変身
変身
数分の間、森の中をうろうろして戦闘音を追ってやってきた戦闘地域は、戦闘とは呼ぶことができないほどに一方的な展開になっていた。ズウウンと、音がしてそちらを見ると空の上で爆発が起きドラゴンが森の中へと落ちていく…ドラゴンの方も反撃を行っているのだが、単色の魔法(一つの属性)では相対する属性の壁を作られれば攻撃が通ることがない…最初に八頭もいたドラゴンは瞬く間に全滅へと追い立てられた。しかし、一頭だけが鎖により縛られている…どうやら、麻痺系の魔法により捕獲されたようだ。動いている様子もないので、あの鎖も何かの力がある鎖と踏んで間違いないだろう。「ちっ、千影…どうする、助けるか?」と、横の影に答えを聞こうとして隣に気配がないことにびっくりする。あいつは、どこに行ったんだ?と、思い周りをきょろきょろと探すと前方の草の中に発見した。どうやら、助けに行くらしい…えっと、無理なんじゃない?とか、言い訳を考えつつ近寄ると千影が魔法でランスを生成しているところであった。「千影、そんなもので戦う気なのか!?」「そうよ、これしかないじゃない!!」と、走り出そうとするのを必死で止めた。「今の力じゃどうにもならないよ!!」と、叫ぶと頭の中に声がした。『なるよ?そろそろ、僕も動き出すべきだよな~しかたない…そろそろ変身…じゃなくて、力の使い方を教えるよ…じゃあいくよ、「我、神と人の子とで契りし盟約に従い我の信念に従い神より与えられし力を解放せん真名解放」で、それぞれの種族の名前さ!!』と、言ってから頭の中から消えていった。「よし、これで戦えるぞ!!千影?」と、先程まで隣にいた千影を見ると既に戦闘している集団に向かい槍を構えて突っ込んでいるところだった。はやっ!?と、思いつつ俺は今の自分がどの程度の能力を持っているのかの確認を行った。そして、確認終了と同時に叫んだ。『我、神と人の子とで契りし盟約に従い我の信念に従い神より与えられし力を解放せん真名解放 滅神聖竜!!!』と、同時に視界が光り輝き俺は思わず目を閉じてしまった。そして、次に目を開けた時には視界がえらく高い所にあった。俺は、思わず「おぉぉ!!」といったつもりだったのだが鳴り響いたのは「GUAAAAA!!!」だった。