表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/93

科と狂人

 三叉路を右に曲がった瞬間、元那が居た。

「うわお!?」

 元那は指揮の顔を見て、大げさに驚く。

「何だよ?」

「いや、頬が切れてるぞ?」

「あ……」

 傷薬は塗ったが誤魔化せる傷ではない。

「あ……コレは、その……」

「猫にでも引っ掛かれたか? ココに居る野良猫はひでえからな」

 元那はそう言い、掌を見せた。

 掌は傷つき、血袋が出来ていた。

 痛そうだな、と思いながらもラッキーと思い、話を合わせておく。

「まあそんな感じだな」

「ふーん」

 疑念の目で見てくる元那に罪悪感を刺激される。

「悪い。もう行くわ俺」

 じゃあ、と足早にその場を去っていく。

「……ああ、じゃあな」

 元那のセリフは深い様々な感情を載せた声音だった。


◆◆◆◆◆◆◆


 科は三谷の家族を訪れていた。

 リビングに上げられ、ソファに座る。

 対面には母親が居た。

「すみません。挨拶に行こうと思ってたんですけど……」

 母親は柔らかく目元を緩める。

「いえ、いいんですよ挨拶なんて」

「いえ。俺ら十字団の為に……アイツは」

 そして、母親は言う。

「聖騎士様が来てくれたと知ったら喜ぶでしょうね」

 悲しげに、しかし誇らしそうにそう言う母親。

「そうですか……」

 科は心中穏やかではなかった。

 胸がざわざわとし、焼け付く。

「あ、そうだわ。聖騎士様に見てもらいたい物が……」

 パタパタとスリッパを鳴らして棚の辺りをごそごそ探っていた母親は目当てのものが見つかったらしく戻ってきた。

「コレです。神村様にも渡したんですけど……」

 母親が科にソレを手渡してきた。

「何ですかコレ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