2.セーラー服とローファーの関係性について その二
いや正確には。
跳んだ、というよりもむしろ。
ローファーの中に、
吸い込まれた。
ちょうど掃除機に埃が吸い込まれるように。魚滑美琴は埃よりずっと大きいのに。
吸い込まれて。
気がつくと、ゆらめく紫のような、不可思議な色で六芒星のような文様が描かれた魔法陣の上にいた。
「召喚に成功致しました」
丸眼鏡をかけた女性魚滑美琴を見ながらが静かながらもよく通る声で告げた。その瞬間、全方位から歓声、嬌声が上がる。
まるで異世界に来たようだと、魚滑美琴はふと思った。
そして同時に、おそらく、本当に異世界に来てしまったのだろうとも、思った。
だって、まず、服装から違う。先程の丸眼鏡の女性は真っ白な布に穴をあけたような、いわゆるローブのような衣に真っ白な帯を締めていたし、ある男は金や銀の勲章が左胸を覆いつくしている軍服に身を包み、これまた豪奢な深紅の椅子に腰掛けていたし、またある女は、腰から下が大きくふくらんだ淡桃色のドレスに星々をちりばめたようなティアラをつけていた。
次に建造物。繊細な装飾の施された太い円柱が、魚滑美琴を取り囲むようにして立ち、高く高く、天まで届きそうなドームの天井を支えていた。色は白。塵一つなく磨き上げられ、たくさんの紋様が彫り込まれているから、影が落ちているはずなのに、暗いところはどこもない。純粋な白色。
光の色である。
そして天井には羽の生えた麗しい少年少女が舞っていた。もちろん本物ではなく精巧な彫刻だが。魚滑美琴は、まるで彼らが自分だけを見つめているような錯覚にとらわれた。
魚滑美琴は、なぜ自分がこのような荘厳な空間の真ん中で、人々の中心にいるのか分からなかったが、ただただとても心地良かった。建造物の全体像から彫刻の1つ1つに至るまでを、日が暮れるまで見続けていたい衝動にすら、駆られていた。
眼鏡の女性に、
「あなたはこれから、我が国の王太子と婚約していただきます」
と言われるまでは。
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