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第90話 センチメンタルジャーニー

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

アルーム軍とムンド軍が合流してパレオスからの軍と戦うことになる。


ノンイン軍はハルン国軍と共にルイン軍、ギルザン軍と戦うことになるが、ハルン国はユーリハ国とイーロア国からの援助を取り付けることが出来たため、ノンイン軍の半数がアルーム軍の援軍としてパレオスに向かうことが出来る。


それでもパレオスにいる兵士の数は、アルーム、ムンド、ノンインからの援軍を合わせた数の五倍以上と想定される。



ジャーダンは既に一部のモラン軍を、アルームのグレナディ(旧首都)と、ムンドのドムンドス(元首都)に向けて出兵しており、アルームとムンド軍は、その進行ルートを避けて、ムンドにある旧城塞都市アバガスで合流することになっていた。


既に各旧首都に向かっているモラン軍への対応として、グレナディに向かった兵へはパレオスに向かっているノンイン軍とグレナディに残るアルーム軍が、ドムンドスに向かっている兵へはドムンドスに残っているムンド軍が応戦することになる。

これで、わずかではあるが、モラン軍の兵力を分散することが出来る。焼け石に水かもしれないが。



後は、ノンイン軍とハルン国軍がどれだけ早く、ルイン、ギルザン軍を制圧して、彼らの兵力をパレオスに向けることが出来るかにかかっている。また、その際に、どれだけ多くのユーリハ、イーロア国軍の兵力を援軍として向けてもらえるのか? 制圧出来たルイン、ギルザンの兵をどれだけ味方につけることができるかも大きなポイントである。


そして、何よりも、今の少ない兵力でどれだけ長く、持ちこたえることができ、これらの援軍を待つことが出来るかが大きな課題になっている。その為に、いざという時の籠城としてアバガスでの合流を選んだ。アバガスはかつて、難攻不落の城塞都市と呼ばれていたこともあった。既に、グレナディから物資を運び込み、籠城の準備は出来ていた。


そんなこんなで、東西南の三方向からパレオスを包囲出来れば、勝算がないわけではない。ただ、ラドールとピブラナ国の動向には十分注意が必要だが、今の所、どちらも動く様子はなかった。


ラドールの元国王(現大臣)は、まずはじっくりと周りの動向をみて、自国に利がある事が明確になった瞬間にかさず動くタイプで、今回もまずは事の成り行きを見守っているのだろう。


ピブラナ国は、ヨナスが何を考えているのか分からないが、彼はジャーダンの部下ではない。少なくともマラトの指示がなければ動き出すことはないだろ。だが、いつマラトからの指示で動きだすかは分からない。しかし、今のピブラナには十分な軍力がないように見えた。しかし、油断は禁物である。



そして気になるのはカリーナ王女であった。


表向きはモラン国に反旗をひるがえした反乱軍だが、その内情は、モラン国王の命を受けてジャーダン討伐を目論もくろむサムート率いるモラン国王軍である。


このことを知った彼女がどちらにくみするのか?


最愛の夫であるジャーダンが率いるモラン国軍


敬愛する父からのジャーダン討伐の命を受けたモラン国王軍


いずれを選んだにせよ、彼女にとっては辛い選択となる。


そのことを考えるといささか心が痛むエイナーではあったが、それは彼女の問題であって自分が同情する問題ではないと割り切ることにした。


それに彼女は王女としての使命を果たさなければならない、自分の国民のために自分が何を選択すべきかを考えるのは彼女だ。


自分はサムート側についた、自分はサムートが考える彼の国民のために出来る彼の考えと行動の支援をするまでである。



ふと横をみると、マチアスも何か考えているようだった。


「今回の戦いのことだけど、マチアスはどうして戦いに参加することにしたんですか?いくら何でもお金のためじゃないでしょう?」


エイナーが尋ねた。


「今回は、医者として負傷者の治療が業務だ。サムートともそれで契約している。年も年だし、戦闘には加わらないつもりだよ。」


「にしても、命の保証なんてないのに、物好きには変わりないでしょう。」


「エイナーほどじゃないと思うけどな。」


マチアスはそう言って、ちょっとだけ心配そうな表情をした。


エイナーは、自分がなぜ物好きと言われたのか分からないまま、前方を歩くサムートの背中を眺めた。


「そっか、もしかしたら私は物好きなのかもしれませんね。でも、きっと、後悔はしないと思います。」


そう言って、少し考えて


「心残りがあるとしたら、ジェイドのことかな。でも、彼女とズーシュエンを引き合わせることが出来たのは良かった。後は、念願の敵討ちを果たしてもらえたら言うことないかな。それに、領主の跡継ぎは弟がいるし……、いや、こんなしんみりした話をする場面じゃないでしょう。いや~、危なかった、危うくセンチメンタルになるところでしたよ。」


エイナーはそう言って、我に返り、マチアスを睨みつけた。

睨みつけられたマチアスは笑いをこらえきれず、吹き出した。





今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。

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ざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せました。理解の参考にしていただけると幸いです。


地図 全体

挿絵(By みてみん)


地図 モラン国周辺拡大

挿絵(By みてみん)



家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性

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