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第32話 入国

始めまして、白黒西瓜シロクロ スイカです。

某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。


ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。

若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。


今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿

アラン2世:モラン国王


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下

 簡易的な要塞と聞いていたが、目の前に見えるのはそれなりの要塞のように見える。

 高台の上には円柱状の石造りの見張り台があり、その裾野には、人の背丈の3倍ほどの壁が立っていた。

 壁はそこまで遠くには続いていないようだったが、壁の上には衛兵たちが配置されており、手には弓を持っていた。


 衛兵たちの動きを警戒しながら、正面の大きな門に向かって進んだ。

 衛兵たちがこちらに向かって一斉に弓を構えた。


 事前に、モラン国から帰って来た商人から、商人だと分かれば自分たちの懐にも金が入るため、国境の兵士たちは攻撃はして来ないことを聞いていて、エイナーは衛兵たちに向かって叫んだ。


「私たちは商人だ、ここを通してもらえないだろうか?」


 正門の上に立っている、一際目立つ羽飾りを帽子に付けた男が、他の衛兵たちの弓を下げさせると、門が開いた。


「下の門を入って、兵士の指示に従え。」


 そう言われて、三人は門をくぐった。


 兵士からのいくつかの質問をされ、持ち物と身体検査をされた。

 その後、相場だと聞いた額の金を渡すと、札を三枚渡された。


「国内にいる間は、この札を常時携帯するように。所持していない場合、何があっても保証できない。」


 その札を手にして、後ろ表を良く眺めながら、マチアスが小声で一人の兵士に尋ねた。

「因みに、これってもっともらえたりするのか?金ならばこいつが払う。」

 そう言って、エイナーの方に目をやった。


 その兵士も小声で返した。

「金額次第だ、何枚欲しい。」


 マチアスが口角を少しだけ上げて返事をした。

「一枚、さっきの倍出す。」


 エイナーは机の下から兵士に金を払い、それと引き換えに、札をもう一枚受け取った。


 特にそれ以上は何ごともなく、モラン国に入ることが出来た。


「ジェイドは無事にこっち側に入れたのかな?」

 先に進みながら、心配そうにエイナーが呟いた。


「ペペとムーが一緒だから、問題ない。」

 マチアスがそう答えた。




 昨晩、ジェイドだけ別行動をすることになり、先にペペとムーと一緒にモラン国に入ることになっていた。


「女が入国するとなると、それなりの理由が必要かもしれない。身体検査されたら、いくら何でもばれるだろう。」


 マチアスが焚火に木をくべながら、ジェイドの方に目をやってそう言って、少し考えてから、首元から首に下げていた笛を出して吹いた。全く音がしなかった。暫くするとペペとムーがやって来た。


「正規ルートは危険だろう、お前は先に、こいつらと国境を越えろ。」


「分かった。」

 素直にジェイドが答えた。


「だったら、四人で同じルートで行きましょう。」


 エイナーがそう提案したが、マチアスがその提案に反対した。


「念のため俺たちは正規ルートで入ろう、入国記録や、何か入国者の目印みたいなものを付けられるかもしれない。」


 エイナーも納得せざるを得なかったが、ジェイドと犬二匹で国境越えはさすがに心配だった。


「心配ない、いざとなれば、こいつらは馬よりも早い。」


「犬だけ足が速くたって、意味ないでしょう。馬みたいに乗る訳じゃないんだから。」


 エイナーが語気を強めて、マチアスに言い返すや否や、犬たちが巨大化した。


 エイナーとズーシュエンは自分たちの目を疑った、暫く呆気に取られて犬たちを見ていたが、彼らから一度目を逸らし、もう一度目をやった。


 やっぱり巨大だった。


 大型犬とかのレベルではない。立ち上がれば、家の天井に達する大きさだ。


「乗れるんだよ。」

 焚火にくべた木の位置を、よく燃えるように上手く調整しながら、マチアスが言った。


 ジェイドは夜のうちに、二匹と一緒に出発した。




 モラン国内に入れば、集落などで食料を調達することが出来て有難かったが、そう言った集落は、軍人たちの娯楽場のようになっており、何処へ行っても酒を飲んで、大声を出している兵士たちのたまり場になっていた。

