第44話 結局どうなのか?
始めまして、白黒西瓜です。
某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。
ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。
若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。
今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。
自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。
参考資料:
地図
家系図
登場人物が増えたので追記しました。
リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長
ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物
リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物
マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇
ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)
アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)
アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官
ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻
テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)
サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子
ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄
タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官
アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち
ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者
ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長
リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋
リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長
シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下
ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母
師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住
ペペとムー:ジェイドの犬たち
餅:ジェイドが飼っていた猫
ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性
ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下
バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理
アルタイル(通称:アル):バナムの部下
カジャナ・ポナー:サムートの主治医
ナズ:カジャナ医師の助手
アスリ:カジャナ医師の助手
メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性
翌朝、バナムに呼び出されてエイナーはジェイド(ズーハン)と伴に彼の部屋を訪れた。
「ご足労をおかけして申し訳ありません。どこもゆっくり話を出来る場所がなくて。」
眼鏡を掛けたバナムがエイナーとジェイド(ズーハン)を部屋に招き入れた。バナムがジェイド(ズーハン)に目をやった。
「彼女は私の妻です。」
バナムが少し驚いた顔でジェイド(ズーハン)をまじまじと見た。ジェイド(ズーハン)もバナムをまじまじと見返した。
「そうでしたか。こんなところまで女性が一緒にやってくるなんて、よっぽどの事情があるのだろうとは思っていましたが……」
「今日はどういったご用件でしょうか?」
エイナーがバナムの注意を自分のほうに戻した。
「これは失礼しました。私がお伺いしたいのは、エイナーさん、貴方がここに来た目的ですよ。本気で商売をしに来たわけではないでしょう?奥様まで連れて。」
「単に商売に来ただけですよ。これも領主修行の一環です。そのついでにサムートに会えたらと思って、やってきました。」
「貴方がそんな無謀な人間だったとは思いもよりませんでした。多少は衝動的なところはあっても、思慮深い人間かと思っていたので、その答えは驚きです。」
確かに、戦乱地域での一儲けを夢見て、ついでにサムートに会えたらラッキーくらいの気持ちで、妻を連れて新婚旅行気分でこんな所までやってくる馬鹿はそうそういないだろう。
「確かに、少し軽率だったかもしれませんが、サムートにも会うことが出来ましたし、結果オーライってやつですよ。」
エイナーはやや軽薄な雰囲気を装って、そう言ってみたが、何ともしっくり来なかった。
「サムートに会えて、これで満足ですか?」
バナムの問にどう答えていいのか、エイナーは迷った。暫し沈黙が続いた。
「バナムはどうしたいんだ?」
突然、ジェイド(ズーハン)がバナムに質問をした。
「どうとは?」
ジェイドは、左手首に付けたブレスレットを右手で回しながら、バナムの方は見ずに答えた。
「サムート側に付くのか?ジャーダン側に付くのか?そもそもお前はどっち側の人間なんだ。」
「随分とはっきりした方ですね。ズーハンさん。いや、ジェイドさん。」
「私のことを知っているのか?」
ジェイドがバナムの方を向いた。
「スノースバンの領主のご令嬢は見るからに東方の方だという話を聞いたことがあります。だが、領主がその話題に触れることを固く禁じていると。東方の女性がスノースバンのトレーダーの割符を持っている時点で、領主のご令嬢だと思いました。ただ、こんな所にやってくる理由が全く分かりません、差し支えなければ理由を教えていただけませんか?」
ジェイドはバナムを暫しにらみつけて、言い捨てた。
「嫌だ、教える理由がない。その前に、私の質問に答えてないだろう。」
「これは失礼しました。私がどちら側の人間かと言う話でしたね。私の主はずっとサムート・ハンです。我が家は、先祖代々、ハン家にアルーム国王家に仕えてきました。例え国が他国に支配されようと、私はハン家に仕えている。」
そう答えると、バナムはエイナーに目を向けた。
「サムートには婚約者がいました。親同士が決めた婚約者でしたが、サムートは彼女をとても大切に思っていました。しかし、彼女は自分の両親をジャーダンに人質に取られ、サムートを裏切りました。結果的には彼女の手引きが元でサムートの父である国王は殺害されてしまいました。ジャーダンは彼女に使用価値があると判断したのでしょう、彼女も彼女の両親も命の保証はされましたが、彼の監視下に置かれています。そして、彼女は自責の念に堪えられず自殺を図りました、未遂に終わりましたが、意識不明だそうです。」
エイナーは顔を上げてバナムに目をやった。バナムは話を続けた。
「サムートも彼女を責めてはいません。どんな状況であっても自分の父親を守れなかった自分が悪いと自分を責めていました。そんな折に彼女が意識不明になって、益々自分を責めるようになりました。その後は自暴自棄になり、アラン二世の誕生祭で彼はジャーダンに切りかかったのです。未遂に終わりましたが、通常であればそれで死罪です。どうにか謹慎処分で済みましたが、その後の彼はもぬけの殻です。彼には心の支えが必要です、一緒に戦ってくれる支えが。貴方は、その為に来たのではないのですか?」
そう問われたエイナーは口籠った。
自分はバナムのことを良く知らない。これが罠で、自分が「はい、そうです。」と答えた瞬間に、部屋の中に兵士たちがなだれ込んでくるようなことがあったら……まあ、その時は逃げればいいし、ジェイドも問題ないだろう。バナムに狙われることになっても、余り状況は今までと変わらないように思えた。
だったら言ってしまおう、そんな気分になった。しばしの沈黙を破ってエイナーが答えた。
「その通りです。この国を彼の手に取り戻す手伝いがしたいと思っています。」
また、暫しの沈黙があった。
「貴方がここに現れた日から、サムートの薬の量を減らしてもらっています。もう少しで彼も正気に戻るそうです。そうなれば、ゆっくり彼と話も出来るでしょう。奥様のことも紹介してあげてください、きっと喜ぶと思いますよ。」
バナムの目は眼鏡の反射で良く見えなかったが、頬に一筋涙が流れたように見えた。
「あれが芝居ってことあるかな?」
部屋に戻る道すがら、エイナーがジェイドに聞いた。
「わからん。最後の涙はやり過ぎ感が出ていて、嘘くさかったが。」
「今夜、刺客が部屋にやって来なければ、信じても良いのかなあ……」
何時からこんなに人を疑うようになったのだろうか?少し前までは、ここまでされたらすんなり信じて、有頂天になって喜んでいただろうにと、少し前までの自分の危うさを顧みた。
本日もお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
スターバックスで焼き芋のフラペチーノが出ています。秋だな。
まだ、食べてないけど。




