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『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!  作者: ナリア
彼らは『世界』に名を残す。
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その先へ

どうも皆さま、こちらではお久しぶりでございます。

今後の展開を組み直したりなんやかんやで期間が開いてしまいました。

コチラもすこしづつですが再会していきます。

完結までは絶対に書き続けるので今後ともよろしくお願いします。

「──昇級試験?」



『冒険者組合』に呼び出されたレイは唐突に言い放たれた言葉に首を傾げる。



「ええ、そうよ。『冒険者組合』では戦争が起こるとひとつの依頼を張り出すの。簡単に言えば『戦争を止める』っていう依頼がね。戦争が起こると『組合』としても活動しづらくなるし、一応戦争そのものに加担する気はないっていう意思表示も兼ねてるんだけど……まさか、知らないで達成する存在がいるなんて思わないじゃない!? っていうか組合員のひとりが【精霊帝】って!? ただの『森精種エルフ』でしかない私にどうしろってのよーー!!?」



わー、と喚き立てるエレーナだが、ピタリと泣き止むと表情を見せずに告げる。



「まあ、凄いことしたなら『凄いねー』って言うことで、ランクを上げてしまえばいいのでは? ということよ」

「ざっくりとしすぎじゃない?」

「いいのよ、後から理由なんていくらでも付けれるわ。というか、【精霊帝】だってざっくりみたいな物じゃない」



どこかヤケ気味に言うエレーナに乾いた笑みを零すレイ。



「で、どうすればいいの?」

「取り敢えず予定通り、Aランクの昇級試験をやった後でSランクの昇級試験をやろうと思っているわ」

「うーん、ちょっと待ってね」



そう言って虚空に視線を向け、黙り込むレイ。



「……うん、そうだね。受けさせてもらうよ」

「ありがとう。功績を上げている『冒険者』に見返りがないと組織としての面子が立たないのよ。実施日だけど──」

「ああ、Aランクの昇級試験と同じ日でいいよ。というか、それ以降だと間に合あわない」



それだけははっきりと、意思を込めて告げる。



「それは、【代表者会議】のこと? それとも……」

「さあ? そこから先はまだわからない。けど……」



立ち上がり、近くの棚まで歩いてそこに置いてあるものを見る。



「──ああ、思ったより混沌としそうだな」



そこにおいてあった、多面体の球を手に取る。



「これ、何かしってる?」

「【冒険者ギルド】の発足当時からある『魔道具』よ。確か、【混沌】って言う『SSランク冒険者』が置いて行った【冒険者ギルド】の最終兵器ね」

「ああ、伝説ともいわれるSSランクね。確か、【混沌カオス)】、【厄災)(カラミティ)】、【冥土)(メイド)】……【最強】だっけ。それで?」

「その【混沌】が『いざとなったら使うといい』って置いて行ったそうよ」



その言葉にため息を吐いて、箱の中の多面体に触れる。



「【輝くトラペゾヘドロン】って言うんだ。簡単に言えば、災厄を齎す道具だよ」


触れた瞬間赤い線が走り、7本の支柱が伸びる。


「起動なんてさせないよ。今回は君の出番は無い」


キィィイイイ! と甲高い音を立てて崩れ去る。


「跡形も残さないよ。これ以上君の好きにはさせない」


箱ごと消滅させる。

まるで最初から、存在しなったかのように。


「……? どうかしたのかしら?」

「いや、何でもないよ。何でも無くなった。たった今、ね」


不思議そうに首を傾げる彼女を置いて部屋から出る。


「……レイ、今のは?」

「何でもないよ。本当に、なんでもないんだ」


儚く笑い、歩いていく。

それが己の歩くべき道だと言うように。


そこに道を見いだせるものなど、誰もいないと言うのに。




------------------------------------------------------------




『『『うぉぉおおおお!!』』』


歓声が上がる。

武闘大会の決勝、その決着がついたのだ。


「いやー、面白かったね」

「……技術と、技術の応酬。互いに高め合う、関係。いい」

「うーん、私としてはもどかしいですね。始まる前に殺してしまえば楽なのに」

「うん、武闘だからね? 殺し合いじゃあないからね?」

「殺し合いとは、別モノ」



シリウナの言葉に笑う二人。


「さて、そろそろ行ってくるよ」

「負けるとは思わないけど、頑張って」

「レイさんならよゆーですね!」

「さあ、どうだろうね。Aランク試験はともかく、Sランク試験の相手はアレだ」


表彰が終わり、始まるエキシビションマッチ。


『今大会の優勝者イクド選手に立ちふさがるその者は、知らぬものなどいない【最強】の二つ名で名高い『ラグナ』だあああああ!!』


怒号のごとき歓声が闘技場を揺らす。

それほどまでに、彼女は強い。


『試合、開始!』


試合が始まる。

そして、終わった。


「一太刀、抜刀術か」

「なに、今の速さ……私の『眼』で、ギリギリ……?」

「柄に触れる所までしか見えませんでした……」


特殊な『眼』を持つ二人は見え、持たないシリウナには見えないほどの速度。

シリウナはこの世界でも十分に強者。それも『暗殺』のチカラを使えば一部を除き、殆ど殺せないものはいないといっていもいい。


その彼女をもってして見えないのだ。



それほどまでの神速。


その神速の持ち主が会場を見渡し──レイを目にとめた。


「──!?」

「お、目があったよ」


目を剥いたラグナに手を振るレイ。


「お、笑った」

「笑ったというか……」

「引きつった、笑み」


レイは楽しそうに歩いて、闘技場へ飛び込む。


「やあ、司会進行の人。そろそろ次に進もう。私が今回試験を受けるレイだ」

「登録証を確認させて頂きます……はい、たしかに本人と確認しました! これよりAランク昇級試験を始めます!」


ドッ、と歓声が上がる。

相手のAランク冒険者が入場する。


『それでは、昇級試験開始!』


戦いが始まる。

そして、終わった。


数多の剣が浮かび、相手を包み込む様に鋒を向けていた。


「どうする? まだ続ける?」

「い、いや、もう無理だ。指1本動かせる隙間がない。こ、降参する」


向けられていた剣が消える。


レイが、振り向く。


「さあ、次に進もうか【最強】さん。こっちの領域の話を、ね」


その言葉に笑を浮かべ、刀に手をかけるラグナ。

これより始まるのは、常人の域を超えた、更なる先の世界──

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【『ハズレ』と言われた生産職は我が道を行く】
並行して書いているものです!(完結しました!)
イロアイの魔王〜魔王認定された男子高校生はアイの罪歌で世界を染める〜
新作始めました!
こちらの方もよろしくお願いします。
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