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『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!  作者: ナリア
彼らは『世界』に名を残す。
103/127

勇者side:彼ら彼女らは刺客に出会い、それでも先へと進まんとす。

題名考えるのに二日もかかってしまいました……


【我が道】の方も100部を達成しましたので、そちらも良ければどうぞ。

──最初に異変に気がついたのはこの世界の住人の二人であった。


「なぁ、コレは……」


「ええ、おかしいですね」


「……?二人ともどうかしたんですか?」


「いや、なんといいますか……」


「魔物が、いないんだ」


その会話に光輝が問いかければ二人は難しい顔をして答える。


「それは悪いことなのか?」


「前にも言ったと思うか、この『迷いの森』は魔物が溢れているはずなんだ。だが、その魔物がいなさすぎる」


「これも『精霊帝』が関わってるのかな?」


「その可能性はあるかと思われますが……それも含めて確認すべきかと」


新しく聞くことが追加されながらも、森の中を歩いていく。


「そういえば、光輝の『聖剣』はアレから反応はあるのか?」


流石に無言で歩き続けるのは辛いのか、他の話題で話し始める。


「そう言えば『帝国』で襲撃を退けた時に『覚醒』したんだったよな。どうなんだ?」


「アドルフさんの言う通り『覚醒』はしたんですが……アレから特に何も起きていません」


「それに関しても『聖剣』には『精霊』が宿っているのですよね?ならそれも『精霊帝』に訊けばわかるかも知れませんね」


「どんどん『精霊帝』に訊くことが増えますね」


「お前ら、訊くことを増やすのはいいが『迷いの森』……いや、正確には『精霊の森』か。そこも襲撃されたって話もあったんだから警戒しろよ?」


「「「はい」」」


アドルフに促され、警戒を強めながら進んで行く。


「皆さん、もう少しで到着します」


しばらく進むとレストがそういう。


「……?今までの森と変わりのないように見えますが……」


「『精霊の森』は『精霊』がいなくては行くことさえできませんから……お願いします」


近くを浮いていた緑の球体が眩く輝きを放つ。


それはすぐに収まり、先程とは違う光景が目に映る。


「森が、途切れた!?」


「隠されていた場所が顕になったのです。皆さん、いきましょう」


そう言って途切れた先に足を踏み入れた。



──その時だった。



「あれれ?お客さんかな?」


一行の目の前に、緑の髪の幼女が現れた。


「幼女……?」


「皆さん、気をつけてください!彼女は『ドライアド』です!」


レストの言葉に、全員が臨戦態勢へ移行する。


「魔物に堕ちた植物の『精霊』……何故こんなところに……」


「あー、ニンゲンからするとそういうとらえかたなんだ?ま、どうでもいっか。それで?ここには何のようかな?」


「『精霊帝』に会いに来たんだ」


「へぇ、じゃあ君たちが『勇者』なのか?」


「僕達と言うよりは、僕がだけどね」


「へぇ……なら、ただでは通せないね」


そう言って彼らの前に立ちはだかる。


「どうしてです!?貴方達ドライアドはこちらから危害を加えない限り手を出すことは少ないハズです!なのに何故……!」


「コレも帝サマの言いつけでね」


そういいながらドライアドは周囲に【木】を生やし始める。


「だからここを通りたくば──私を倒してから行け!」


「──っ!まずい!」


木々が、彼らに襲いかかる。


ひとつひとつが槍のように尖っており、当たればただでは済まないだろう。


「『──木々にて我らが領域を作る』【樹木ノ守護アーボー】!」



──しかし、この場で【木】を操れるのはドライアドだけではなかった。



新たに生えた木々が壁を作り、護る。


「まさか、そっちにも【木】を使える者がいるなんてね……」


「皆さん!ここは私に任せて先に行ってください!」


「それだと、桜先生が……!」


「相手が【木】を使うならば、時間を稼ぐくらいどうとでもなります!」


「でも……」



「コウキさん。勝負を着けるのは難しいかもしれはせんが、あなたがたが居ても変わりません!だから、できることなら早く『精霊帝』に話をつけに行く方が懸命かと」


渋る光輝にレストが言う。


「──っ!先生!どうかご無事で!」


「桜先生、死ぬんじゃねぇぞ!」


「「我らが主の、ご加護のあらんことを」」


各々が声をかけ、先へと駆けゆく。



「そう簡単に行かせるとでも──」


「邪魔はさせねぇよッ!」


光輝達へと伸びる木々へと新たに生えた木々が絡み付き、止める。


「まさか、【木】の扱いで私に並ぶヤツがいるなんてね。でも、アナタだけで私に勝てるとでも?」


「……アイツら、最後まで私のことを気にしやがって……ホントにいい生徒だよ。だが、アイツらは甘過ぎる。アンタ相手に殺り合うなら殺す気で、それこそ死ぬ気で行かないとだろ?私の『本質』は、アイツらには見せたくないモンでね」


