決起集会
指揮は結局、姫と鈴野に話すことにした。
但し、生き残ることを前提に考える事。
それだけを約束させて、話した。
「大きいね……」
紀伊が屋敷を見上げて感嘆の声を上げる。
「紀伊のマンションの方が大きいだろ」
そのセリフに紀伊の表情がまるで華が咲き誇るかのように輝いた。
一方、姫は指揮を睨みながら灰を被ったように煤けている。
「指揮? いつの間に鈴野と仲良くなった訳?」
「え? あ、いや……」
指揮は慌てて手を振りながら言い訳染みた(しかし本当の)弁明をする。
「あの、紀伊が何つーかあそこまで俺を想ってくれてんのに名前呼びをいつまでも続けるのはなあーと思いまして!!」
あはははは! と笑う。
姫は指揮を睨みつけ、紀伊は嬉しさのあまり小躍りしている。
「いやー言った甲斐があったなあー」
指揮は二人のお陰で心が軽くなるのを感じる。
二人の存在は科や元那と変わらない程に大きくなっている事を感じていた。
「じゃあ行くぞ」
◆◆◆◆◆◆◆
「あードチクショウ!! やっぱり科居ねえ!!」
流石に三〇分前は早すぎた、と指揮は頭を抱える。
「しょうがねえ。あの二人を見に行くか」
「村井と倉品、だっけ?」
紀伊はそう言って指揮を見つめる。
「そう」
指揮は短く答えて、書斎へ二人を連れて向かう。
書斎のドアノブに手を当て、回す。
緊張で一気に胸の鼓動が早まる。
村井はもう居なかった。
後悔で頭が真っ暗になる。
嘘だろ?
「くそ!」
指揮は毒づく。
今考えれば、昨日の内にでも来て掃除をするような係りが居たのかも知れない。
だとすれば、倉品も同じだろう。
もう既に助けられている筈だ。
「ごめん。姫と紀伊には負担をかけるかもしんねえ」
後悔に塗れた声音が自然と漏れてきた。
「ううん。別にいいよ。もう一度戦えば」
紀伊は呑気にそう言い、姫は溜息を吐く。
「ま、指揮だししょーがないわね」
「ごめん。ありがとうな」
指揮はお礼を言って、倉品を閉じ込めた場所に行く。
やはり、居なかった。
最悪の事態。
十字団の最高戦力と指揮、紀伊、姫の戦い。
「お前ら、いざとなったら逃げろよ。俺も逃げるから」
指揮に言えるのはもうコレしかなかった。