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 リラがこんなことになったのは…


戦による戦死者たちを送る、時神への祈りが疎かになってしまった。

そのことで、穢れたが霊魂が集まり瘴気を放った。

その不浄の地に魔王が復活。各地に災いをばら撒いたから…




 魔王は何度も生まれ変わる。

それは、神の失敗。人の傲慢…



創生期

四聖人は神から人の手にとこの世界は託された。

その時、地を治める四聖人が賜わったのが、安定と繁栄いう神の御心を

受けた聖剣、聖杖、聖杯、聖飾。四種の神器。


四聖人は神に感謝し、この神器に頼ることなく己を律した。

しかし、次の世代へ次の世代へと何世代も受継げば、人の心はそれを

当然とし、胡坐をかき怠惰になっていく王もあれば、傲慢な王となる者も。


四種の神器。

それさえあれば、何の努力もなく、繁栄し野望が叶う。

やがて、神の御心を忘れ、全てを我が物にと、戦いが始まった。

闘いの最中、憎悪を瘴気を吸い続けた神器が罅割れ破片が方々に散った。


神は地上をみて困惑した。


敬神皇が神の意を汲み、欠けてはいたが、四種の神器を取り戻した。

過ぎたる力は災いと神に返納した。

戒めとして選ばれた者のみ使えるレプリカを残した。


神は褒美に、災いがおきれば神の御子を落すと。

敬神皇は苦笑した。


しかし、欠けた破片は地に残った。

かって、魔獣は強いが、魔素から生まれた魔物は人間と同じように知恵は

あったが弱かった。

偶然その飛び散った瘴気を含んだ神器の破片が魔物の身体に入り込んだ。

魔王となり魔物を強力化させ、破壊を楽しんだ。




 人の心が荒廃し魔素が澱み瘴気をうむ、

地に埋もれ神器の破片は穢れを吸い魔王を復活させる。


この世界は、それを繰り返してきたのです。





 数年に渡る勇者クローブとリラの目付役として聖騎士テキーラ、

魔法修道士カルーソー、騎士団からは斥候役キャロルとの魔王討伐の旅。


その旅で魔王を倒し、勇者クローブはその任務から解放され、

第五皇女と結婚。魔王討伐の功績により公爵の地位を与えました。


この国は、どうも公爵の安売りをするようですね。


聖騎士テキーラも陞爵され聖騎士団に戻り、聖騎士団団長となり、

魔法修道士カルーソーも同じく部署の長の位を、斥候役キャロルも

近衛騎士となり子爵位を。其々過分な褒賞を与えらましたが…




 旅の合間のリラからの便りでは、勇者や他の皆様のことが

触れられておりました。


直接は控えたようで、書かれておりませんでしたが、

所々から推測すれば、勇者は颯爽とした美丈夫ですが自意識過剰。

誰でも自分に抱かれたいと思うドパーミング過多。

思い通りならなければ直ぐに怒り出す、セロトニン低下男。


リラは幾度も貞操の危機を感じたようでございますね。



「君、意外と可愛いね。僕を好きになるのは仕方ないことだ。

僕ってば、ほら、勇者だし、誰よりも強いし、かっこいいからね。

誰もが僕を好きになるのは当然だよ。

僕は困っている人をほっとけない人だから。

なんなら、君を抱いてあげてもいいよ」


「い、いえ…私は神に仕える者ですから」


「遠慮深いんだね。いいよ。いいよ。そういうのも僕の好みさ。

僕は正義をつらぬく勇者だからね。今宵は君を慰めてあげよう」


意味不明な勇者クローブに言い寄られ、どうすればと困った眼を向け、

リラは後ずさり。

それを見た勇者に気のある斥候役女キャロルが逆上。


「あんた! 上目遣いで、クローブを誘ってるんじゃないわよ!

聖女様って、とんだ阿婆擦れね!」


「キャロル。心配したのかい? 僕の愛は大きいから大丈夫だよ」


「でも、この聖女、大人しい顔して修道院でも神官を誘ったことが、

バレて、隔離されてるっていうじゃない!

