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『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!  作者: ナリア
彼らは『世界』に名を残す。
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其れは誰が為か

前回の投稿から時間が空いてしまい申し訳ございません。


言い訳をするならば忙しかったのと、私の体調の問題です。


さて、無駄にグダグダと前書きを書くのもどうかと思いますので、どうぞ!


……あ、少し短めです。

「【光閃】!」


「無駄です──『無十むと』よ、護り給え」


光輝の放った光の斬撃は、地に突き立てていた十字剣の前で何かにぶつかると霧散する。


「さっきから攻撃が全部剣の目の前で消えてるってことはあの剣に何かありそうだな」


「タネが分かれば対応しやすい──残るはもう君と【精霊帝】のみだ。投降する気は無いかな」


光輝の言うように剣を突き立てて不動の彼女の玉座に座る【精霊帝】を除けば、立っているものは『勇者パーティー』以外にない。


「僕達は話し合いがしたいだけなんだ。チカラも示したはずだし、どちらにとっても悪い話じゃ無いと思うんだけど……」


「……主よ。どうされますか?」


「うん──もういいよ」


「よかった。なら──」


安心してそう言いながら歩み寄った





次の瞬間、彼らは取り押さえられていた。


取り押さえているのは先程まで倒れていた銀髪の少女たち。


「まったく、死んだかどうかの確認すらしないで無警戒だなんて……甘すぎると思わない?」


そう言いながら玉座から立ち上がる。


「くっ、なんで……」


「なんで、『なんで』だって?まだ理解できて無いのか……ヴァニラ、分からせてあげて」


「御意に」


「ちょっと待て!何をするつもりだ!!」


了承し、歩みを進め始めたヴァニラを見て何かを感じたのか、光輝が声を荒らげ暴れ始める。


「あまり暴れないでください。押さえるのにだって手加減が必要なのですよ?」


「エーナさん……!離してください!なんで、なんで──」


「先程も申したはずです。主のためだと」


「じゃあ、まずは一人」


その言葉に視線を向ければ、音を立てること無く貫かれた鈴の姿があった。


「こう、き………」


「……えっ?」


縋るように手を伸ばす様を見ながら、現状が理解できないのか間抜けな声が漏れる。


「──鈴っ!!?鈴!!」


「さて、コレで多少は理解して貰えたかな?」


彩の悲鳴にも似た声を聞き流しながら、【精霊帝】はそう声をかける。


「……っ、鈴が、死んだ……?そんな、嘘だ……」


「ッ!光輝!惑わされるな!気をしっかり──」


「──ハァ、まだわからないのか。じゃ、次はどれにしようか」


「……なら、俺にしてくれないか」


考える素振りの【精霊帝】に隆静が言う。


「隆静!?何を考えて──」


「うん、そういうのもアリだね。じゃあ、お望み通りに。ヴァニラ」


「はい」


「隆静!なんで──」


「光輝、俺らがいるこの『世界』はな、こういう所なんだよ」


光輝の叫びを遮って、隆静は微笑みさえ浮かべながら言う。


「この『世界』は俺らがいた『世界』と違って生命が軽い・・・・・。だから──」


言葉の途中で、彼の胸を十字剣が貫く。


「──強く、生きろよ」


それでも隆静は笑顔でそう言った。


「さて、まだ二人だけど……君はどうする?」



その言葉に伏せていた顔を上げた光輝は──



「──殺してやる」



瞬間、光輝の身体から光の奔流が溢れ出す。


「君たち、下がって」


思わず飛びずさったヴァニラたちに告げると一歩前へと進む。


「……僭越ながら、この程度であれば許可さえいただければ──」


「いや、いいんだ。仮にも彼は『勇者』だ。侮ってはいけない。それに──悪くない『殺気』だ」


光を鎧のように纏い始めた光輝を見てそう呟くと、片手をそっと前に突き出す。


「さぁ、見せてみなよ。君の『殺意』を『戦意』を──『決意』を」


「──殺す!」


そう叫んだ光輝はまるで光と見紛う速度で駆ける。


「ハァアア!」


その速度を乗せた剣は絶大な威力を誇る──が、【精霊帝】はその一撃を片手で受け流した。


「ッ!?ハァ!」


刃を切り返し連続で振るう。

斬撃は最早もはや傍から見ても光が煌めくのが辛うじて見える程度だが、【精霊帝】はその速度ですら片手で往なし続ける。


「『制限超過オーバー・ギア』!」


その速度はさらに上がり、『聖剣』の金色と黒色の光。その一太刀一太刀が圧だけで木の壁や床を裂き始める。


「まだ足りないな」


然しながら、それでも至らなかった。


言葉と共に振るわれた腕。それに当たってすらいないのにも関わらず光輝の身体は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。


「ぐっ、ゲホッ……」


吐血する光輝だが、すぐに立ち上がる。


「しばらく立てないくらいには打ち飛ばしたつもりだったんだけど……ああ、『自動回復オートリジェネ』ね。今まで使ってる様子は無かったけれど、戦いの中で覚えたのかな?まったく、『勇者』ってヤツは……」


呆れながらそう言い、歩みを進める【精霊帝】の声はどこか楽しげにも聞こえる。


「『殺意』……これは君には無かったものだ。仲間の犠牲が無ければ得られなかったというのはあまりよろしくは無いけど、ね。──えーと、そう言えば名前を聞いていなかったかな?」


「──僕の名は『聖川ヒジリカワ 光輝コウキ』。【精霊帝】、お前を殺し、いずれは【魔王】を倒す『勇者』だ!」


『殺意』を滾らせた『勇者』はそう宣言し、駆け出す。



「『ヒジリカワ コウキ』、その名しかと覚え──」



──条件の達成を確認。情報のインストールを開始。



そんな声が、脳内に響いた。


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【『ハズレ』と言われた生産職は我が道を行く】
並行して書いているものです!(完結しました!)
イロアイの魔王〜魔王認定された男子高校生はアイの罪歌で世界を染める〜
新作始めました!
こちらの方もよろしくお願いします。
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