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01

私は菅原朱音。

28歳の不動産会社に勤めるOL。

現在、大企業のKコーポレーションの依頼で、商業ビルを建設・運営する企画を受け持っている。

今日はその取引先での会議でプレゼンを行っていた。


「以上となります。何かご意見ありますか?」


「はい。数点質問があるのですが…」


「そちらの点については…」


メインメンバーの私が代表して相手先の人達へ説明を行い、質疑応答にも対応する。

質問も想定されていた部分ばかりなので、事前の調査結果や見通しを丁寧に答えていく。


「他にも何かございますか?なければ、今後の流れについて説明を…」


質問もなくなり、次の議題に進めようと思ったその時だった。


「ちょっと待ってください」


嫌な声が会議室の後方から聞こえてくる。


「今のプレゼンで気になる点があるのですが…」


出た!私の天敵!----


彼は北山 賢部長。

相手先のこのプロジェクトの責任者。

社長の御曹司で私より若いのにすでに管理職という、なんとも好感がもてない男。

後ろへ前髪を流し、きちんと整えられた髪の毛から現れる額は狭めで、そこからすっと伸びた鼻筋とぱっちりと開いた聡明な瞳が知性を漂わせる。

そして、そのインテリ眼鏡がイヤミに光っていた。

しかも、その整った顔立ちだけでなく、身長も高くてモデル並にスタイルもよい。

ウチの会社の女子社員も知ってる位に有名ないわゆる高スペックの男だ。


「この資料の予定収益のところ、データが古いので、最新のもので再度割り出してください」


「申し訳ありません。そちらについては確認後、後日回答との事でよろしいでしょうか?」


「それは構わないですが、普通はそこまで資料を詰めてからプレゼンに臨むものだと思いますよ」


奴はにっこりとそれはそれは嫌味に微笑んだ。




「あ~ムカつく!何なのよあの男…!毎回毎回!」


オフィスに戻ってきてからも、怒りは収まらない。

人目をはばからずに、文句を言ってしまう。

そう、毎回会議でプレゼンをする度にあの部長にイヤミを言われていたのだ。

しかも、その指摘が的確だからこそ、更に腹が立つ。


「先輩落ち着いて下さい。気持ちはわかりますけど。

 先方も部長の指摘の部分以外は満足してたから大丈夫ですって」


アシスタントで付いてきた後輩の糸田君がフォローをしてくれる。


「でも、いつもウチの出す資料とかにも難くせつけてくるし…」


「確かに…でもあの人すごいですよね。俺達やあっちの会社の人達も見落としてる様な事指摘してきますから…」


そう。それがさらに私を苛立たせる原因なのだ。

元々優れている人間が、私達の様な平凡な人間の努力を見透かして高みの見物をしている様なそんな印象を抱かせる。


いつか、絶対ぎゃふんと言わせてやる…!!


なんて心に誓っていた。


「先輩、このデータはどうですか!?」


そのまま、指摘された部分についての資料を作成するために二人で作業に取り掛かる。

糸田君が調べたデータを持ってきたから、目を通す。


「こんなの全然ダメ!詳細が載ってないじゃない!」


「すいません…」


「もっとまともなデータ確認して!絶対にあるはず!私もこっち調べるから!」


余裕がなくて、糸田君にもキツく当たってしまう。

そのままデータを調べたり、それ以外の残っている仕事をしていたら

あっという間に終電になってしまった。



「はぁ…」


電車を降りて、そのままマンションへと一人でとぼとぼと歩いていく。


「ただいま…」


一人暮らしの私は、誰もいない真っ暗な部屋にそう呟いて電気を付ける。

そして、買ってきたお弁当で遅い夕食をとってから、お風呂に入って肌の手入れをする。


「あ…この子も結婚したんだ…」


パソコンを開いてSNSを眺めれば、皆の幸せそうな近況がたくさんUPされていて寂しい気持ちになる。



周りも結婚して子供がいたり、婚約が決まっている友達ばかり…

そんな中、私は相変わらず独身…


社会人になって数年後、学生時代から付き合っていた彼氏と別れてからは男の影もない。

仕事の経験値だけは上がって、責任も伴う仕事を任される様にもなってきた。

自分も一生懸命取り組んでるし、それなり結果も出ているからやりがいは感じている。



充実はしているけれど、同時になんだか周囲から置いていかれている様な漠然とした不安を感じていた…




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