次席聖女様も、私の友人の聖女見習いの子達も、みんな言ってたわ。

訪れた貴族達にも媚びて、お金を貰っているってね!」


「へぇ~。そうなのかい」


「そうよ。それに伯爵令嬢と言っても養女。

捨て子だったのよ。ギムレット伯爵が神殿にいい顔したいから、

養女にしたっていうだけじゃない」


「ふ~ん。じゃ、お互い身体の付き合いでいいね。リラちゃん」


「だめよ! そんな子、勇者にふさわしくないわ!」



 美人のリラに言いがかりをつけ、事ある毎にリラに突っかかる。

貶めることで、自分が中心になろうとする斥候女。

それをモテ男はつらいと。二人が自分を取り合いしていると喜ぶ勇者。


辟易しているリラの様子がみてとれました。



私には、手紙をみると、その場面が手に取るように浮かびます。

想像過多でしょうか?

いえ、真実だと何故か確信できるのです。

それは記憶を取り戻した時から…




「聖女様よォ。あんま、仲間内でゴタゴタおこさないでくれっかなあ。

魔王討伐で一つにならなくちゃいけないときだぜ。

俺達、恋愛してる暇ないしょ。そこんとこ、分かって欲しいかな?」



 一際巨躯の聖騎士テキーラは、リラの目付という立場からか、

あろうことか、被害者であるリラに自重するよう忠告してきたのです。


テキーラは自分の出世だけに囚われた処世術にたけていました。


勇者にいえば、自惚れを助長するだけ。

キャロルに注意でもするものなら、炎上するのは火を見るより明らか。

大人しいリラを黙らせて、事なきを得ようと姑息な働きにでたのでしょう。


そして、この男、リラには少しの路銀を渡し殆どを着服。

聖騎士の名を汚す男。神殿は腐敗していました。



 魔法修道士カルーソーは我関せず。

我が道をいく協調性の欠片もない優男。

それがいいのか、テキーラが男色家なのか、両刀使いなのか。

絶えずカルーソーの尻を狙う有様。カルーソーも満更でもなく…

あら、はしたないことを申しました。ごめんあそばせ。

 


