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馬鹿にされない為に、罰を変えます  作者: 徒然草


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3.兄との会話

 ハマスとの会話です。


 スティーブ達と話し合いをした翌日の朝、公爵家に王家からマリアを迎える馬車が到着した。何も聞かされていない公爵が驚く中、マリアは支度を済ませると馬車に乗り込んだ。今日は学園が休みだった為、マリアは城へ行きスティーブと共に陛下に罰の変更をお願いした。今後王子妃に、そして未来の王妃となるマリアが軽んじられてしまうと国の危機を招くかもしれないという事と、スティーブが強く望んだ事もあって陛下はすんなりと納得した。罰の内容には驚いていた様子だったが、提案したマリアを少し面白そうに見ていたようにも感じられた。


 公爵家に帰ると公爵から何故城に行ったのか聞かれたが、そのうち国王から連絡が来るとだけ伝えるとマリアは部屋に戻った。使用人達はマリアの変わった様子に戸惑いつつも各々の仕事に戻った。部屋に籠り、今後の計画の見直しを黒猫と小声で話していると昼食の時間になっていた。食堂に行けばすでに公爵とハマスが席に着いていた。


「…マリア、陛下から話は聞いた。我が公爵家も全面的に協力させて貰う。」


 マリアが公爵家に帰った後、公爵は国王に呼ばれたらしい。ハマスも公爵から話を聞いているらしく、驚いた様子を見せなかった。


「そうですか。」


 マリアはそれだけ言った。公爵はマリアを気味悪そうに、何処か不安そうに見てきた。


「…お前の提案だと聞いたが、よくあんな事を思いついたな。」


「…冤罪で死にかけましたもの、多少なりとも知恵を振り絞ったんです。」


「今朝城に行ったのは罰の変更について話をする為だろう。何故私に報告しなかった。」


「…私が捕まっている間に一度も会いに来ようとしない。心配すらしない公爵様に報告ですか? 私の事なんてどうでもいいでしょうに…公爵様だけでなく、使用人達からも軽んじられて馬鹿にされている私が何をしようが全く気にしないと思っておりました。」


 マリアの言葉に公爵もハマスも愕然とした。マリアが反論してくる事なんて一度もなかったし、今まで公爵の事は「お父様」と呼んでいたのだが、「公爵様」と他人行儀に冷たい響きで呼んだのだ。マリアは食事を終えると席を立った。


「別に恨んでなどおりませんよ。私はラビスタ公爵令嬢として、そしてスティーブ王子の婚約者として今後も務めを果たします。」


 それだけ言うとマリアは食堂を出て行った。公爵が何か言ってくる事もなかった。





◆◇◆






「…マリア、話をしていいか?」


 夕食後、部屋に居たマリアの扉にノック音が響いた後ハマスの声が聞こえた。マリアは少し驚きながらハマスを部屋に招き入れた。


「ハマス令息、どうされました?」


「………。」


 部屋に入り、そのまま何も言わないハマスにマリアは戸惑う。どうしようかマリアは悩み始めるとハマスは口を開いた。


「…よく、あのような罰を思い付いたな。」


 食堂で公爵に言われた事と同じ言葉が聞こえた。だがハマスは公爵と違って苦笑いをしていて、マリアは何の不快感も抱かなかった。


「…そうだな、死にかけたんだもんな。それくらい思いつくかもしれないな。お前は、変わったんだな。」


 何となくだが、ハマスはマリアに申し訳ないと思っているのではないかとマリアは感じた。


「ハマス令息、私は貴方と父親が同じの腹違いの兄妹です。愛人との間に生まれた妹である私が可愛い筈がありません。」


 マリアの言葉にハマスは驚いた顔をした。ハマスの母である前公爵夫人が死んで、すぐに愛人と結婚した公爵にハマスは何を思ったのだろうか。マリアの母を、そしてマリアをどう思っているのだろうか。態々聞きたいとは思わないがハマスにしか分からない苦悩や葛藤がある筈だ。


「でも私は王子妃になります。そして未来では王妃になっている筈です。いずれラビスタ公爵家を継ぐハマス令息の力になれる事もあると思います。お互い今後の為に、協力しませんか?」


 ハマスはマリアに嫌味を言ったり陥れようとした事は無かった。兄妹として仲良くなる事は難しいかもしれないがマリアはハマスに悪い感情を持っていない。


「…それなら、他の人の前では俺の事は“お兄様”と呼んでくれ。俺達が友好関係を築いているとアピールしなくてはな。」


 苦笑いをしながらそう言うハマスに、マリアもまた何とも言えない苦笑いをして笑い合った…。




◆◇◆



 マリアと話を終えたハマスは溜息を吐いた。ハマスはマリアを妹として大事に思う事は出来なかった。だがそんなマリアとの共通点は子供に無関心な父親を持った事だった。公爵はハマスの母である前夫人とは政略結婚だったようで夫婦仲はあまり良くなかった。しかしマリアの母の事は愛していた。愛している女との子供(マリア)には愛情を注ぐかと思いきや、ハマス同様にマリアにも無関心だった。そして周りからも軽んじられるマリアにざまぁみろという感情よりも気の毒だと思う事が多くなっていった。ただ、気の毒だとは思っても助けたいとまでは思えなかった。


 冤罪をかけられたマリアに何と声をかければ良いのか分からなかったハマスは結局何も言わなかった。ハマスだけでなく使用人達も何かを言う様子はなく、流石にマリアの精神が潰れてしまうのではないかと危惧した。けれどマリアは潰れる事なく今後の為に行動し、公爵に言い返した。そしてマリアなりにハマスに向き合ってくれた。そんなマリアにハマスは純粋に凄いなと感心した。


「…俺が今やれる事なんて何もない。」


 罰の変更はもう決定し、表立った援助は父である公爵の仕事であり、ハマスはただ事の成り行きを見守るだけだ。だがハマスが公爵となった未来では多少なりともマリアの力になれる日が来るかもしれない。そしてその時は躊躇うことなく力を貸すだろうとハマスは思った。

  


 あっという間に今年が終わりますね〜!(小説とは関係なくてすみません)来年もよろしくお願いします!

次回、どんな罰に変更したのか分かります! もし宜しければ評価とブックマークをよろしくお願いします! ここまで読んで下さりありがとうございました。


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