冬のわたし、春の彼
駅のホーム内の雑踏の中、 彼はこちらに歩いてくる。
今日は参考書を持ってない。
「おはよう」
この一言で一日が始まる。
特に何か会話するわけでもない。
電車が来た。
ドアの横に立ち人が流れるのを待つ。
隣には彼がいる。
偶然なのか計算された奇跡なのか、それは定かではない。
電車が大きく揺れる。
その瞬間彼と私の肩が少し触れ た。
「すみません」
互いにこれだけ。
これ以上はなくこれ以下もない。
お互いにこの関係が心地よいと思ってる。
少なくとも私は。
彼と出会った、、いや、顔見知りになったのは秋で彼の名前も、学校も分からない。
でもこの少しの時間が私は好きだ。
この時間の期限は冬が溶けるまで。
名前は分からない、知らないことのほうが多いのになんで、春のことを考えると、心に大きな穴が空いてるような感覚になるのか一、