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谷の底

少し時間があったので投稿します。

(──ここ、は?)


下半身が水に浸かっていたので、そこから出る。


(確か、落ちて─)


上を見上げて天井がまったく見えない事を認識し、体をぶるりと震わせ···


「······とにかく、寒い」


こんな時でもマイペースな零刀であった。


………………………………………………………………………………


「へくしっ!」


くしゃみをしながら懐からあるものを取り出した。


『着火魔道具』というそのまんまの名前のものだ。


これは零刀が作ったもので、見たまんまライターの形をしている。


とは言っても『火種ファイア』の魔法陣を組み込んだだけなのだが⋯。


「『着火ファイア』」


魔道具の鍵句を唱えてからふと気づいた。


「⋯⋯燃えるものがない。これだと服が乾かな─、あ」


ふと、思い出し、服に魔力を流す。


「⋯⋯『錬成』、【分離:水分】」


すると、濡れていた服から水分が抜け、服が乾いた。


(服も乾いたことだし、現状を把握した方がいいかな)


と思い、まとめ始める。


(まず、脱出するための『転移結晶』はさっき確認したら落下した時に落ちて壊れていたから使用不可。

この崖はさすがに登れないし、それでもってここが何回層かすら分からない。出入口はひとつだけ。

持っているものはいくつかの魔道具と、一緒に落ちてきて無事な剣2本と持っていた『ステータスプレート』か。とりあえず─)


「『ステータス』」



------------------------------------------------------------

神野 零刀 LV10 Age15 男?

種族:人間

職業:練成師

称号:男の娘 壁を越えしもの

体力 120/200

魔力量 60/150

魔力 600

筋力 120

敏捷 200

耐性 150

魔耐性 300

固有技能ユニークスキル〉:完全記憶 二刀流 爆地


技能スキル〉:練成Lv9 剣術Lv8 魅了Lv5 魔力感知Lv4 魔力操作Lv9 身体強化Lv9 魔纏Lv5 剣舞Lv6 魔道具製作Lv5


------------------------------------------------------------


(レベルが5も上がってる⋯そう言えば悪魔は?)


すっかり忘れていた中位悪魔悪魔を探し、辺りを見回す。


「あっ、」


そこには地面に落とされ潰れた悪魔の姿が──


(⋯見なかったことにしよう。それよりも中位悪魔を倒したからレベルが5も上がったのか─いや、相手が中位悪魔ミドルデーモンだからLv.5の僕ならもっと上がってもいいはず⋯。ということはまだレベルがそんなに高くなかったのかな?)


自分のレベルについて思考を巡らせていると、足音が聞こえた。


(っ!─まず!)


咄嗟に近くの岩陰に飛び込んで隠れる。


その直後に足音の主が現れた。


それは─


(トラ?異常に牙が長いけれど見た目トラだね)


牙が異常に伸びているトラだった。


トラは零刀に気づく様子も無く水辺の方に歩いて行く。


(落ちた時の音にでも引き寄せられたのかな?でも、匂いで居場所がバレそうだけど⋯、ああ、1回水に落ちたから匂いも落ちてるのか)


そこで気づく。


(お腹減ったなぁ。バレてないうちに狩って食べようかな─)


ぐうぅぅ


音が、響く


(⋯やっばー!お腹鳴ったぁぁあ?!)


トラがゆっくり、ゆっくりと歩み寄ってくる。


(ヤバいヤバいヤバい、食べる前に食べられちゃう!)


そしてトラは岩陰を回り込み─




─誰もいなかった。





首を傾げるトラだが次の瞬間、地面から剣が生えトラの首元を貫いた。


トラは自分がどうなっているのかを認識する間もなく息絶えた。


トラの倒れた地面からボコリと音を立てて地面を突き破って手が出てくる。


「ふぃー、焦った焦った」


地面から出てきたのは先程まで岩陰にいた零刀であった。


(ギリギリで地面に穴作って入って蓋して、通りかかったら剣を突き立てる─)


そして立ち上がり─


「─さ、作戦どおりだ(震え声)」


と言った。



………………………………………………………………………………



「料理の時間です」


どこかBGMを流したくなるような事を言い始めた。

ちなみに出入口は『錬成』を使って通れなくしてあるので魔物が入ってくることはない。


「今日の材料はトラ?のお肉を使います。まず斬ります。焼きます。かんせーです!」


お腹がすいてちょっと(かなり?)テンションがおかしくなり始めた零刀が持っていた剣で薄く斬り(洗って火で熱して殺菌済み)着火魔道具で焼いて完成だ。


「よし!、いただきまーす」


ある程度の量を焼いて食べた。


「うんうん、ちゃんと火も通ってるし、肉が引き締まっていて歯ごたえが良くて、さらに噛むたびに肉汁が溢れ出す」


食べながらも食レポをする零刀。


「おいしいなぁ、調味料も使ってないのにこのおいしさ、箸(自分の着けていた胸当ての一部を『錬成』したもの)が止まらない!」


次から次へと肉を口に運んでいく。


「うーん、気のせいか体も熱くなって…」


箸が止まる。


「熱く、なって……」


鼓動が速くなる。



迷宮の・・・魔物、たべちゃった」



重大なミスを犯してしまっていた。



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