火竜ニーナとの出会い
火竜ニーナとの出会い
この世界は、性質と住民の関係上魔法を取り得なければ成り立たず…受けいるしかなかったのだが…この世界でも人間は魔法などというものを使うことはできなかった。(もちろん、啓介たちが住んでいた世界にも魔法というものは、存在していなかった。)が、この世界には三つの方法を用いて魔法を使えないものでも魔法を使える…それは、神に選ばれ神の意志の権現として動くか(職業)・努力してその力を手に入れるか(英雄や、神にその努力を認められるか)・呪符に魔力を載せてもらい、発動することにより無能力者でも使えるようになるかのどれかであった。そして、そんな中でこの世界の一般的に適合者と呼ばれる一つ目の方法を取ることのできた中で、かなりの上位の職業についている二人である千影と啓介は、現在森の中を探検中だった………否、迷っていた。同じ場所をグルグルと…「なぁ~本当に、こっちなのか~?」「まっすぐに進んでいるはずなんだけど…」その言葉を聞いて、俺は少し疑問に思いつつ『竜族の記憶』にアクセスして…森と迷うで検索をかけた。
すると、出てきたのは…『森の都』…森の都の周りには、訪れるものを惑わすことのできる魔法が張ってありその魔法は、森全体にかけてあるので…防衛面でも優れた効力を放つ…と、書いてあった…「千影…どうやら、俺たちは森の都の近くにいるらしい…」「えっ…それって、どういう意味?」「実は…」と、説明すると少しほっとしたような顔をしたので…おれは、ピンっときた。「なぁ~千影ってさ~方向音痴だよね?」「…へぇ!?そ、そ、そんなことないよ???」「本当か~?いつも一緒にいるけど、そのときは大輝も一緒にいるからな~あいつ、ああ見えて絶対音感ならぬ絶対方向感(?)だからな~実は、一緒にいて…あいつについて行ってただけなんじゃないの?」「そ、そんなことないもん!」と、こちらに近づき顔を見ながら睨んでくるのだが…あいかわらず、千影が俺に対してそれをやると上目使いで見上げているようにしか見えないのであった。しかも、そのかわいさといえば…小動物なんて比べることなど憚れる(はばかれる)ほど、千影がかわいく思う俺であった。そんな顔をもっと見ておきたくて…つい、「まぁ~あいつは、役に立つし…頼りになるよな!」と、言ってしまい…ちなみに、俺はからかうぐらいのつもりでいた…だからこそ、千影に「っう!?…けい君のバカ!!」と、言われて固まってしまった。そして、千影はその場で後ろに体を向け…走り出した…突然のことに俺は、反応が出来なかったが…千影が振り返る瞬間に目に涙を浮かべていたことには、気付いてしまった。「うっ…どうして…ないてんだよ!あいつは、俺じゃなくて…大輝のことが好きなんじゃなかったのかよ…」と、すでに昔に自分が傷つくことがないように勝手にそう思い込んだことをすでに、忘れてしまっていることを知らずにこの問題は、放置しておこう…と、考えて…ここが、生きていたある程度安全なあの世界じゃないことを思い出し…追いかけた。
私は、がむしゃらになって森の中を走っていた。「けい君のバカ…バカ、バカ、バカ!どうしてあんなこと言うのよ…私が好きなのは、けい君が思っているような人じゃなくて違う人なのに…」と、その思いを心の中で言っていたはずが…どうも、声に出ていたらしい…しかし、その声は周りの木々によってあまり広く拡散することなく人に聞かれることもなかった…「どうして、どうしてなの…どうして、けい君は気付いてくれないの…こんなに、こんなに好きなのに…たぶん…態度にも出てると思うのに…けい君の鈍感!!気付いてよ!!」と、相手もいないのに八つ当たりしていると急に茂みから出てきた影に口元を抑えられた…そしてそのまま、茂みの中に押し込まれ地面に抑えつけられた。口元を抑えていた者は、いつの間にか前に回り上から覆いかぶさった。私は、恐怖で叫ぶこともできず…ただ、ただされるがままだった…そして、彼は(くっついた感触で男だと分かった…)耳元で「千影、しゃべらないで聞いて…今、森の上をドラゴンが通過していて…見つかるとまずいから…動かないで…」と、言われて初めてその人がけい君だとわかった。「けぇいんくん…」と、恐怖を安堵の色に変えて…名前を呼んだのが、間違いだった…当然のことながら、けい君はこっちを見てくれるのだが…今は、押し倒されえている状態である…なので、必然的に顔どうしは近くにあり…すぐ目の前に、けい君の澄んだ青い目があった…その距離は、まさに今キスをするかのような近さで…胸が高鳴った…「て、手~放すからな!声あげるなよ?」と、けい君が頬を赤らめつつ手を放してくれた。けい君…胸がドキドキ鳴ってる…たぶん、私もばれちゃってるよね…これで、これで私が君のことが好きなんだよって伝わってくれたらうれしいのに…と、千影はそう切に願った…
