64/93
後始末
強く、なっていた。
科は気絶した指揮を後ろを振り向き、思う。
それとも、元から強かったのか。
「俺は、何がしたいんだ?」
漏らしたその言葉と同時に大量の十字士がスロープから上がってきた。
恐らく観戦していたのだろう。
「流石科さん!! ソイツ超能力者でしょ!?」
一番前に居た男が興奮を隠し切れない声で叫ぶ。
「ソイツ、さっさとぶっ殺しちゃいましょうよ!! 火炙りとか――」
「コイツは殺さない」
科のセリフに集団がざわついた。
不信感が一気に伝達し、煽りを与えたかのようだ。
「な、何でです!? コイツら超能力者を殺さないと――!!」
科は静かに、殺気の籠った視線で十字士達を睨んだ。
「いいからさっさと会議室へ行け」
「は、はい……」
科の眼光に気圧された十字士たちは駆け込むようにホールへと入って行った。
「……」
指揮の元へ静かに寄る。
(連れて行くか)
指揮には現実を教えておいた方がいい。
残酷で、抗いがたい現実を。