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乱入者

 倉品はベルトに銃を戻す。

「あの野朗……っ!!」

 毒づき、ケータイで大船指揮が逃げてしまったと伝え、ポケットに入れ直す。

「躊躇なく飛び出してくるとはな……」

 正直侮っていた。

 突如、肩に硬いモノが当たった。銃口だ、気づく。

「動くな」

 冷静な声に従い、目の前の廊下を凝視した。

 思考が巡る。

 右掌を当てれば、相手の存在ごと抹消できる能力を保有している倉品は余裕の笑みすら浮かべる。

 肩を狙っているという事は殺しはしないという事だ。

 この冷静な声と後ろから感じる気配はとても素人とは思えない。

 ヘタな動きさえ見せなければ撃たれないのは、感情的になっている素人よりも扱いやすい。

 代わりに素人を陥れるよりも神経を存分に使わなければいけない。

「アンタ、殺し屋か何かか?」

「違う。こんな事をするのは久しぶりだ」

 受け答えが出来たことに内心ほくそ笑む。

「へえ。いつこんな事をしたんだ?」

「十字団の影――倉科宗次」

「何だよ?」

 倉品はいつもの癖で視線を移動させようとするが、銃口に更なる力が込められたので慌てて取りやめる。

「この屋敷には何人の十字士が居る?」

「ココには居ねえ。俺らは影の人間だぜ? 十字士に対する命令の権限なんてない」

「なら、倉品宗次と村井貴一のみという事か」

 事実確認をしただけ、という興奮の色のない声と同時に銃口から火が噴いた。

「え?」

 肩が撃ち抜かれ、呆然としたままよろける。

 一瞬で冷静さを取り戻し、相手の存在を確認しようと目を向けるが既に目の前に居なかった。

 銃をベルトから取り出そうとして、手は空を掴んだ。

「は?」

 呆然とした次の瞬間、真後ろから重く響く音が聞こえた。

 右腕が衝撃で跳ね上がる。

「が……ッ!!?」

 跳ね上がった右腕を感じ、撃たれたと意識する。

 それとほぼ同時に右腕に火で炙ったような痛みが現れた。

「うぐ、あ……!!!」

 それでもプロとして生き残る術と鉄則が身体を休ませない。

 全体重を真下へ降ろす。

 要するに、床へ勢いよく座ろうとしたのだ。

 右手を床へ付ければ、床は分子単位にまで分解され、逃げる為の道になる。

 その前に右腕を蹴り上げられた。

 激痛が走り、小さく悲鳴を上げる。

 次の瞬間、首にちくりとした痛みが走った。

 針だ。

 左手で抜き、投げ捨てる。

「何だ? コレ……?」

「お前の能力は右掌に当てたものを全て分解する能力」

「俺の、能力まで……!!?」

「ああ、聴いてた。だから自由にさせないために撃った」

 冷淡な声で言う。

「それは麻酔針だ。塗っている量が少ないから完全に眠るのに十数分はかかるって言ってたな」

 淡々と喋るその声を聴いていると意識が揺らぎ、朦朧としてくる。

 目の前の景色が歪んで見えた。

「もう行動できない筈だ」

「うる、せえよ……」

 既に意識が朦朧としてきた倉品に男は言った。

「麻酔に耐性がないらしいな」

 倉品は漫然とした動きでポケットからケータイを探り当て、ボタンを押していく。

 男は既に倉品はやったと思ったのか、廊下の角を曲がって行った。

 短縮ダイヤルから電話をし、身体のダルさに必死に抵抗しようとする。

 ケータイから声が聞こえ、状況を察したように「何があった?」と聞こえる。

 声を一言一言ハッキリと伝えようと神経を尖らせた。

「やら、れた。俺たちを。気をつけ……」

 思考が朦朧とし、言葉の選びがぐちゃぐちゃに掻き乱される。

「何? どういう事だ? 指揮の奴か!?」

「は、あ……」

 ケータイを取り落とし、蓋から電池パックが零れ落ちた。

 意識が朦朧とするが、眠れない。

 あの男の言う通り、一〇分ほど経てば眠れるようになるのだろう、言語機能さえ危うくなった思考回路でぼんやりと考えた。

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