第43話 味方なのか?どうなのか?
始めまして、白黒西瓜です。
某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。
ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。
若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。
今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。
自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。
参考資料:
地図
家系図
登場人物が増えたので追記しました。
リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長
ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物
リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物
マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇
ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)
アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)
アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官
ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻
テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)
サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子
ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄
タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官
アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち
ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者
ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長
リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋
リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長
シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下
ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母
師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住
ペペとムー:ジェイドの犬たち
餅:ジェイドが飼っていた猫
ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性
ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下
バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理
アルタイル(通称:アル):バナムの部下
カジャナ・ポナー:サムートの主治医
ナズ:カジャナ医師の助手
アスリ:カジャナ医師の助手
メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性
状況が把握できないまま、エイナーは部屋の中を見まわした。サムートの姿がどこにもなかった。
「サムートがいない。」
そう呟きながら、バナムに目をやった。
「サムートならば、下の部屋にいますよ。」
バナムが足元の絨毯を足でずらすと、その下には隠し扉のようなものが見えた。バナムは屈んでその扉を開け、エイナーに手招きをした。
「ここから下に行けますよ。さあ、どうぞ。」
バナムを本当に信じても良いものだろうか?何かの罠なのか?一瞬そうも思ったが、ジェイドたちが同じ部屋にいるのだから、バナムも下手なことはしてこないだろうと思い、彼の手招きに従って、その扉の中を覗き込んだ。
ランプが一つ灯っていて、その横に誰かこちらに顔を向けて座っている。よく見るとナズのようだ。
「ナズ、ここで何をしているのですか?」
「エイナーじゃない。貴方こそ、そこで何をしているの?」
お互いに顔を見合わせた。
エイナーは梯子を下って、下に降りた。ナズがランプをかざして、足元を照らしてくれた。
部屋の全貌は暗くて分からないが、ベッドが置いてあり、そこに誰かが横になっている。ベッド横たわっているのはサムートのようだ。小さく寝息を立てている。
「今は、お薬で眠っていらっしゃいます。」
起こしてはいけないと思い、エイナーは彼には触れず、ベッドの横に膝をついて彼の顔を覗き込んだ。やつれた顔ではあるが、穏やかに眠っているようだった。暫し彼の顔を眺めて、その後、ナズにお礼を言って上の部屋に戻った。
エイナーが上に戻ると、縄を解かれたカジャナがサムートと話をしていた。兵士たちの死体もなくなっていて、使用人が、血の染みついた絨毯を片付けていた。
「何が、どうなっているんですか?」
訳が分からず、エイナーがバナムとカジャナに尋ねた。
「私は、ジャーダン様の指示でここに赴任した。彼からは病死を装ってサムート様を殺害するように言われていたのだが、曲がりなりにも私は医者だ、殺害なんて出来ない。かと言って、ジャーダン様の命に背けばどうなるかは明白。私がサムート様をなかなか殺害しないことに、ジャーダン様が業を煮やして、サムート様殺害のための兵士を送り込んで来たのだよ。」
カジャナが溜息交じりに事情を説明し、話を続けた。
「自分ではどうすることも出来なくて、イチかバチかバナム様に相談したのだ。正直、私もバナム様がジャーダン様側なのか、サムート様の側なのか判断がつかなくてね。今回は、運よくサムート様のことを救うことが出来た。」
「じゃあ、何でさっきは縄で縛られていたのですか?」
エイナーが尋ねると、
「万が一の際は、カジャナ先生にはまだジャーダン側の人間の振りをしてもらっておく方が都合がよくてね。念のために、私に囚われた振りをしてもらおうと思ったんだよ。」
バナムが眼鏡を外し、胸のポケットに入れながら言った。そして、窓の外を眺めながら呟いた。
「送った兵士が誰も戻らなければ、ジャーダンも私たちを疑いだすだろう。多分、既に疑っているだろうけど。この先どうしたものか、考えないとなりませんね。」
四人は部屋に戻り、筆談交じりで話を始めた。(口頭「」、筆談『』)
『四人とも箱の中に人が入っていることに気づかなかったのか?』
ジェイドが悔しそうな顔でそう書いた。
三人が頷いた。全員気づかなかったようだ。
『ウズラは気配が消せる。その手法か?』
ズーシュエンが書くと、マチアスが不思議そうな顔で尋ねた。
「それは何だ?」
『マラトの部下の呼び名らしい。全く気配がない。』
「会ったことあるのか?」
「ああ、何度か。」
「ムークアツの方で、そう言う術を代々引き継ぐ家系があるって話を聞いたことがある。その術だけじゃなくて、各家独特の術だ。その家に生まれた子どもは幼いころから毎日鍛錬して秘伝の術を学ぶんだそうだ。そして、その術を使って自分の仕える主のために働くって仕組みらしい。」
「秘伝が漏れているってことですか?」
「そんなもんだろう、金になれば技や術を売るやつは出て来る。アルタの魔法と呼ばれるものも国外への持ち出しは禁止されているが、人の往来に制限がないから禁止する意味がない。」
『まだ、私の計画をバナムに話すのは早すぎる?』
エイナーが書くと、マチアスは速攻で首を縦に振った。ジェイドとズーシュエンは少し悩んでから首を縦に振った。
『お前がここに来た目的を探ってるのかもしれない。』
マチアスがそう書いた。エイナーも半分はそんな気がしていた。
「腹が減ったな。軍医やっていたころ、戦場行ったり、厳しい訓練の最中だったり、兎に角、腹が減っても何も食べられないときは、腹が満たせる魔法がないかなって真剣に考えたよ。でも俺は気づいた、なぜ腹が満たせる魔法がないのかってことに。それは、そんな魔法覚えるよりも、自分で食いもの探して食べる方が手っ取り早いし、幸せだからだ。」
そう言って、彼は食堂に降りて行った。三人も彼に続いて降りて行った。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
PC使う時に手元が暗い気がして、電気スタンド2つ使いにしてみました。明るい。
明るすぎて悪い事ってあるのかな?