私は、炎龍一族(構成は、炎龍・火竜・爆炎竜である)・族長の娘ニーナです。私はいま初任務で熟練の戦士たちにしたがって、森の都の偵察任務に来ていた。しかし、わたしは初任務という事もあり…偵察とはいえ…飛びつかれてしまったので、魔力通信で『はぁ~疲れた~隊長~まだ、休憩はないんですか?というか…森の都ってどこですか?』『むぅ、ニーナ様は長距離飛行の訓練は受けなかったのですか?』『むぅ~隊長…それは、いやみですか~?しっかりと、受けましたよ~』『ふ~む、そうですか…(これは、今期の者が全員こんな感じなのか…なんてったって、ニーナ様は今期の者の中で抜きんでてすごい成績だったはずなのだからな…)しかし、もうそろそろ森の都ですよ?頑張ってください!』『はい…(この人、絶対心の中で何か失礼なこと考えてるんでしょうに…っと、いいこと考えた…まだ、相手の勢力圏外みたいだから)』と、ニーナは少しずつ高度を下げていった。『なっ、何をしているのですか!?』『ちょっと、お花を摘みに…』『はぁ!?…あ~、わかりました。』と、私は本当のことだけどそのついでに羽を休めようと地面へと降りて行った。
「くそっ、なんでよりにもよって俺たちの近くに降りてくるんだよ…」と、俺は刻々として大きくなってくる竜の姿にひやひやしながら…茂みにもっと体を伏せた。「むぐぅ…」「あ、ごめん…」と、焦りまくって千影を押し潰しちゃいそうになりながらもあまり動くと、ばれるのでゴソゴソと隠れていると…竜が、森の中に降りてきて地面に四本の足を地面につけた瞬間に赤く光り輝き女性の姿となった…「はぁ!?」と、叫びそうになったが千影に口を押えられてバレないで済んだ。竜は、茂み(俺たちの隠れているのとは違う)に行きあたりをきょろきょろと、見渡し…しゃがみこんだ…(彼女は、何をしようとしているんだ?)「なぁ~千影、彼女が何をしようとしているかわかるか?」「……」「お~い、千影?ぐへぇ!?」と、千影が答えてくれそうになかったのでもう一度自分で確認しようと、顔を上げようとしたら…下から千影に服を引っ張られて、見ることがかなわなかった。「見ちゃダメ!!けい君は、見ちゃダメなの!」「えっ、どうして?」「えっと~、とりあえず見ちゃダメ!彼女と、けい君のためにも見ちゃダメなの!」「はぁ!?彼女は、何を…」と、言いかけて彼女の最後の姿が思い出せた…彼女は、周りを見渡し服に触りながら腰を落としていった…と、その行為の示すことに気付いた…気付いてしまった俺は、さらに深く茂みの中に身を沈めた。その行為により、千影は啓介が気付いてしまったことに気付くのだが…ここで、間違いを犯してしまった…「ねぇ…けい君って、あの人に興味あるの…?」と………………………「えっ……?」「あるんだったら…その…私が…代わりに…なってあげようか?あの人みたいに、きれいじゃないけど…でもかわりくらいにわ…」と、千影は今にも消え入りそうな声でかたった…当然、俺は千影が突然何を言いだしたかを理解できずに…硬直した…しかし、俺の頭の中では激しい議論が天使と悪魔によって行われていた…『ダメです!!千影ちゃんは、何かの拍子にそのことに思い言ったのかは、分かりませんが…そのことに、付け入ろうとするなど言語道断です!!』『うるせぇい!!千影ちゃんが、勇気を振り絞って言ったかも知れねぇんだ!「けい君が、喜んでくれるなら」ってな~そのことを、無下にするった~男としてみすごすことができねぇぜ!!』『うるさいのは、あなたです!!この、エセ江戸っ子悪魔!!そんな事、千影ちゃんが思う事ありません!!千影ちゃんは、大輝君のことが好きなんですよ!啓介に、そんなこと思うはずないじゃないですか!?』『うぐっ…いや、でもその…そんなことなくもないんじゃない?…そう、思うです…はい…』『ふっ!弱りましたね!!やはり、私が正しいのです!!私こそ、正義です!!』と…えっ?悪魔が悪魔っぽくないって?だいたい、悪魔が勝つって?天使は、絶対に勝つんです!!(天使談)
