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第69話 ここはどこ?②

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

 マチアスとエイナーは男がって来た鳥の下処理をし、男は庭にある竈に火をつけた。


「じいさんは、ここで何をしてるんだ?」

 マチアスが男に尋ねた。


わしの名前はリオだ、じいさんじゃない。この周辺の管理を任されている。この辺りは国が管理する土地で勝手に住むと罰せられる。それでも、勝手に小屋を建てて住もうとする奴がいるから、そういうのを追い払ったり、パレオスからアバガスまでの道の管理をしてる。」


 そう言って、道の方を指さした。今日二人が歩いてきた道だ。


「じゃあ、役人みたいなもんか?」


「そんな大層なものじゃない。」

 そう言ってリオは、火に撒きをくべた。


「あの道はアバガスに通じてるのか?」


「そうだ。お前たちは何処から来たんだ?アバガスの方からじゃないのか?」


 アバガスは古い城塞都市である。数十年前までは、山脈を背にして強固な白い城壁がそびえ立つ美しい城塞都市であった。当時は難攻不落の城塞都市として名高かったが、今では主のいない廃れた城塞である。


「いや、パレオスにいたんだが、睡眠薬を飲まされたようで、気づいたら馬車の荷台にいた。途中で飛び降りて戻るところだった。」


「お前たち何かしたのか?」

 リオがマチアスとエイナーの顔を交互に見ながら言った。


「ある奴が飼っている鳥を逃がした。」

 マチアスが答えると、


「ふん。」

 リオは興味なさげにそう言って、マチアスから鳥を受け取り調理を始めた。

 リオはそれ以上何も聞いてこなかった。


 鳥の丸焼きをたいらげると二人は納屋に戻り、干し草の上に横になった。


「あのリオって男は、私たちが何者か知ってるんじゃないでしょうか?」

 エイナーがマチアスに言った。


「なんでそう思う?」


「ただ、何となくです。」


 今夜は眠っても良いものか、寝ずにリオを警戒すべきなのか、そんなことを考えているうちにエイナーは眠りについていた。


 扉の開く音で目が覚めた。


「逃げろ。」

 リオがそう言って、二人の前に剣を二本投げ置いた。


 二人は立ち上がり、リオと一緒に納屋から出て、リオが指さす方を見た。数個の明かりがこちらに近づいてきている。松明の明かりだ、誰かが馬でこちらに向かっている。


 この丘以外に何もない草原のなか、今ならば夜に紛れて逃げられるかもしれない。

 二人は剣を持ち、リオに礼を言って丘を下り、そこで身を潜めて、松明の明かりが向かう方向を確かめた。明かりはそのまま丘の麓までやってきて、丘を登りリオの小屋まで向かった。

 その隙に二人は、明かりがやってきた方向に走り出した。

 そして、明かりが追って来ないことを確認し、パレオスに向かう道に戻り歩き出した。


「私たちを探してるのでしょうか?」


「危険薬物所持者と脱走ほう助役を捕まえるために、わざわざこんな時間に捜索させるか?」


「それは口実でしょう。ヨナスの恨みを買っているんですから、地の果てまで追われるかもしれませんよ。」


「ああ、嫌だね。そういうねっちっこい性格。」


 自分から仕掛けて置いて全くこの人はと思いながら、ふっと、あることが気になった。


「もし追手が来たのだとして、どうしてこちらの方角だと分かったんでしょうか?もしや、あの使用人が口を割ったのか?」


「だとしたら、サムートやエクレムにも何かとばっちりが行っているかもな。」


「心配ですね、急いで戻りましょう。」


 そう言って二人はパレオスに向かった。





おしゃれなパンはケーキと同じ、いやそれ以上の値段。

パンがないならケーキを食べればいいじゃない、、、てか?

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毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性

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