 兎に角、オレ様自己中思考回路自分正義おしつけ勇者、

自分にかかる火の子だけは払い、一点に向かい猪突猛進型聖騎士。

プライドが異常に高く女が男より目立てば舌打ち魔法士。

共通点はグチグチと何時間でも文句を言い続け、

自分だけが頑張っていると、本気で思っている点。


全てのクズ男の性格を凝縮した顔とスタイルだけはいい男性達と、

ねちねちと執拗な嫌がらせを繰り返す恋愛脳地雷女との旅。


一人孤立したリラは

魔王との闘いよりも共にいることが疲れると少し零していました。



このような勇者パーティ。

当然、まとまりのない戦い。


リラといえば、勇者や剣士、魔法士に即座に治癒に回復、シールド。

強化や鎮静の付与魔法エンチャントと細やかにサポート。


しかし、リラのそうした働きがなかったように。



「ちょっとは聖女に頑張ってほしいわよね

あたしなんか、真っ先に戦ってるのにね。な~んにもしないんだから!」

「そうだな…少しは…」

「後方待機てのは楽なもんだ。俺達が怪我でもしないかぎりな」

「ちっ!」


これだけサポートしているのも、何も理解せず、

リラを役立たずとそしる節穴の勇者たち。

遂に…



「「「魔王!」」」


 勇者が斬りかかります。

ふわりと簡単に避けるエルダーリッチ。


エルダーリッチの傍には四天王の腐死王、二体のタッグによって、

地中から次々に沸きでるスパルトイ、グールにゾンビ、グリムリーバー、

ガーゴイル、スケルトン、首無し騎士、スケルトンドラゴンと、

斬っても薙いでも払っても霧散し、形をかえては蘇る不死族。


聖剣をもってしても勇者や聖魔法の付与剣を持つ聖騎士は梃子摺り、

聖魔法をほんの一発唱えれば、長時間のクールタイムが必要な、

使えない魔法士はお手上げ。

斥候女は邪魔者でしかなく、じりじりと体力気力魔能を削がれ

苦戦を強いられていったのです。



 このままではと…

リラは、自分意外が目立つのを嫌う勇者や魔法士らに

気を使いながらも、聖環を下ろしました。



「慈愛の神、この者らの穢れを清め浄化の光を。

サンクチュアリサークル!」



 大いなる神聖な光の環。

全て不死族を埋め、遂に灰とり煤となり霧散させたのです。


さぞ見事なものでしたでしょうね。目に浮かびます。


…にも関らず感謝どころか…



「余計なことを!」

「あと一歩でしかなかったのになあ…」

「チッ!」

「はぁ、はァ、ほんと、空気がよめないのよね。聖女様って」



 帰りの道中は邪険にされるか、無視され続けたそうです…

当然、泊まる宿も別…もともと懐の違いから別でしたが。



 そんな苦役を強いられやっと戻れば、リラの功績は全て神殿に。

おまけに、皇帝の命でリラは、無能の働き者な上に女遊びがすぎると

評判の皇太子エルデェアブロの婚約者に否応なく決められたのです。


そればかりか、聖女としての務めがまだまだ残っていると。

聖女の担当となった皇太子が領主の接待と上納金の高低で行程をきめ、

魔王の残した各地の瘴気を払う旅に追いやられました。



聖女と言えば身分を超越し、皇族より尊ばれる身です。

それを軽んじ…



 他国からの要望に、

皇帝と皇太子はまたしても自国に有利な保護関税。

輸入に高い関税をかけ、自国の産業や農業を優位にすることを見返りに、

聖女を貸し出し単独で旅においやったのでございます。


数年に及ぶ瘴気払いの遠征がございました。



疲労に過労に心労が蓄積し疲弊困憊、遂に…

可哀そうなリラ。




「何という失態だ!」

「不甲斐ない!」

「聖女の癖に自分で治せないのか!」

「役立たずめ!」

「遂に、闇落ちでもしたか!」



病名結果を聞き、待機していた外野。

エルデェアブロ皇太子及び関係貴族並び神殿神官修道士各位が、

リラを責めるように喚きました。


「貴様、それでも聖女か!」



「黙れ。聖女だからやればいい、当然と、自分達は高みの見物を決め込み、

利益だけを貪る者ども。己の恥を知れ。

エルデェアブロ。貴様が真っ先にすることは婚約者殿を慰めすることでは

ないのか」


「むッ」


 後から駆けつけてきてくれた夫、アブサンに咎められ、

怯んだ皇太子始め、皆、不承不承鎮まりました。


アブサンの隣にはウォッカが、皆を睨みつけていました。





 『六歳の儀』に教会でリラの聖魔法の発現がわかると、

それを聞きつけた神殿はリラを掻っ攫うように馬車に押込み

走らせました。


私は馬車を追いかけましたが、躓きよろけた所に対向してきた馬車に。

生死を彷徨い、目覚めた時はアブサンの屋敷にいたのです。

私はアブサンの乗った馬車に跳ねられたのです。


記憶が混濁し、元に戻るのに数年かかりました…


リラの苦労も知らず…




 利用するだけし、過酷な任につかせておきながら、

このような事態を招いた責任も棚上げ、リラを責める…


アブサンが、私の手をとりました。


爪が喰い込み、血が流れていました。

アブサンは即座に治癒魔法を施してくれました。



「聖女の力は聖魔法により治癒も回復も解毒も浄化もできますが、

それはあくまで肉体に影響を及ぼすものなのです。

内面の傷は治療できないのです」


魔術修道士長が皆に説明しました。

先ほどの無礼を挽回しましたね。



「聖女様の病は、

心の傷が原因で症状が『身体』に現れた病いなのでございまする。

聖女様には『闇落ち』という光が闇に吞み込まれるという懸念が

つき纏いまするが、それは心の病が原因で症状も『心』に現れる病。

聖女様の身体は疲弊しておりますが、心は闇落ちしてはおられません。

養生をあそばせば命の危険はございません。

しかし、何年で回復するかの見通しが、たたないものこの病の特徴で

ございます」




 専門家の診察が下されると、

神殿執務室は『回復見込み無し』と決定印を押したのでございます。



 こうして、リラは神殿長の沙汰を受け、ウォッカに連れられ、

ギムレット伯爵邸に戻ることになったのです。




性格に似あったカクテル言葉の名前も、尽きてきた。

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