戦略的撤退・2
【我が道】の方でも言いましたがテストが近いのでしばらくの間更新ペースが落ちるかも知れません。(と言いつつこちらの更新をしていますが…)
よろしくお願いします。
「さあ、始めようか」
「グルォォォオオ!」
悪魔が雄叫びを上げて迫り、大剣を振り下ろす。
零刀はそれを2つの剣を使って受け流す。
(やっぱり一撃が重いな…。これだと剣筋を逸らして受け流すので精一杯かな)
零刀は悪魔の繰り出す斬撃を時に受け流し、時に避けながら思考を巡らせる。
(─って言うか少しずつ、ゆっくりとだけど傷が治ってる?)
まだ比較的新しい傷はそのままなものの、最初にアドルフが付けたような傷は既に無くなっている。
「道理で少しずつ動きが素早くなってると思ったら…、足の傷も治ってきてるのか」
「グルァ!」
「っ、とあぶないあぶない」
横薙ぎに振られた剣が零刀を掠める。
すると突然、『身体強化』も使って零刀が背を向けて逃げだした。
いきなり逃げだした零刀をチャンスとばかりに追いかける。
そしてあと少しで間合いに入るところで─
悪魔の足場が崩壊し、3メートル程ある悪魔の身体の半分が埋まった。
「─『錬成』【落とし穴】、なんつって」
零刀が振り向いて言う。
「まー、実のところは、作戦説明してるあたりから仕込んではいたんだけどね…。本当は逃げる時に使いたかったんだけど」
悪魔はもがいて穴から上がろうとしている。
「まさか回復系スキルを持ってるとは思わなかったんだよね」
そう言いながら腰のポーチから鉄でできたものを2つ取り出して魔力を流してから投げ入れる。
そして少しして─
ズドン!!
─爆発した。
「無属性魔法《魔力爆発》に指向性を持たせた魔法陣を刻印した魔道具に鉄屑を詰めて作った指向性爆弾─クレイモア地雷に近いものかな」
かなりアレンジ物だけど、と最後に付け加える。
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「竜斗!」
「隆静か!、ってなんで光輝が…」
「光輝とアドルフさんが道を開く!」
「わかった!鈴!りあ!合図をしたら退いてくれ!」
「『我、求めるは光の力。我が敵を切り裂く光よ、我が剣に宿れ!』!」
「『我が行使するは純粋な力、故にそれは我が敵を斬り裂く』」
2人の剣が魔力を纏う。
「2人とも退いて!」
「行くぞ!!【飛翔魔斬】!」
「【光の剣】!」
そして道は開かれ─
「『我が魔力よ、土で壁を成し、道となせ』【土壁】!」
─確保された。
「良し!今だ!」
そして全員が橋を渡りきる。
「レイ!来い!」
最後の仲間の名を呼んだ。
しばらくして見えたのは─
紅い光を纏った悪魔に追いかけられる零刀の姿だった。
「何だ…あれは」
アドルフが、そう呟いた。
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「『錬成』【封縛】、っとこれで少しの間なら出てこれないかな」
先ほど穴に落として爆撃した悪魔を今度は『錬成』による【封縛】でガチガチに固める。半分しか埋まってないのでそれによってちょっとしたドームのような形になっている。
「レイ!来い!」
(お、思ったより早かったね。良し─)
その時、【封縛】によって作られたドームに変化が起こる。
ピキ!
「─ん?」
零刀が振り向くとドームにヒビが入り、紅い光が漏れ出している。
バガン、という音と共にドームの一部が壊れ、そこから─
紅い光を纏った悪魔の片腕が出てきた。
「グルァアアアア!」
「聴いてないよそんなの!」
零刀はすぐさま『身体強化』を使い走り出した。
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「全く!最後の方で強くなるとかどこの主人公なの?される側からしたら迷惑にも程があるよ!」
ブオン!と、風を切る音がした。
「っ、『爆地』!」
先程まで零刀の居た場所に大剣が振り下ろされ地面が爆ぜる。
「あっぶな!横に避けてたら破片で怪我してた…。主人公じゃ無いならただのホラーだよ!血まみれでも傷はすぐ治るし、叫ぶし眼が血走ってるし、なに?オコなの?」
「グルァァアアアア!!」
「ですよねぇっ!分かります!だから勘弁して!」
逃げる零刀に気がついた下位悪魔が零刀の前に─
「邪魔!」
─現れたが剣で剣でまとめて串刺しにされた。
「それ!」
そして身体を半回転させ、遠心力で中位悪魔の方に飛ばすが、吐息で焼き尽くされた。
「わーお、ミドルさんマジ容赦ない!」
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「…なんだ、アレは」
アドルフが呟いた。
「さっきと意味合いがだいぶ違うね」
「言わないであげて」
鈴がつっこみ、それに対して光輝などが嗜める。
皆の顔に笑みが浮かぶ。
しかし、そのなかに邪悪な笑みを浮かべている者がいることに誰も気づかない。
「っと、そろそろレイが壁を抜ける。お前ら、準備はいいか」
「「「はい!」」」
「!抜けたぞ!亮太!」
「はい、【崩壊】」
壁が崩れ、悪魔が埋まる。
「良し!魔法、一斉攻撃!」
色とりどりの攻撃魔法が行使され、一斉に悪魔へ向かう。
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(っ、抜けた!予想以上に魔力量に余裕が無かった…)
後ろでもがいて出始めている悪魔はいるが、あとはみんながいる魔法陣までたどり着くだけ、と最後まで走り続ける零刀の目に色とりどりの魔法が目に入る。
(良し、これで悪魔の足止めができる─)
零刀の目の前に、一発の魔法が着弾する。
直撃はしなかったが余波もあり、それによって零刀は止まらざる負えない。
零刀の不運はそれだけでは無かった
橋の一部が崩れた─
「くっ!?」
─ちょうど零刀のいる場所が
(まずい!この体勢だと『爆地』が─)
そして宙に投げ出され、落ちていく。
底の見えない、深い深い谷に
「レイー!」
上を見ると、さっきまで戦っていた悪魔も落ちて来ている。
そして、見えていた光はどんどんと小さくなり
消えていった




