owari
あの忌わしい事件から一週間後。
大部分の十字士は捕まり、殺人をした者は刑務所及び、死刑という運びになった。
姫の両親は自首して逮捕となった。目が醒めたのかどうかはわからないが、コレでよかったのだと思う。
因みに、超能力者の情報は伏せられていた。
科は神村に育てられ、聖騎士の座に居たからか一週間後の今日まで警察で色々と話があったらしい。
今日、放課後の学校に来るらしいのだ。
紀伊の願いで元那と指揮、そして紀伊はダウトをして遊んでいたのだが……。
「お前さあ。人の嘘を分かるんじゃねえの?」
指揮はそう言いつつ、五〇枚に増えた手札を凝視する。
「んな訳ねえだろー」
そう言う元那の表情は引き攣っていた。
「まあ、人の感情には機敏だけど」
「……能力持ち何じゃねえの?」
「よっしゃー私の上がり!!」
パアン! とカードを出して鈴野が言う。
「ダウト」
指揮は殆ど無感情に塗れて言う。
「つーかお前の負けだろう。もう」
指揮と元那がドアの方を見る。
「よう」
科が立っていた。
「科あああああああああああ!!!」
ぐわばあ! と指揮は抱きしめる。
「や、馬鹿! 抱きつくな!! そこ! 瞳をキラキラ輝かせるなあぁああああああ!!!」
科は嬉しさ悲鳴が混ぜ合わさった叫び声を上げる。
紀伊は微妙に嫉妬しているような表情で指揮を見た。
今日も今日とて集まっていた女子たちは「うわー」と興味深い視線を投げつける。
元那がホッとしたような表情になった。
◆◆◆◆◆◆◆
先生に追い出され、科と元那と別れ、紀伊と二人で歩いていた。
「で。錆は紀伊が雇った探偵だったって訳か」
「うん。超能力者の友だちが欲しかったし……」
指揮は紀伊を恨めしそうに睨む。
「何で言ってくれなかったんだよ?」
紀伊は後味悪そうに目を伏せる。
「言うなって言われてて……潜入捜査してたし……一週間は言うなって」
「あーそう言えば集会に居たしな。そう言えばアイツ幽霊だって倉品が言ってたな。あんまり人と関わりたくねえのかも」
「え!?」
今初めて聞きました、と言わんばかりに驚いている紀伊。
「そんなー! 求めている者がすぐ近くにあっただなんてーーーーーー!!!」
そんな紀伊を見て指揮は苦笑する。
「まあまあ。俺が居るからいいじゃん。姫も居るしな」
指揮は自分の部屋へと帰ってくると姫がだらーっと寝ながら指揮の帰りを待っていた。
「お帰りー」
指揮は笑う。
「はは。姫は居付いちまったなあ」
「何よ。指揮がプロポーズしてきたんでしょ。私が居ると嫌なの?」
姫は不満気に言う。
「いや。寧ろ嬉しい」
指揮はコレから先のことを考える。
人生には色々な事件があるだろうし、あれだけ固執した紀伊や科、元那とも別れる時があるだろう。
けれど、指揮はそれでもいいかな、と漠然と――しかし、確かな考えを持って思う。