変化
しばらく不定期です。
「迷宮の魔物、食べちゃった」
重大なミスを起こしていたことに気づいた。
「ぐっ、があ!」
身体を、身体中を熱が駆け回り、暴れ出す。
(…身体中が、痛い、熱い!?これ、は魔力?や、やばい、冗談抜きにこれはまじで、本当にやばいやつだ!)
それは毒が回るかのように、着実に身体を蝕んでいく。
(…毒の、ように?なら、『錬成』で、排出できるかな?…幸い、とは言えないけれど、魔力、は、大量に、溢れ出てくる)
途切れそうな意識を必死に繋ぎ止めながら零刀は現状を打開するために思考を巡らせる。
(ぐっ、マズイ、このままだと、魔力で破裂しそうだ…。危険かもしれないけど…やるしかない、か)
零刀は覚悟を決めた。
「『錬成』!!」
イメージは『体内の必要の無い無駄なもの』を『分解し、体内から無くす』というものであった。
確かに、自分の身体を蝕んでいたものが何かわからない状態ではこうするしか無かったのかもしれない。
─だが、もし、もう少しだけイメージが違ったのならば、結果もまた、違ったのだろう。
身体から、少し濁った無色の魔力が、流れ出る。
徐々にその量も多くなっていく。
そして、その流れ出る魔力からは『必要の無い無駄なもの』が排除され、透き通って行く。
─それは、もともとの零刀の持つ魔力以上に、透明に洗練されていく。
零刀の髪からは『必要の無い無駄なもの』と判断された色素が分解され、抜けていく。
異変が起き始めたのはその時だった。
「ぐっ、あああ?!」
(なっ、これはやばい!)
『必要の無い』と判断されたものを排除する。
そのイメージは曖昧な基準であったが故に、本来成功するものではなかった。
しかし、迷宮の魔物の肉を食べてしまったため、魔力が大量に溢れている今の状態のお陰で成り立っている。
だからこそ、本来その量の魔力を持っていない零刀は操作しきることができない。
だからこそ、どんどんと、零刀の、零刀を成す、重大な、構成するものさえ、分解され、排除されていく。
「…っ、れ、『錬成』!」
排除されてしまったものを、再度取り込み、『完全記憶』を用いて再び構成し直す──
それは、改竄し、改善し、改正し、改革し、改変し…
今の状態を、本来のものさえ、未来のものさえ、存在さえ、何もかもを、否定し、肯定し─
それは、生まれ変わるのに等しい行為でもある。
それを、零刀は、知らない───
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しばらくして、零刀が起き上がる。
「…………」
無言のまま手を握ったり開いたりしながら、身体の調子を確認していく。
(うん、問題は無さそうだね─、うん?)
ふと、違和感を感じ、水辺まで移動して『錬成』を使い、水を等身大の鏡のようにして見る。
するとそこには、腰まで伸びた真っ白な髪に、それとは対象的に黒い瞳の美少女が─
「─って誰が美少女だ!!」
1人でつっこむ零刀。はたから見たら変な人だがここには零刀ひとりしか居ないので問題は無い。
「いやいや、変わりすぎでしょ!…まさか!」
ふと、嫌な予感がし、『ステータス』を開く。
「『ステータス』」
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「」 LV ー Age15
種族:
職業:練成師
称号:超越者 無純 新生
体力 500/500
魔力量 500/500
魔力 500
筋力 500
敏捷 500
耐性 500
魔耐性 500
〈固有技能〉:完全記憶 二刀流 爆地 魔素支配 錬成 無属性魔法 上位鑑定 変換
〈技能〉:剣術Lv8 魅了Lv5 剣舞Lv6 魔道具製作Lv5
保有生体魔素量:1000
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「…なんじゃこりゃー!!」
(いやいやいや、どゆこと?ツッコミどころが多すぎる!とりあえずLv.と性別、名前の欄は置いておいて、ひとつずつ確認していこう)
そして、『上位鑑定』から確認していく
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上位鑑定
人やものを『鑑定』よりも詳しく鑑定することができる。
『錬成師』が一定以上のLv.になると習得。
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(お、便利そうだね。…習得時のLv.がわからないんだけどね…。『技能』もこれを使って調べた方がいいのかな?とりあえず称号から)
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超越者
何かを超越した者に贈られる称号。
この者は性別を超越したが故に生物という概念すら超越している。
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(うわぁ、生物であることすら否定されてるよ…。次行こう次)
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無純
その者は『無色に純粋』であるが故に、『矛盾』した存在でもある。
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(…って言葉遊びか!?)
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新生
新たに生まれたもの。自分という存在を新生させたものに贈られる称号。
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(さっきのあれの事かな?まあ、変わった所もないし次〜『技能』)
もうすっかりこの姿に慣れている零刀である。
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魔素支配
包括技能
【『魔力』系統技能、『魔素』系統技能】
魔素を感知、支配する事ができる。
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(おお?初の包括技能。まあ、『錬成』は─)
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錬成
物質を支配することができる。
『固有技能』となった事で、使えば使うほど汎用性が高くなる。
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(…あれ、何これチート?僕が知ってる『錬成』じゃない。後は…)
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変換
違う性質に変換することができる。
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(…そんだけ?)
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保有生体魔素量
保有している生体魔素の量。
各『ステータス』に振り分けることが可能。
レートは『体力』、『魔力量』は1、その他は1/2。
しかし、レベルアップシステムからは外れる。
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(おお!ゲームとかで言う『パラメータの振り分け』だね。いやー嬉しいね─ん?)
喜びの中で見つけてしまった1文
(レベルアップシステムからは外れる?てことはレベルアップしないの?ど、どうしようか、とりあえず保留かな)
謎が謎を呼ぶが、とりあえず─
「─使ってなれるしかないかな?」
この状況でも適応している零刀であった。




