付けるために訓練を行いながら自信を付けさせ精神的にも安定し、成長させることを目的としている。


「隆静、今日もよろしくね」


「ああ、全力でかかってこい光輝!」


「行くよ!」


そう言って光輝と隆静は模擬戦を始める。


光輝は『勇者』であるため他のものよりも『ステータス』が高かったため、多少の技術不足は『ステータス』で補うことができていた。

しかし、これからの事を考えると「このままではいけない」と考えた光輝は今まで以上に訓練に打ち込んでいて剣の技術の方もかなり上がってきていた。

それにプラスで今は魔法を少しずつではあるが絡めて戦いの幅を広げていこうとしている。




それに対して隆静は『守護騎士』である上、「誰かを失いたくない、守りたい」という意思が強く盾と剣の両方を扱った技術の向上を目指している。


盾と剣を両方扱うことは難しいことでもあるが使いこなせればシールドバッシュなどのような攻撃もできるので戦いの幅が広がることに繋がる。


「『我求めるは火球』【火球ファイアボール】」


少し剣の間合いから外れたところで光輝が【火球ファイアボール】を撃つ。


それに対し隆静は


「くっ、『魔纏』、〈飛斬〉!」


盾に『魔纏』を施し、盾を巧みに使い【火球ファイアボール】を後方に流し、すかさず〈飛斬〉を使う。

そして〈飛斬〉を躱し、体勢が崩れた光輝に距離を詰めて剣を突き付ける。


「─そこまで!隆静、今のは良かったぞ。光輝は今のは無理して避けずに1回防いでから距離を取るなりなんなりすべきだったな。でも、その前の【火球ファイアボール】は相手が防げば視界も妨げられる。2人とも良かったぞ」


「「有難うございます。アドルフさん」」


審判を務めていたアドルフが模擬戦の終わりを告げ、2人にアドバイスをする。


「それと隆静、あの【火球ファイアボール】を流したのはレイの真似か?」


と、問いかける。


「零刀に戦闘の幅が狭いと言われたことがあったので、すぐに攻撃に移れるという利点もあったので使わせて頂きました」


「まあ良かったが流す時に『身体強化』に魔力を裂きすぎだ。持久戦になったら持たないから気を付けろよ」


「了解」


「では今日の訓練は終了とする!」


そして訓練が終わっていった。


------------------------------------------------------------



「さすがだね、隆静。まさか流されるとは思って無かったよ」


「サンキュ、ていうか、お前いつの間に〈詠唱短縮〉できるようになったんだ?」


「…僕だって強くなるんだ。もうレイみたいな犠牲は出したくない。あの事故・・は僕が弱かったからこそ起きてしまった。だから─」


「─まだレイが死んだって決まったわけじゃないけどな」


まるで、もう既に死んでいるかのように話す光輝に隆静がツッコミを入れる。

ちなみに事故として報告されている。


「─ああ、レイなら生きてるだろうね」


「それよりも心配なのが先生だな」


「うん、そうだね」


クラスの担任である緑川 桜のことである。


彼女は生徒の1人である零刀が行方不明になってしまった事に対して『自分の責任だ』と言い自分のことを責め、生徒にも厳しく言い自分を守れるまで強くさせようとしている。

そして、そのことに対してまた自分を責めるという悪循環を起こしている。


「─それについては僕らにはどうすることもできないからね」


「まあな、正直な話、レイが戻ってくれば解決するんだがな」


「そのためにも僕達が強くなって迎えに行かないとね」


「そうだな」


「レイがいないだけでこんなに変わるなんてね」


「レイは人に好かれやすかったしな」


思い出して、二人で笑う。


「─だからこそ、取り戻すために、もう失わないために、強くなるぞ」


「ああ」


そしてこの2人は一緒に訓練しているアドルフですら驚かせる程に技術を吸収していくのであった。




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