第35話 正体2
始めまして、白黒西瓜です。
某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。
ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。
若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。
今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。
自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。
参考資料:
地図
家系図
登場人物が増えたので追記しました。
リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長
ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物
リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物
マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇
ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿
アラン2世:モラン国王
アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官
ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻
テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)
サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子
ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄
タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官
アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち
ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者
ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長
リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋
リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長
シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下
ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母
師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住
ペペとムー:ジェイドの犬たち
餅:ジェイドが飼っていた猫
ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性
ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下
南モラン地区(旧アムール国)の物資調達責任者:バナム・アルマ
パナムの部下:アルタイル(通称:アル)
「リュウ・ズーハンさんですか。西方の、しかも女性がスノースバンで領主お抱えの商人とは珍しいですね。」
そう言って、バナムはジェイドに微笑みかけたが、直ぐにズーシュエンに目を向けて質問をした。
「そちらの黒髪の方は?」
「私は、リュウ・ズーシュエンです。」
バナムの焦げ茶色の瞳が、反射する眼鏡の下で光った様に見えた。
「お二人は、同じ姓なのですね。」
「リュウは西方ではかなり多い姓なので、特に珍しい事ではありませんよ。」
ズーシュエンが何食わぬ顔で答えた。バナムもそれ以上は質問をして来なかった。
「そちらの護衛の方のお名前は?」
「マチアス・ジュノーだ。」
マチアスは不愛想に答えた。
「有難うございます。では、金額の交渉をさせていただきます。遠路はるばる大変な中をいらしていただいたのですから、こちらもかなり色を付けさせていただきます。一度精査して明日にはお返事しますよ。ズーシュエンさん、こちらに鎮静効果の強い薬草の追記をお願いします。」
そう言われて、ズーシュエンは何かを書類に記載した。
「では、明日、また同じ時間くらいにお越しください。」
「所で、商品と代金の引換方法はどうされるおつもりですか?」
エイナーがバナムに尋ねた。
「ご心配なく、うちの部下がご指定の拠点まで代金と申請書を持参します。品物も部下たちが引き取りに行きます。モラン国外は物騒ですが、流石にモラン国軍に手を出してくるような輩はおりませんから、心配せずとも代金も商品も安全に運ぶことが出来ます。」
「代理人では信用してもらえない可能性もありますが、その点はどうされるおつもりですか?」
「委任状を作成して下さい。それがあれば問題ないでしょう。」
エイナーは頷いた。
部屋に戻っても話も出来ないので、城内の敷地を四人でフラフラしながら話が出来そうな場所を探した。
魚が泳いでいる池があったので、そこにしゃがんで魚を見るふりをして話をした。
「朝の残りのパンでも持ってくれば良かったな。明日、忘れなければ、持ってきてやるぞ。」
マチアスが大声で言った。その後、小声でぼそぼそと話した。
「俺たちのことを、外に出さないつもりだな。」
「軟禁ってことですか?」
エイナーも小声でつぶやいた。
「泥抜きすれば、食べられそうだ。」
ズーシュエンが魚を見ながらつぶやいて、その後、小声で言った。
「私たち、少なくともエイナーの正体を知っているようだ。」
「ここに居られるのは好都合だけど、正体がばれたからと言って、軟禁される覚えはないけどな。」
エイナーは少々解せないと言った表情で、小声でつぶやいた。
三人は、肩をすくめて、分からないという表情をした。
暫く、そこでくだらない話をしていると、衛兵に「そんな所にしゃがみ込んでいたら邪魔だ。」と言われたので、仕方なく別の場所に移動した。
移動しながら、小声でエイナーがジェイドに尋ねた。
「なぜ、ズーハンを名乗った?」
「あいつを誘き出すためだ。」
そうだろうとは思ったが、まさか自分を餌にマラトを誘き出そうとするとは。ジェイドならばやりかねないことを、事前に予測しておくべきだったとエイナーは少し後悔していた。
折角、苦労してズーハンの死を偽装した張本人であるズーシュエンは、どう思っているのだろうかと、彼に目をやったが、「仕方がないね。」とでも言いたげな表情をして、肩をすくめた。
歩いているうちに、昨日、サムートを見かけた窓の下を通りかかった。エイナーは立ち止まってその窓を見上げた。ジェイドも一緒に立ち止まった。
「どうした?」
マチアスが尋ねた。
「昨日、あの窓の所に、サムートが立ってこちらを見ていたんです。」
小声でエイナーが答えた。
エイナーの視線の先にはただ窓があるだけだった。
「お前たち、そこで何をしている。」
さっきの、衛兵が声を掛けてきた。
特に詰問するようでも、怒っているようでもなかった。
ズーシュエンが窓を指さして答えた。
「あそこの窓からこちらを見ている人がいたので、誰だろうと思って、見ていたのです。もう、居なくなってしまいましたが。」
「あそこは、サムート様のお部屋だよ。今は体調を崩して籠ってしまっているけど。さあ、ここに居たら邪魔だよ。」
「先ほどから、私たちのことを追い払うだけで、取り締まったり、脅したりしませんね。私たちはここではどういう扱い何でしょうか?」
ズーシュエンが衛兵に尋ねた。
エイナーも不思議に思っていたことだったが、まさか、本人に面と向かってそれを尋ねるという選択肢があるとは思ってもみなかったので、よくぞ聞いたと感心しつつ、少し驚いた。
「俺は、上司に言われた通り、お前らの監視をしてるだけだよ。でも、乱暴なことはしないようにと言われてるから。頼むから部屋に帰って大人しくしていてくれないか?」
やや懇願するような顔で衛兵が答えた。
「部屋に居ろと言われても、大の大人が四人で顔を突き合わせてずっと一緒にいると、むさ苦しくなる。息抜きくらい良いだろう。何処だったらうろついて良いんだ?」
ズーシュエンが衛兵に語気強めで言い返した。
「そうだよな、わかった。城の西側だったらいいぞ。そっちには重要な建物もないし、南側には正門が、東には重要な部署の建物が、北には後宮があるからな、西は物資調達や貯蔵関連の建物になるから、そっち側だったら大丈夫だ。」
衛兵はそう言って、丁寧にも敷地内の大まかな配置を教えてくれた。
「ありがとうございます。主に西の方を使わせてもらいます。そうだ、貴方のお名前をお聞きしてなかったですね。私は、リュウ・ズーシュエンです。すでにご存じだと思いますが。」
「ああ、名前は聞いたよ。そっちが、リュウ・ズーハン、エイナー・ナーゲルス、そんでマチアス・ジュノーだろう。俺は、アルタイルだ。アルって呼んでくれ。」
アルは人の良さそうな笑顔を見せた。
「アル、私のことはズーシュエンと呼んでくれ。今後もよろしく頼むよ。所で君の上司というのは、物資調達責任者のパナムのことかい?」
「ああ、そうだよ。」
また、人の良さそうな笑顔でアルが答えた。
何でも話してくれるけど、天然なのか?油断させるためか?
……これは天然だろうなと、そこに居る四人は思った。
本日も読んでいただきありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
感想聞かせていただけると、本当に、嬉しいです。
長崎県で3月3日桃の節句のためにだけ?登場する桃カステラが好きで、2月くらいに桃カステラだけ食べ歩きをする、長崎観光をしたいなと、もう5年以上思い続けています。
タイミングを逃すと1年後になっちゃうので、行きたいと思ったものは、次回でもいいやと思わずに行きたいなって思いました。
桃カステラの砂糖の部分が好きです。




