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第67話 身をひそめる②

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

良かったら、そちらも読んで下さい。

 使用人に案内され、裏口から入った三人は台所で待つことになった。

 暫くすると、主人のエクレム・アリアがやって来て、流石に驚きを隠せない様子で尋ねた。


「サムート様、何があったんですか?そちらの二人はどなたですか?」


「私の友人二人をここで匿って欲しいのです。マラトの部下のヨナスに目を付けられてしまって、追われている。」


「ヨナス・デスモンですか。また厄介な相手を敵に回しましたね。分かりました。窮屈かもしれませんが、地下の部屋に隠れて居てください。」


 エクレムの承諾が得られたため、サムートは裏口から一人で城に帰って行った。




 地下室に案内された二人はこの先どうするかを考えていた。


「ずっとここに隠れているわけにも行かないな。どうするかな。」

 ベッドに横になって天井を眺めながらマチアスが言った。


「そうでうすよね、態勢を立て直さないと。もしくは、グレナディに戻るか。」

 エイナーもベッドに横になり、低い天井を眺めながら返事をした。


「そうか、グレナディに帰ってしまえば良いのか。」


「そう簡単にはいかないんじゃないですか?それに、ここでは私たちはサムートやバナムの部下ってことになってるから、二人にも何かお咎めがいってるかもしれない。」


「そうだな……。」


 マチアスは暫く考えて、


「やはり、戻ろう。」


「グレナディにですか?」


「違うよ、カラスの森にだ。」


「何のために?」


「カラスが戻ってきていないことを確かめないと。やった意味がないだろう。」


「こんな時にですか?ヨナスへの嫌がらせができればそれでよかったんじゃないですか?」

 エイナーは起き上がって、マチアスの方を見た。


「試したことの結果は確かめないと。本来の目的は奴らの連絡手段を出来るだけ削ぐことだった。嫌がらせはその次だ。」


「変な所で真面目ですよね。でも、今戻るのは危険ですよ。」


「いつ戻ったって危険だろう。だったら今戻ろう。」

 そう言って、マチアスも起き上がった。


 その時、誰かがドアをノックした。


「食事をお持ちしました。」


 声から察すると、あの使用人のようである。エイナーは扉に近づき、次の言葉を待った。あらかじめ合言葉を決めていただので、その言葉が出てくるまでは扉は開けないことになっていた。


「あ…、友よ、食事をお持ちしました。」


 その言葉を聞いたエイナーは扉を開けた。


「ありがとう。こちらから押しかけて置いて申し訳ないのですが、この食事を頂いたら、私たちは出て行こうと思います。」


 それを聞いた使用人が驚きの表情を見せた。


「急にまたどうしてですか?」

「いろいろやることがあるので。ここを去る前に主のエクレム様にご挨拶をさせてください。」


「分かりました、主に言づけます。」


 そう言いながら、使用人が部屋に入ろうとしたので、エイナーは、


「ここで大丈夫です。」


 そう言って、食事が乗ったトレーを受け取り、扉を閉めた。


 昨晩から何も食べておらず空腹だったので、二人は受け取った食事を直ぐに食べ始めた。食べ始めて暫くすると、急に眠気に襲われた。




 次に気づいたときには、荷台のようなところで横になっていて、どこかに運ばれているようだった。

 ぼんやりした頭で考えたが、状況が判断できない。横を見ると、マチアスも眠っているようだった。

 眠い頭でマチアスに声をかけた。


「起きてください。」


 そう言われたマチアスが、薄っすらと目を開けた。


「ここは何処だ?」


「分かりません。でも、どこかに運ばれているみたいです。」





そろそろ、スミレの季節。

なぜに、スミレ(パンジー?)はあんなに寒さに強いのか?一回凍っても復活する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性

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