第49話 ウズラの秘密
始めまして、白黒西瓜です。
某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。
ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。
若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。
今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。
自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。
参考資料:
地図
家系図
登場人物が増えたので追記しました。
リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長
ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物
リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物
マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇
ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)
アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)
カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻
アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官
ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻
テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)
サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子
マルチナ・アリア:サムートの婚約者
ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄
タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官
アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち
ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者
ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長
リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋
リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長
シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下
ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母
師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住
ペペとムー:ジェイドの犬たち
餅:ジェイドが飼っていた猫
ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性
ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下
バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理
アルタイル(通称:アル):バナムの部下
カジャナ・ポナー:サムートの主治医
ナズ:カジャナ医師の助手
アスリ:カジャナ医師の助手
メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性
「ウズラってやつらが使っている薬には、ペルタ石が使われているじゃないかと思ってるんだ。」
マチアスが彼の持論を話し出した。
「西アルタやヘブリの一部の地方で、家畜が暴れたり、山から下りてきた動物が悪さをしたりすると、ペルタ石の粉末をその動物に与えるんだ、そうすると、落ち着くというか、やる気をなくすらしい。家畜なんかは継続的に与えていると、そのまま大人しくなることもあるみたいだ。」
「やる気をなくさせる石だなんて、怖いなあ。」
「そうだな、一度、ペルタ石を与えられている馬を見たことがあったが、大人しいというか、生気がないようにも見えたな。でも、働くんだ。なんでも、以前は相当な暴れ馬で問題を起こしてたらしい。」
「その薬って、ずっと飲み続けないといけないんですかね?」
湧いて来た疑問をエイナーが口にした。
「そこなんだよ、もし、奴らが今でも継続して薬を使って精神状態を維持してるんだったら、薬を飲ませないようにしたらどうかと思って。」
「薬が切れれば、もう少し探しやすくなるかもしれないですね。そのペルタ石はどこから持って来るんですかね?」
「そこだよ。今、モラン国に入ってくる物資は、北のラドール国の首都コパンか、ここアルーム国の首都グレナディのいずれかを経由してパレオスに運ばれているんだと思う。ここに入って来たペルタ石を全て、別の石にすり替えてしまえば、結構、ウズラに打撃を与えられるかもしれない。まあ、俺の推測が当たっていればの話だがな。」
「ペルタ石ですか?最優先物資として、定期的にパレオスに納めることになっています。その石がどうかしたのですか?」
バナムのその答えに、エイナーとマチアスは顔を見合わせて、ほくそ笑んだ。
「実は、お願いがありまして。」
エイナーが声を潜めて事情を説明した。
「ふ~ん。そういうことならば協力しましょう。ただ、代わりになる、丁度いい石がありますかね?」
ペルタ石を何個か借りて、すり替え用の石を探すことになった。
色、重さ、質感、砕いた感じ、それらが出来るだけ似通った石を探さねばならず、アルにも手伝ってもらうことになった。
「川上の方に、木が化石になったような石がゴロゴロ転がってる場所があるんだ、その石が似てると思うぞ。」
初めからそんな丁度いい石が見つかるとも思わなかったので、四人は、期待をせずにアルについて行った。ジェイドだけが、木の化石自体に興味津々で嬉しそうにしていた。
「あそこだ。」
アルが自慢げに指さした。
その先には、本当に、木が化石になってゴロゴロと転がっていた。近づいて、一部を砕いてみると確かに似ている。
ジェイド以外は、出来るだけペルタ石に似たような石を選んで、袋に詰めた。ジェイドは嬉しそうに、表面の模様がきれいな艶々した石を探した。
「ジェイド、そんなにピカピカしている石なんか、使えないよ。」
遊んでいる様にしか見えないジェイドに、エイナーが文句を言うと。
「これはお土産だよ。」
そう言って、ジェイドは厳選した石を三個、胸元の大事なもの入れ袋に入れた。その後は、大人しくペルタ石に似た石を集めた。
五人が集めた石で当面はすり替えることができる。勿論、気づかれなければの話だが。
「一先ず、様子を見ましょう。クレームが来たときは、言い訳しておきます。私の留守中はアルが対応するので、問題ないでしょう。」
バナムはそう言って、アルに微笑みかけた。
「まかせてください。クレームが来ても産地が変わったと言って納得させてやりますよ。」
そう言って、アルが胸を張った。
そんなアルを見て、エイナー達は、バナムの留守中に何も起こらないことを祈るばかりであった。
翌日、ジェイドとズーシュエンは二人でモーイエの家に向かった。
他人の振りをしたエイナーとマチアスが二人の後を遠くから追った。もうすぐモーイエの家に着いてしまう頃になっても、ジェイドたちを狙うような人物は現れなかった。
このまま、何食わぬ顔でモーイエの家の前を通り過ぎて、どこかで時間でも潰そうと考えていた。丁度、モーイエの家の前に差し掛かった時、エイナー達は男とすれ違った。その瞬間、その男から微かに甘い香りを感じた。
その男か遠ざかるのを確認して、エイナーがマチアスに言った。
「あの男を追ってみましょう。甘い香りがした気がします。」
男に気づかれないよう、細心の注意を払って後を追った。
これまでの人生で尾行なんてしたことがあっただろうか?学生の頃、殴りかかって来た上級生たちに仕返しをするために、彼らを尾行して弱みを探したことがあったことを思い出した。他には……まあ、そんな経験はあまりなく、果たして自分は本当に相手から気づかれていないのだろうかと心配だったが、マチアスはこういった事にも慣れているようで、どうにか尾行は上手くいっているようだった。
暫くすると、男は、街中の家に入って行った。その家は元々は何かの商店だったようだが、今は何か商いをしている様子はなかった。すっかりさびれた街中では、ほとんどの店が閉まっていて、人通りもなかった。
仕方なく二人は細い路地に入り、男が入って行った家を暫く見張ることにした。
「あの男、手袋していましたか?」
「手先が良く見えなかったから、分からないな。」
「何でもない、ただの人だったら無駄足でしたね。」
「はあ?お前が、甘い香りがしたって言ったんだろう。」
「まあ、そんな気がしたんですけどね……」
エイナーが自信なさげに言った。
「仕方ない、一先ず、このまま様子を見よう。怪しそうな男ではあった。」
随分と時間が経ったように思ったが、男に動きがなく、そろそろ二人もしびれを切らしてきた頃、その家の後ろ側からカラスが飛び立っていたのが見えた。
「おや。」
そう言って、マチアスがそのカラスを凝視した。まるで、カラスに意識を集中させているようだった。
そして、胸元から犬笛を出して吹いた。どこからともなくペペとムーが現れた。マチアスが二匹に何か言うと、二匹はカラスが飛んで行った方向に走って行った。
「あの男は、多分、マラトの部下だろう。一先ず、今日は城に帰ろう。」
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?感想など聞かせていただけたら、本当に嬉しいです。
石の粉を薬にするなんて、随分乱暴な話だなと思いながら自分で書いていましたが、、、まあ、お話なので。。。肺とか腎臓とかめちゃめちゃやられそうと思いつつ、どうなんだろう。




