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蛇足話 つぶやき


 原初の女神が眠りにつき、

我等神々が残された惑星を管理することになった。

八百万の神々の集まる幽事会の選挙により其々の担当が決り、

この魔素の濃い惑星の主神となってから久しい。



 その上、穢れた神器の破片によって、この地は澱みが溜まりやすく、

濃厚な瘴気を放ち、人や獣を狂わせる。

人が狂えば戦さとなり、獣が狂えば魔王と呼ばれ災厄を招く。

かってのこの惑星当番、人を愛した神の良かれとしてやったことの裏目。

為に、新しい風を吹き込んでやらねばならない申し送りだ。


新しい風は異世界からの転生や転移者によって持たされる。

色々、神同士やり繰りするのだ。


二十五年前。澱みが濃くなり人を狂わせた。

一人の男を異世界から召喚し転生させた。


この男。



「…え? なんで?

こんな若返って…しかも、金髪に蒼い眼。

…イケメンの典型じゃん!


あ―ぁ、前世こんなイケメンに生まれてれば、人生かわってたよな。

巨躯の三段腹デブリンの喪男だったもんな…


それがだ! 伯爵家御曹司。貴族だよ。俺ってば、特権階級。

搾取組だぜ、ヤッホー! 今まで搾り取られてばっかりだもんな。

しかも、一人っ子だよ。

次男の方が、のんびり…冷や飯ぐらいってのもあるか。

まぁ、注文つけてもしゃーないか。


これって、ブラック会社の低賃金、底辺階級社畜生活、

連日の真夜中帰宅。電気もない鉄骨階段、手摺のグラグラ、赤さび廊下。

経年劣化、耐震基準ナニソレ。

トコトコ歩いて踏み抜き事故でニュースに乗るかなと心配したよな。


部屋は隙間風どころか、寒風吹き荒れるボロアパートで暮らし。

定番の身体に巻きつける新聞代も勿体ないと、

スーパーのもってけ段ボールに囲まれ、家の中でのホームレス生活の日々。


雨はやんで外はピカピカお天道様。

晴天なのに屋内は雨漏りどころが土砂降り状態…



 大家に文句を言うと、屋根ぐらい自分で修理しろだ。

仕方なく、激務で過労死寸前の身体を鞭うち、二階の屋根に。

滑って転んで落下してオサラバ没した俺に対する神様のご褒美だよな~。


ありがとう。捨てる神あれば拾う神様。

神の使命? んなもん、忘れた。


よぉーし! 人生やり直し!

今度は死ぬ思いで遊ぶぞォ―ッ!

好きなことやって、スローライフを満喫ぞォーい!」




 

この男、絶対働かなかった…


 あの、日本という国の者たち、

転生すれば、スローライフだ!とか、のんびり百姓するぞ!とか

言いながら、勤勉実直模範生。

いつの間にか社畜にとなりて、寝ずに頑張る習性持ち。

基本、モテなかったから女の耐性ナシ。

相談女とかいう地雷系が好み。

様々バージョンで迫ってきたからと浮かれ結婚。

本人だけが愛に目覚めモテたと錯覚。

おんぶにだっこの苦難も楽しい。タダでアレできるしと頑張る、

Ⅿ系人間ばかりだと思って選んだが、


日本、お前、変わったのか!?



 それとも、あたら前世の記憶をもち、

ライトノベルに漫画が趣味と知的財産?もって

自分本位に図太く世渡り自己愛に目覚めたか?


この男、本当に何もしない。しなかった。

趣味で遊び回り、下半身を熱心に動かすほか、何もしないのだ。



 遂に戦争が起こった。

仕方がない。神は約束に縛られる。



「おい、ドラ息子、ちょっと下界に言って決着つけてこい!」

「へッ? なんで?」

「つべこべ言わず、行け!」

「へへへ、ご愁傷、若、いってらっしゃいっス」

「阿保か、ラムッシュ、お前も共にいくぞ」

「へッ? なんで?」





嫌々、行った癖に、息子は運命の番を見つけたと戻ってこない。


そうこうしていると、戦で死んだ者達の鎮魂がおざなり。

瘴気が溜まり…魔王まで生まれた…やれやれ、聖女の出番か…


あの怠け者男にちっとは責任とらせるか。

また同じにならないとも限らない…

前世の記憶は抜いておくしかないわな~。



下界のあの男をみれば、

自分のためなら、生まれた娘の魔能もとりあげ、魔力なしにし、

保身に走っているやんか…


娘は、『転生者の娘』という特性で、魔眼持ち。

自分の存在をバレるのが、嫌さにな…


もう一人の娘も然りと、勢い込んでいたが、魅了の持主。

これは自分に危害がないと放置したようだ。


そして、ウォッカ、転生者の息子にして、魔王だ。

転生者の偉大な魔力の奔流故だろうが、それともあの男、しらずに

神器の破片を備えたか、魔力の多い所に吸い寄せられる破片。

皮肉なことだ。


あの男、やはりとんでもない災厄だったな。

人選ミスを認めるほかない…


 六歳の儀にウォッカが祝福を受けた。

この怠け者男、慌てて忘却よりも強い消去魔法をかけおったが、

ウォッカに弾き飛ばされたおった。


その挙句、ウォッカに伯爵位をとりあげられた。

神の御子だと皇弟にチクられおった。

今は男色家の皇弟に監禁され、毎朝毎晩休む間もなく使われている。

主にナニをだが…


ウォッカは魔王として、生まれた時から目覚めていた。


聖女を天から送った。


聖女は魔王を落した。


一目惚れ、魔王の初恋というものだ。これは計算外。

そんなもので魔王の力を封じたとは…いやはや、人の国は分からん…



しかし…まわりが悪かった…


神の御子、聖女を落としたはいいが、皇国の人間が腐っていた。

もう、いっそ全滅させちゃおうかな…そう思っていれば…


ドラ息子は旨く収めた…魔王ウォッカも懐いている?

我も人間との約束から解放された…



めでたし、めでたし。



孫ももうすぐか。

顔でも見に行こうか…






ありがとうございました

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