勇者side:森へと向かう
今週まで投稿ペースは落ちます。
同時刻に【戦いたい】の方も投稿させて頂いています。良ければそちらもどうぞ!
ガタリゴトリと馬車が揺れながら平原を進む。
「まさか他の馬車は出たばかりだったとは……いやぁ、乗せていただいて有難うございます。助かりました」
「いえいえ、困った時お互い様ですよ」
アドルフの言葉にそう返した白銀の髪の女性は手綱を握ったまま顔だけ振り返り、笑みを見せる。
「本当ならこの時間でも出たりするのですが……最近の『冒険者』の方々は積極的に活動してますので早まってしまったのですよ」
「そうでしたか……エーナさんはどうして『森』に?」
「『母』に頼まれまして、森へ行かなくてはならないのです。長女の姉様は他にお仕事があるみたいで、私が来ることになったのです」
「でも、大丈夫なのかな?『迷いの森』って魔物が多いんだよね?」
「それはご心配なく。私、こう見えてもそこそこに戦えるのですよ?──あなたが今、確かめようとして『鑑定』を使おうとしたことに気がつけるくらいには」
「えっ!?」
まさか気が付かれるとは思っていなかった光輝は驚き声を上げてしまう。
「つれの者が済まない。……コウキ、わかるヤツにはわかるから、多用するなと言ったはずだが?」
「……すみませんアドルフさん。以後気をつけます。エーナさん、ごめんなさい」
「気にしていませんので、お構いなく。さて、これ以上馬車で進むと万一魔物が襲ってきた時に対応できなくなりますので、降りましょうか」
そうして馬車がを降りれば目の前には広大な森があった。
「すごいな……」
「こんな森、地球じゃなかなか見れないよ……」
「立派ですね」
「では、あなたがたも積もる話があるでしょうし、私は行かせてもらいますね」
「少し待ってくれ、礼の品を……」
「気にしないでください。コレも『仕事』ですから。あなた方がソレを持っているなら、特に大きなコトにはならないでしょうから」
「エーナさん?何を言って……」
「それでは、またお会いしましょう」
光輝の疑問に答えることも無く、エーナの姿は森の中へと消えていった。
「行っちまったな……って、は?ここにあった馬車はどこに行った?」
「……無くなってますね。『アイテムボックス』持ちでしょうか……それでも馬車ひとつを入れるなら要求される『ステータス』もそこそこになりますし……本人も言っていたように戦える人なのでしょうね。とりあえず、これからどうして行くのかを話し合いましょうか」
隆静の言葉にレストはそう返し、話を進め始める。
「ここからは『精霊』が居なくてはたどり着けませんから──『汝、我が契約に基づき此処に姿を現せ』【契約精霊召喚】」
その言葉に応じて現れた精霊も交えて進めていく中、それとは異なることを考える者もいた。
(あのエーナという人物、とても戦闘慣れしているようには見えなかった……若しかしたら『変わる』人なのかもしれないけど……どちらかと言うとアレから感じる『気配』はこの『精霊』に近くて……でも、自然を感じなかった……?)
「鈴、これって……」
「うん、彩ちゃんの思うとおりだと思うよ」
教師である桜はひとり考え、生徒の彩と鈴は何か思うところがあったのか互いに同じ思いを抱く。
教師と生徒、思っていることは違うが両者とも通づるものがあった。
──これから、何かが起こるということを。
「──ふむ、やはり安全面を考えれば『勇者パーティー』に俺、案内としてレスト……森の中ということかはも加味してサクラさん……まあ、ここにいる面子全員だな」
ちなみにであるが、同行していた他のメンバーは修行のためにと『帝国』に、『光神教』の神父は【中継都市】『レラント』に用事があった用でそれぞれそこに留まっている。
「まあ、これが一番でしょう。中に向かう前に、『ステータス』の共有はしておきましょうか」
レストの言葉に頷き、各々が『ステータス』を見せ合う。
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コウキ ヒジリカワ LV120 Age16 男
種族:人間
職業:勇者
称号:光の勇者
体力 15000
魔力量 17000
魔力 150000
筋力 160000
敏捷 120000
耐性 120000
魔耐性 82000
〈固有技能〉:獲得経験値量増加 聖剣
〈技能〉:勇者Lv8【剣術Lv9 光属性魔法Lv9 闇耐性Lv8 鑑定Lv8 アイテムボックスLv9 限界突破】
火属性魔法Lv4 水属性魔法Lv3 魔力操作Lv9 身体強化Lv10
〈加護〉光神の加護
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サヤカ シラセ LV100 Age15
種族:人間
職業:治癒師
称号:【無環ノ治癒師】
体力 80000
魔力量 190000
魔力 190000
筋力 50000
敏捷 50000
耐性 40000
魔耐性 75000
〈固有技能〉:回復魔法 付与魔法 神託 信仰
〈技能〉:魔力操作Lv10 身体強化Lv4 火属性魔法Lv7 光属性魔法Lv8 水属性魔法Lv7
