表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/93

史上最強の敵

 屋敷の門の前で科の登場を待っていたが、いつまで経っても来ない。

 そして、姫の両親や神村も。

 裏口でもあったのか?

「時間だ……」

 指揮は悔しそうに呟く。

「ええ。そうね。集会の時に潰すわ」

 姫は好戦的な瞳で言う。

「そうだね。大丈夫だよ」

 そう言う紀伊の身体は小刻みに震えていた。

 恐怖しているのだ。

「ここで待ってるか?」

 指揮は柔らかい口調で尋ねる。

 紀伊は首を振った。

「ううん。行く。怖いけど……指揮だってコレを乗り越えてきたんでしょ?」

「どうだろうな……」

 指揮は怖い。

 どうしたって、心の底から滲み出てくる恐怖はどうしようもなく身体を縛り付けてくる。

 だけど、護りたいモノがあるから戦えた。

 科を助ける為に。

 二人を助ける為に。

 罪のない超能力者全員を救う為に。

 その為には神村駆流と戦わなくてはならない。

 十字団を創り上げた男。

 科を苦しめ続けている神村をぶん殴る為には、十字士全てを敵にしなくてはならないのだ。

 指揮たちは集会の場所へ向かう。

 集会の場所はあのホールだ。



◆◆◆◆◆◆◆


 神村は昨日作った即席の壇上の上に居た。

 そして、真横にバイクのような形状に布を被せた物。

 神村は待っていた。

 大船指揮を。

 史上最強の十字団の敵を。

 力じゃない。

 策でもない。

 ただ、本能がそう告げる。

 そして、指揮と対になる神村の最大戦力の一人――科が来るのを待っていた。

 科の眼前で確実に殺すことが必要だ。

 未練しきを断ち切る。

 真下にはホール一杯に詰め込まれた十字団の手駒。

 壇上の横には十字団の最大戦力の二人。

 そして、一番前や後ろで見ている聖騎士の五人。

 指揮たちが来ない場合の演説を即興で考える。

 唐突に幾つかの石の弾丸が十字士たちを一掃した。

 まるで散弾銃で狙われたかのように十字士たちは倒れ、あるいは負傷した部分を抑えて呻く。

 うろたえが周囲に伝染するのを肌で感じた。

「君たちは超能力者を殺し、世界を安寧に導く勇気のある集団ではなかったか!? この程度でうろたえるな!」

 その時、真上にあったシャンデリアが落下した。

 指揮の能力だ。

 更に中央に居た十字士が大声で喚き、隣の人間を殴りつけた。

 鈴野の能力。

 シャンデリアは飛び上がった姫が触り、魔法の絨毯のように一気に駆けた。

 十字士を一掃し、壁へと激突する。

 神村はコチラに走ってくる指揮の姿を見た。

 更にシャンデリアが落下。

 姫が触れ、大砲の弾のように十字士たちを弾き飛ばす。

 指揮は姫と鈴野の圧倒的な能力の補助を受け、十字士の波から抜けてくる。

 その時。

 壇上の横に居た村井と倉品が動いた。

 村井は壇上へと登り、銃を発射する。

 倉品は十字士たちの波に突っ込む。

「ソイツに道を開けろ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