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第38話 潜入初級編

始めまして、白黒西瓜シロクロ スイカです。

某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。


ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。

若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。


今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿でモラン国王の摂政(マラトと組んで、モラン国の勢力を拡大していると言われている。)

アラン2世:モラン国王(病気で療養中と言われている。)


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

 大きな荷物を持ったエイナーは、女性二人の後ろについてエントランスに出た。彼を怪しむものはいなそうだった。


 男性が、助手二人に声を掛けてきた。

「今日から薬の量が増えるぞ、忘れてないだろうな?」


「はい、いつもより多く準備しています。忘れていませんよ。」

 助手の一人が返答した。


 男は、エイナーのことを一瞥したが、それ以上何かを言うこともなく、通り過ぎて行った。


「お二人は、医療助手の方ですか?」

 エイナーが二人に聞いた。


「そうよ、主にサムート様の主治医のカジャナ先生の助手をしているわ。」

 女性の一人が答えた。


「お名前を伺っても宜しいですか?私の名前はエイナーです。」

 今更、偽名を使う必要もないし、前もって準備もしていなかったので、素直に自分の名前を名乗った。


「私は、ナズ」


「私は、アスリ」


 二人とも、すっかりエイナーのことを物資調達部の人間だと思い込んでいるようだった。

 二人ともベテランの助手で、十年以上カジャナ医師の元で助手をしているそうで、数年前まではカジャナ医師がモラン国王のアラン二世の主治医だったため、そこで助手をしていたらしい。


「カジャナ先生が主治医だったころは、国王もお元気だったのに……」

 そこまで言ってしまってから、アスリが口を噤んだ。


「何でもないの、聞かなかったことにしてね。」

 そう言ってアスリが作り笑いをした。


「カジャナ先生はいつからサムート様の主治医をされているんですか?」

 エイナーが尋ねると、


「一年くらい前からよ。」

 ナズが答えた。


「サムート様は前アルーム国王がお亡くなりになってから、体調を崩されてしまって、それで、カジャナ先生が主治医に任命されたのよ。」

 アスリが小声で補足してくれた。


「サムート様の容体はそんなに宜しくないのですか?」

 エイナーが心配になって二人に聞いた。


「心の病ね。ショックなことが重なったから……」

 二人ともこの話については、それ以上は口を噤んでしまった。


「ところで、エイナーはいつからここで働いてるの?見ない顔だけど。」


「数日前からです。」


「そうなんだ、数日前じゃあ、この城のこと良く分かってないわよね。なのに、もう一人で仕事させられてるの?」

 ナズが不思議そうな顔でエイナーに尋ねた。


「人手不足らしくって、新人に時間をかけている暇がないみたいですよ。取り敢えず、言われたことをやってる感じです。」

 そう言って、エイナーは笑ってみた。


「そうよね、どこも人手不足。若い健康な男は軍に回されるし、エイナーはよくこっちに来られたわね。」

 またもや、ナズが不思議そうにエイナーを見た。


「……いろいろありまして。」


 そう言いながら、エイナーは言い訳を考えたが、何故かナズがその一言で納得したらしく。


「そうよね、いろいろ事情ってあるわよね。」

 そう言いて、それ以上は何も聞いてこなかった。


 ナズは一体何を察して、何を推測しているのだろうか?エイナーはかなり気になったが、一先ず、変な言い訳をせずに済んで助かったと、胸をなでおろした。


「ありがとう、この先は自分たちで運ぶから大丈夫よ。」

 ナズがエイナーにお礼を言って、扉の前に荷物を置くように指示した。


「これ、かなり重たいですよ。必要な場所まで運びますよ。」

 エイナーはにっこり笑って、荷物を持ったまま、そこに立っていた。


 ナズが少し考えて返事をした。

「そうね、じゃあ、部屋の中まで運んでちょうだい。」


 アスリが部屋のとびらを開けると、そこは、広々とした応接室の様な部屋だった。

 少し家具や絵画の配置が違うが、以前、この部屋には来たことがあるような気がした。

 記憶が正しければ、この応接室の左側にある扉の向こうがサムートの寝室になっているはずだ。


 エイナーはナズに指示された場所に荷物を下し、少し大きな声で二人に話しかけた。


「凄いお部屋ですね、家具も絵も超一級品なんでしょうね。このガラスの置物一つで私の給料何年分なんですかね?」


「私には価値が分からないけど、一つでも何か壊したら、エイナーのお給料じゃ一生かかっても払えない物ばっかりよ、きっと。」


 そう言って、アスリが笑い、エイナーも一緒に笑った。


 そんな、和やかな空気の中、左側の扉がほんの少し開き、その隙間から背の高い男性がこちらを覗き込んでいる。

 エイナーがそちらに目を向けると、その男性と目が合った、その瞬間、彼の瑠璃色の瞳にほんの一瞬だけ光が差したように見えたが、直ぐに、くらい眼差しに戻った。


「サムート様、起きていらっしゃったんですか。無理をされては、お体に障ります。ベッドにお戻りください。」

 アスリがそう言って、サムートをベッドに戻そうとした。


 すると、サムートが倒れそうになり、エイナーは咄嗟にサムートの体を支えた。

「サムート様、大丈夫ですか?」


「……エイナー……どうしてここに?」

 サムートの声は、やっと聞き取れるほどに小さく、掠れていた。


「サムート、会いに来たよ。」

 エイナーもサムートにだけ聞こえるほどの小さな声で答えた。


「サムート様、ご無理をしてはいけませんと、何度も言っているじゃないですか。」

 そう言って、小柄な初老の男性がこちらに近づいて来た。


「君、サムート様をベッドにお戻ししてくれ。」


 初老の男性はエイナーに指示を出し、ナズとアスリに直ぐに薬を持ってくるように指示をした。


 エイナーはサムートを抱きかかえてベッドまで運んだ。サムートが思っていたよりも軽くて、エイナーは思わず涙が出てきそうになるのをこらえた。

 サムートをベッドに横たわらせ、彼の手を握りしめながら、他の誰にも聞こえない様な小声で囁いた。

「また、来るから。」


 そう言って、彼から離れた。


「カジャナ先生、お薬をお持ちしました。」


 ナズが薬包紙に包まれた薬と水を銀のトレーにのせて運んできた。カジャナはその薬をサムートにゆっくりと飲ませた。

今日もお読みいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか?感想などなどいただけると嬉しいです。


もう、9月なんですね。

早い!

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