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リン キノ LV100 Age15
種族:人間
職業:槌操師
称号:【無破】
体力 100000
魔力量 50000
魔力 55000
筋力 120000
敏捷 70000
耐性 88000
魔耐性 42000
〈固有技能〉:神託 信仰 槌術 身体強化
〈技能〉: 土属性魔法Lv8 魔力操作Lv8 火属性魔法Lv5
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リュウセイ キムラ LV91 Age16
種族:人間
職業:守護騎士
称号:守護者
体力 180000
魔力量 68000
魔力 58000
筋力 65000
敏捷 59000
耐性 190000
魔耐性 170000
〈技能〉:守護Lv7【身体強化Lv8 鉄壁Lv8 金剛体Lv7】 剣術Lv8 魔力操作Lv6
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サクラ ミドリカワ LV85 Age23 女
種族:人間
職業:樹術師
称号:
体力 70000
魔力量 180000
魔力 190000
筋力 100000
敏捷 82000
耐性 59000
魔耐性 79000
〈固有技能〉:木属性魔法
〈技能〉:魔力操作Lv9 風属性魔法Lv9 土属性魔法Lv6 体術Lv9 棒術Lv7
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「……ん!?光輝はこの前の『帝国』の件でレベルアップしてるからわかるが……お前ら、いつの間にLv100まで上がったんだよ!?」
「この前の件でコウキは『聖剣』のチカラを覚醒させたからわかるが……なんだこれは……加護持ちのコウキに匹敵する成長速度だぞ……何で成長限界まで成長したんだ?」
アドルフの疑問も最もである。
Lv100というのは一種の成長限界で、『称号』や『加護』、または『限界突破』などの『技能』がなければ超えることの出来ない壁なのだ。
『勇者』でありながら『加護』を持ち、『限界突破』の『技能』を持つ光輝であるからこその成長速度。
それに迫る勢いなのだ。
「それに関しては、秘密かなぁ〜」
「アドルフさん、乙女に秘密は付き物ですよ?ね、桜先生?」
「……というわけでして、あまり詮索しないで頂けると……」
「ああ、いや、危険すぎることをしていなければ問題無いんだが……サクラさんがいうなら大丈夫そうだな」
危険なしということで深く探ることはせず、それを見て桜は安堵する。
「乙女の秘密って……『ステータスプレート』に出してないものもありそうだな。ま、そんな恐ろしいものにわざわざ触れようとは思わないが……それはそうとして、今更なんだがアドルフさんとレストさんの『ステータス』見たことなかったよな?」
「ああ、そう言えば確かに……」
隆静が何かを感じたのか話を変えると、興味を持った光輝が乗る。
「そう言えばそうだったな……うーむ、俺たちにも事情があるもんでな……まあ、これから共闘することを考えて一部だけ見せておこう」
そう言い、今まで見せなかった『ステータス』の一部を見せる。
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アドルフ・ソガード Lv89 Age42 男
種族:人間
職業:騎士
称号:【騎士団長】
〈固有技能(ユニークスキル〉:心眼 並立思考 思考加速 魔剣召喚 身体強化
〈技能〉: 魔力操作Lv8 魔装Lv5 魔纏Lv8 火属性魔法Lv3 風属性魔法
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レスト・フレアル Lv98 女
職業:精霊術師
称号:【宮廷魔導師】
〈固有技能(ユニークスキル〉:契約 並立思考 思考加速 精霊召喚 魔力支配 風属性魔法 水属性魔法
〈技能〉:火属性魔法Lv3
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「うわ、すごい『固有技能』の量だな……」
「でも、『ステータス』は見せてくれないんですね……」
「『固有技能』は特殊なモノと『技能』を高め、己のモノにしたものとがあるからな。『ステータス』の差に関わらず『固有技能』の差で勝敗が決まることも多いんだ」
「『ステータス』が全てじゃないと言うわけですか……」
「そうなるな。【魔法】のがわかりやすいか?その一撃が戦況を変えたりするってのが他の『技能』にも言えるってことだ。ま、さらに言うならばそれは『技術』にも言えることだがな」
「『技術』、ですか?」
アドルフの言葉に疑問を感じた彩が問う。
「ああ。例えば戦闘中の視線や言動、行動や身体の動かし方があるな」
その言葉に感じるものがあった光輝や隆静が納得する。
「アドルフ、そろそろ……」
「……と、長く話し込みすぎたな。そろそろ行くぞ」
レストに促されたアドルフは気を引き締めた他の者を見ながら、森へと足を踏み入れるのであった。
『ステータス』公開ですね。
未だ一部ですが二人のモノも公開しました。