Trick Or Treat!!
Trick or Treat(お菓子かいたずらか)!
お化けの仮装をした子供たちが家々を回る。
街はカボチャの電飾がキラキラと輝き、出歩く人たちが非日常を楽しむ。そんな微笑ましい行事。
「Trickだ」
俺はできるだけ冷たく突き放すように答えた。
元来へそまがりな性格がこのカボチャ頭のガキに菓子を恵んでやることを拒んだ。
ガキめ。いつも思ってた返答がくると思うなよ。
「・・・あの、Trickだとイタズラの方になっちゃうんですけど。」
「Trickだ」
「お菓子がないなら、ガムとか、なんなら今お兄さんが手に持っている柿ピーでも問題はないんですけど」
「Trickだ」
「今日はハロウィンという行事でして・・・・」
「知ってる。Trickだ」
しつこい。そもそも菓子を渡さねばイタズラするぞというその態度が気に食わん。
脅迫ではないか。
服従か死か、剣かコーランか、そしてお菓子かイタズラか。なんら変わらん。
「仮に君がどこかの国の王様だったとしても、今日のオレはTrickを選ぶよ」
再び冷たく言い放ちドアを閉じた。鍵もワザと音がなるように閉めておこう。
スッキリとした気持ちが満ちていくが、そこに一抹の不安が湧いてきた。
…まさか泣いてはいないだろうか。
まずい、それはまずい!
あのガキが泣いているのは別に構わんが、玄関前というのがいかん。
そんなところを目撃されれば、私の評価が毅然と要求を断った紳士ではなく、子供を泣かせて喜ぶ変態になってしまうではないか。
私は確認するため、ドアの覗き窓に顔を近づけた。
魚眼レンズのように少し歪んだ景色には、先ほどのガキがカボチャの面から溶接用の面体に付け替えていた。ガキの後ろには溶接の器具が見え隠れしている。
あのガキふざけんなよ! Trickか!これTrickか!?
大体あいつさっきお菓子は柿ピーでも良いって言ってたのに、断ると溶接か?
「柿ピーか溶接か」ってバランス悪すぎるだろう!
しかし、こんなやばいやつを前にドアを開けるのも怖い。
悩んでいるあいだにもドアの溶接が始まった。
目の前が真っ白になった。