そう言いながら腕に『木製の手甲ガントレット』を装わせる彼女は『教師』という雰囲気はなく、ただただ戦意を滾らせている。


「そっちがアナタの『素』ってわけね。いいわ、面白そうじゃない」


「──『生命樹甲セフィロト』、【『王国マルクト』展開】」


手甲ガントレットの紋様、その一部が輝きを放ち、辺りからは木々が生え森を創り出す。


「流石にここまできたら、向こうは追えそうにないわね……いいわ、思う存分殺りあいましょう?」


「最近手応えのあるヤツがいなかったからな……楽しませてくれよ……!」


今ここに、ひとつの戦いが始まる。



------------------------------------------------------------



「森が、できた……?」


「なるほど、アレが俺たちを先に行かせた理由か。確かにあの領域の中では俺たちは満足に戦えないな」


驚いている光輝とは違って、アドルフは驚きながらも冷静に判断する。


「『精霊帝』はやはり、あそこでしょうか」


その中でレストはそう言いながら、中央に見える、見上げるほどの大樹を指す。


「それも、ボスらしく頂上にいそうだよね」


「またゲームの知識を出して……でも鈴の言う通りだと思います」


鈴と彩が同意したことによって、一同がそこへと進む。


そこには──


「あれは──門?」


「木に門……中に入れるってことかな?」


「いやいやお前ら、あの前に立ってる鎧に注目しろよ!絶対動くだろあれ!」


──彼らの言うように、根元に大きな門があり、その前には2メートル程の鎧が立っており、斧槍ハルバードを持っていた。



「動くね」


「動くだろ?」


「動く」


「動くよね」


「アレがか?」


「動くのですか?」


異世界人組は満場一致の意見だが、彼らのいた『世界』のように『創作物』に溢れていない『世界』の住人達は困惑している。


「まあ、慣れてない人たちにはわからないよね……光輝、『鑑定』しちゃって。できるでしょ?」


「この距離なら、ギリギリ……『鑑定』」



------------------------------------------------------------

霊導鎧『ミニマムゥ』


製作者『010#00/11』


動く鎧。

動力源不明。


------------------------------------------------------------



「『霊導鎧・ミニマムゥ』?」


『鑑定』結果を開示した──その時だった。



『霊導鎧』の顔がこちらを向いたのだ。


「ヤバっ、気づかれた!!」


「なに!?」


そして、それは彼らに向けて駆け出した。



──見惚れるほどに綺麗なアスリート走りで。



「うぉぉぉおおおおお!!?」


「わああああ!!?」


『・・・』


「なんで無言でその走り方なんだよぉぉおおおお!?」


ガシャンガシャンと鎧同士がぶつかる音を響かせながら、追いかけて来る鎧を背に一同ダッシュで逃げる。


「このままじゃ、あの木から離れて──ッ!うおおおおお!!」


このままではマズいと感じたアドルフは身体を反転させ、『霊導鎧』を受け止める。


「ぐっ、うぉおおおお!!」


「アドルフさん!」


「お前ら、先に行け!誰かしらが止めんとコイツに追いつかれる!今ならあの『大樹』からも離れている。俺が止めているうちに、早く!」


「アドルフさん、そこまで考えていたなんて……」


(言えねぇ、本当はあの変な走り方が怖くて逃げてただけなんて言えねぇ!)


「でも、アドルフさんだけじゃあ……!」


「なら私も残ります!【大地の束縛ラ・メント】!」


地がうねり、『霊導鎧』を包み込む。


「さあ、早く!」


その言葉に押されるように、『大樹』へ走る。


「レスト、全力で行くぞ!」


「はい!」


背後に戦闘音を聞きながら、扉へ走り、開ける。


その先にあったものは、装飾されたひと振りの剣。


「コレは……『鑑定』。『転移剣』?触れれば飛べるみたい」


「なら早く行こうぜ。先生たちが心配だからな」


隆静の言葉に押され、全員で剣に触れると光に包まれる。



光が収まり、視界が戻ると彼らはレッドカーペットの上にいた。


「ここは……」


「王城にあった謁見の間に似てる……?」


戸惑う彼らだが、敷物の先に玉座があり、何者かが腰掛けているのが見える。


そしてその周りには、白銀の髪の女性が7人。



「ようこそ、勇者諸君。君たちを歓迎しようじゃないか」


玉座に座ったまま、顔にかかる白銀の髪を退けるとそこからは真っ白な仮面が覗いていたのであった。


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