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第68話 ここはどこ?

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

 ぼんやりした頭で状況を把握しようとしていると、御者ぎょしゃらしい男たちの話声が聞こえた。


「全く碌な男じゃないよな、ギャンブルに女にと金がいくらあっても足りないそうだ。お尋ね者とは言え、主人の客を売り飛ばそうってんだからなあ。」


「何やったんだこいつら?」


「さあな、そんなことは俺たちには関係ない。言われたところまで運んで、頂くもの頂いたら、それでいいんだ。余計なことは知らない方がいい。」


「確かに、そうだな。」


 マチアスも横でぼんやりとした顔をしながら呟いた。

「俺たちは、あの使用人の男に売り飛ばされたってことか?」


 エイナーもぼんやりしながら、答えた。

「そうみたいですね。」


 そして、二人で深いため息をついた。


「飛び降りましょう。」


 そう言ってエイナーが起き上がろうとしたとき、自分の腕と足が縄で縛られていることに気づいた。


 どうにか上体を起こし、後ろ手に縛られている縄をどこかに引っ掛けて切れないかと、荷台の角などに引っ掛けて試したが、上手くいかない。


 横でマチアスが、縛られた両足をエイナーの前に高く上げた。

「このブーツの飾りの所に引っ掛けろ。」


 そう言って、足をエイナーの背中側に回し、エイナーの腕を縛っている縄が引っかかるように上手く微調整した。


「腹筋が痛い、早くしろ。」

 どう見ても辛い態勢のマチアスが、辛そうな表情で必死に両足を上げている。


「もう少しです、引っかかったみたい。これでどうだ。」

 そう言って、自分の下に引き下ろした。縄が切れたようだ。


「切れました。今、解きます。」

 そう言いながら、自分の足の縄を解き、マチアスの縄も解いた。


「いたるところに、いろんなものを隠してるんですね。」


「旅に出るときは基本だろう。お前は何も仕込んでないのか?」


「ないです。後で教えてください。私も真似します。」


 そう言いながら、二人は荷台から飛び降りて近くの茂みに隠れた。馬車はそのまま速度を落とさずに、遠ざかって行った。


「ここはどこだ?」


「分からないです。一先ず、道を戻りましょう。でも、どのくらい馬車に乗ってたんでしょうか。」

 そう言って、二人は馬車が来た道を戻って行った。




 しばらく歩いたが、草原が広がるばかりで人影もなかった。


「お尋ね者を引き渡すならば、街中に向かうんじゃないのか?」


「確かに、なぜこんな郊外の方に来たんですかね?街からは随分と離れているようですね。」


 またしばらく歩くと、草原の先の丘に家が一軒だけポツンと建っていた。二人はそこに向かった。丘に登り振り返ると山脈が見えた。


「あれは、西夏との国境にある山脈だろう。で、俺たちは北西に向かっていた。パレオスからムンド国方面に連れてこられたようだな。パレオスに帰る道は、あの道で間違えなさそうだ。」


 扉をノックして声を掛けたが、返事はなかった。窓から中を覗いたが留守のようだった。


「誰もいませんね。でも人が住んでいる形跡はある。出かけてるだけかもしれません、少しここで待ちましょう。」


 入口の前でそんな話をしていると、誰かが近づいて来た。


「そこで何をしている。」


 その声に振り返ると、そこには大きな男が一人立っていた。手には今しがた仕留めてきたであろう鳥が数羽。殆ど白髪の髪と髭から察するに、マチアスと同じくらいか、それより上の年齢だろう。ただ、年齢を感じさせない強靭な肉体の持ち主にも見えた。


「パレオスに向かっているのですが、道が分からなくなってしまいまして。」

 エイナーがにこやかに答えた。


「パレオスならば、あの道を真っすぐ進めば着く。」

 男が答えた。


「今日中に着けますか?」


「今日中は難しいだろうな。」


 そう言って、男はエイナーとマチアスの顔をじっと見つめて、全身を観察し、暫し考えているようだった。


「裏の納屋にならば泊まらせてやる。」

 そう言って、男は家に入って行った。


 二人は後ろに回り納屋を探した。


 小屋が目に入った、そこには牛が三頭、馬が一頭いた。

 その横に、もう一つ荷物置き小屋が立っていた、その扉を開いて中に入った。

 中には干し草が置かれていた、ここが今日の寝床である。二人は干し草の上に腰を下ろした。


「手ぶらでこの先どうしたらいいですかね。そう言えば、剣はアリア家に置いたままでしょうか。」


「食い物もない、剣もない。あのじいさんに食い物を貰おう。」


 そう言って、マチアスが立ち上がった。それと同時に納屋の扉が開き、外の明かりが入って来た。


「飯が食いたかったら手伝え。」


 そう言って男は去って行った。エイナーとマチアスは顔を見合わせて、直ぐに男について行った。




寒くなりきらない感じ。

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毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性

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