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毒素

 指揮はジャンパーに入れてあった分厚い本の数々を落下させた。

 一冊の本は焼け焦げ、付録のように銃弾が埋め込まれていた。

 能力を使いシャンデリアを落下させ、気絶させた村井を見る。

 頭部からは血が流れ、ドクドクを脈打つ血管を想像してしまう。

 俺がやった……、意識して。

 心臓が痛み、後戻りできない後悔が心に渦巻く。

 指揮はたどたどしい動作で何とか村井の身体を縛り上げることに成功する。

 右腕と左腕は背中に回し、念入りに縄を巻きつけた。

 コレからどうする?

「お前……これ全部分かっていたのか?」

 覚醒したのか村井がぼんやりと喋る。

「ああ。お前は一度俺の策に敗れた」

 村井が動けないのを確認しながら指揮は喋る。

「対策は三つある。俺の策を全て読み切るか、対策を考えるか。力押しをするかだ」

 ウエストポーチを腰に巻く。

「村井は頭がいいからな。対策か読み切るかのどっちかだと思った」

 指揮は今後の方針を頭の中で決めようと考える。

 村井は頭部から流れてくる血が鬱陶しいのか、顔を顰める。

「……だからこそのブラフか」

 村井は答えを呟く。

「そ。だからロシアンルーレットだの何だの穴だらけの作戦を遠まわしに伝えた。言わなかったら、天井にあるシャンデリアに気づいたろうから」

 言いながら、机に付いている金属の引っ掛かりからシャンデリアが落下している書棚の向こう側にある書棚まで引っ張っていた縄をウエストポーチに片付ける。

 書棚の側面にはナイフとマイナスドライバーで開けた穴が開いていた。

 そこから縄を通していたのだ。

 書棚は本が大量に流れ出て、床を浸し、書棚は傾いている。

 本を何冊か下敷きにしているのだ。

 これは指揮の第二の策だった。

 縄を引っ張れば本棚が倒れ、連鎖で村井の居る本棚も倒れる……という。

 正直上手くいくか保証はなかった。

「さて。お前の処遇だな」

 指揮は村井に向き直る。

「お前は……そうだな。決起集会が終わるまでどこかへ幽閉しておく」

 そのセリフを村井は鼻で笑う。

「殺さないのか?」

「お前らと一緒にするな」

 指揮は憮然を答え、どこがいいか考える。

 外では目立ちすぎるから駄目だ。

 屋敷の中しかないという結論に至る。

 調理場? 寝室? 様々な部屋が候補に思い浮かび、どれも決定打になりえない。

 殺せば、いや、右腕だけでも粉砕すれば確実に戦力ではなくなる。

 そう考えた自分自身にぞっとした。

「何を、考えた? 俺は……?」

 ぎり、と奥歯を噛み締める。

 十字団――死闘の毒素だ、と指揮は思う。

 人の死や負傷に慣れすぎた。

 これ以上戦うと、指揮は指揮でなくなる。

 漠然とそう思う。

「くそ……!!」

 一刻も早く、もう一人も見つけ出さなくては、指揮は考えさっきの発言を思い出す。

「お前、そういえば侵入がどうこうって言ってたよな? 誰だそれは?」

「……俺が聴きたいくらいだ」

「倉品はソイツにやられたって事か……?」

 指揮は村井に訊くが、村井は何も答えない。

 指揮は村井を置いて行き、屋敷中を駆け回り、倉品宗次を見つけた。

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