と、脳内天使が勝利を収めたことで啓介は「いや、いいよ…(千影にも悪いからな~それにそんなふうに千影となりたくないし…)」と、言い…千影は心の中でちょっと、泣くのであった…恥ずかしさと、好きだと分かってくれる期待を裏切られたことにより…
そんなやり取りをしている間に、休憩を終えた竜ニーナは空へと上がっていき危険を乗り越えた(?)二人は、森の中で暗くなる前にテントなどをどうするかなどを考えていた…「なぁ~魔法で作れることは、わかったけど…構造ってわかるか?」「えっ?あれって、四方向から針で支えて…布でもかぶせればいいんじゃないの!?」「そんな訳ないじゃん!?耐久性能とか、いろいろあると思うし…」「えっ…でも、インディアンが使っていたテントって三本の木を櫓みたいに一点で重ねて布を巻いただけだったような…」「マジ?そんなのでイイの?」と、言い争い…三十分後…「ホントにあんなので、建っちゃったよ…」と、完成したのはインディアンテント一号である。中に入ってみるとなかなかに広く快適であった…見た目の割には…そして、その要領で色々と毛布やら枕やらを作り終えてから…新たな問題に直面した…それは、テントを一つしか作れてないので二人で一つのテントを使うしかないという事である…しかし、俺はここにおいて画期的な考えに至る。「なぁ~千影~この森ってさ~危険かもしれないだろ?」「うん?…そうかも、知れないね…」「だからさ~俺が、見張りやるから~その間に、寝ててよ?」と、この名案を語ると…予想もしなく「なら、交代ね?」と、かわいく小首をかしげつつ同意を求めてこられ…あえなく、合意してしまった…おれって、千影の笑顔やら表情やらに弱くねぇ…と、思いもしたのだが、弱くないのはもっといやなのでそのままにしている…「ねぇ…けい君…食べ物ってどうしようか…」そう、テントの問題やその他もろもろの問題を乗り越えてきたのだが…この問題が残っていた…「う~んと、まだ外も明るいし…紐を垂らしながら川でも探しに行くことにする?」「うん!ならさっそく探しにいこう!!」と、えらく乗り気である。「あ、あと…大きな葉っぱがあるといいね?」「うん?何に使うんだ?」「えっ?わからない?」「う~む、食べるのか?」「そんなわけないじゃよ!?下に敷いて、その上に寝るんだよ!」「あ~なるほど、よく考え付いたな」「えへへ」と、ハニカミながらニコニコしている千影を見てますます好きになっていく俺であった…その後、俺たちは先の計画道理に動き出し森の中をゆっくりと歩いていた。しかし、残念ながらここには方向音痴である千影とその決定に八割がた従ってしまう啓介だけしかいないこの結果が何を意味するかは、言わずともわかるであろう…そう、知識も何にもなく森の中をほろほろと、歩き…奇跡的に水の音を聞きつけて近寄れば川が流れていたのである。「やった~奇跡だ!!」「ちょっと、けい君それってどういう意味!?」「そのまんまだよ、たぶん…千影が考えてるとおりの」「ひどっ!?ねぇ~とりあえず、どうやって魚とるの?」「電撃漁法だよ、たぶんそんな名前…」「でんげきりょうほうって何?」「うん?こうやるんだよ…『魔道白書』…『電撃の矢』」と、電気の矢が川へと飛んでいきバチッと音がして五匹が川に浮かんだ…そう、川に浮かんだ…「うわぁ~待て~」「待って~お魚さん~」…この方法は、もともと流れのないような湖や川において行われる…違法かもしれないが…川がある程度の流れがある今回のような場合…結果は、分かったようなものである。
その後、俺たちはビショビショのままテントに戻りたきぎに魔法で火をつけて、内臓を俺が試行錯誤しながら取り払い中を水魔法で軽く洗い、串に刺して火の回りに置いておいた…「なぁ、千影は心残りとかないのか?」「何の…生前…?」「そう…」「う~ん、特にないかな…まだ、先のこととか考えてなかったから…恥ずかしい話なんだけど…」「そっか…俺は、もっと家族とかにお礼を言いたかったな…」「それは、私もだよ…でもね、この世界にこれてよかったこともあるんだよ?」「そっか…(どうせ、大輝のことだよな…いいな、大輝の奴は…)」と、今はいない奴に対してグチグチといっていると程よい感じに焼きあがったので、食べ始めた。