戦略的撤退・1
やっぱりしばらくの間投稿出来ていなかったのでアクセス数減ってますね…。
【我が道】の方は明日投稿予定です。
─『戦略的撤退』って言葉をときどき耳にするけれど、結論を言ってしまえば事実、撤退ですよね。
僕は撤退をした後にどれくらい、どうすることが出来るのかが重要な事だと思っています。
─by神野 零刀
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声が聴こえた。
「みんな!」
我らが勇者、光輝の声が。
「光輝!?それにアドルフさんも何でここに!?レイは?」
「レイは今時間を稼いでいる」
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─少し時間を遡る。
悪魔が放つ吐息を耐え凌いだ後も3人は善戦していた。
しかし、悪魔がある魔法を使ったことによって状況が変わる。
─この場所に来てから見た、赤い魔法陣を使った事によって。
「っ、まさか!この下位悪魔、全部コイツが─」
「…て言うことは、ですよ。こいつを倒せなければ向こうは減らない、という事ですかね」
「むしろ増えてるかもな」
「な、なら早くコイツを─」
と、光輝が意気込むが─
「「ダメだな(ね)」」
─却下された。
「なんか向こうからなかなか攻めて来ないなー、と思ってたんですけどねー」
「やっぱ、持久戦に持ち込んで確実にってか」
「クソっ、どうすれば…」
「…2人とも、向こうの増援に行ってください。僕が時間を稼ぎます」
「なっ!?ダメだよレイ!」
「一応、聞くがその役目は俺じゃあ駄目、なんだよな…」
「ええ、アドルフさんもわかってますよね?」
アドルフは少しの間考えた
「わかった、すまんな」
「アドルフさんなんでっ!?」
「光輝、これは『戦略的撤退』であって逃走では無い。よって次の事を考えないと行けない。ここまではわかるね?」
零刀が諭すように言う。
「でも、零刀が残る必要性は─」
「それともアドルフさんに残れってこと?」
「い、いや、そんなつもりじゃあ…」
と光輝が焦っているのを見て零刀がクスリと笑う。
「冗談だよ。でも、この中でアレとやり合って時間が稼げるのは僕だけだろうしね」
事実、アドルフの防御力では耐え切れないだろうし光輝ならなおさらだ。それに─
「向こうも光輝達がいないとダメだろうしね。じゃあ、作戦を伝えるよ」
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「…わかった?」
「うん、わかった。出来るだけ早く終わらせて来るから」
「…レイ」
「僕に万が一もしもの事があっても光輝のこと、頼みますよ」
「…安心しろ。俺が、万が一なんて起こさせない」
すると、レイは目をぱちくりさせてから言った。
「よろしくお願いしますよ」
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「…俺とコウキで道を拓く。その直後に亮太、お前の土属性魔法で橋のところまで壁を作って通路を確保しろ、そこを駆け抜ける。レイはその後で来る。多分あの悪魔もついてくるだろうからレイが橋まで来たらその壁を崩して魔法による一斉攻撃だ。これは俺らも、そしてレイの命がかかっている。絶対に成し遂げるぞ!」
「「「はい!」」」
撤退をするための作戦が、始まる。
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「…さて、わざわざ待ってくれて居るだなんて、随分と余裕そうだね」
光輝とアドルフを増援に向かわせ、1人で悪魔と戦うことになった零刀はひとり、そんな言葉を発する。
それを聴いた悪魔の顔に笑みが浮かんだ気がした。
「さあ、始めようか」
「グルォォォオオ!」