 宿屋もあるにはあったが、見上げると二階の窓から数名の女性が手招きをしていた。


「ここの兵士たちは昼間から酒飲んで、女遊びして、いつ働いてるんだ。」

 エイナーが不満そうに呟いた。


「やる事がねえんだろう、関所で入国希望者から金をふんだくって、飲んで遊んで以外に。本当はピブラナ国との戦闘にやって来たんだろうけど、ピブラナ国は殆ど掌握出来ちまったからな。」

 マチアスもすれ違う兵士たちに冷ややかな視線を送った。


 ズーシュエンも少し嫌悪を示すような表情をしたが、直ぐにいつもの飄々とした表情に戻った。


「この国の両替商では資金調達は出来ないだろうし、関所で結構な額の金を使ってしまったので、どのみち宿に泊まるなんて贅沢だった、この後は、節約して行かないと。」


 エイナーが何となくそんなことを言うと、ズーシュエンが思い出したかのように言った。


「そうだ、悪かったね、私の分は払うよ。」


「良いんですよ、どうせ自分の金じゃない、スポンサーたちの金ですから。それに、その分の売り上げは出しているはずだから、今の所、損はさせてないはずだし。」


 そう言ってエイナーが笑うと、マチアスも笑いながら、


「スポンサーか、だが、この先はそのスポンサーの力も借りられないかもな。」


「今まで以上に気を引き締めて行かないとですね。でも、流石に風呂には入りたいな。」

 エイナーがそう言いながら、自分の腕や胸のあたりの匂いを嗅いで、嫌な顔をした。


「風呂こそ贅沢ってもんだろう。三人とも同じ匂いだ、安心しろ、どこかの川にでも飛び込めばいい、洗濯にもなる。」

 マチアスが涼しい顔でエイナーに言った。


「この辺りには火山があるから、どこかに温泉が湧いているかもしれない。探してみようか。」

 ズーシュエンが提案した。


「おお、温泉か良いな。一先ずそれを探そう。」

 マチアスがその提案に乗った。


「川で良いって言ってたくせに、その前にジェイドを探しますよ。」

 そう言ってエイナーは口をへの字にした。


「心配するな、ジェイドたちがこっちを見付けてくれる。」




 食料を購入した店で、温泉の湧いている場所がないかを尋ねると、十数キロ離れたところに有名な温泉があるが、今では兵士たち専用の保養地のようになっていて、一般市民は入らせてすらもらえないということだった。

 代わりに、もう少し近くに地元民しか知らない穴場があるからと、その場所を教えてくれた。


 今日はもう温泉に到着することは諦めて、一旦、野宿をすることにした。


 静かな森の中で、焚火をしながら夜空を見ていると、争いごとがこの国で起こっていることなんて、忘れてしまうような気がした。


 そんな夢うつつの気分に浸っていると、後ろでガサガサと音がした、何事かと振り返ると、ジェイドたちが木々の間を抜けて現れた。


「こいつらに付いてきたんだ、意外と早く合流出来て良かったよ。」

 そう言いながら、ジェイドがエイナーの隣に腰を下ろした。


 ペペとムーはマチアスとズーシュエンの間に座った。


「よかったよ、無事だったんだね。」

 そう言って、エイナーはジェイドの手を握った。そのまま抱きつこうとしたが、ジェイドをよくよく見ると、お風呂に入ったかのように全体的にきれいになっていたので、抱きつくのを躊躇して、そのまま手を握っていた。


「すっきりしてるね、温泉にでも入ったのかい?」


「ああ、よくわかったね。この先に温泉が湧いてたんで、入って来たんだ……皆も、入った方がいいな。」

 そう言って、三人をまじまじと眺めた。




 翌日、三人は温泉に入った。

 エイナーは骨まで溶けるような気分になり、のぼせて溺れかけた。

今日もお読みいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか?感想などいただけるととても嬉しいです。

次回は8/21(水)14:30のUpを予定しています。

宜しくお願いします。


名前の西瓜は某鉄道会社のキャラクターが好きで、付けたのですが、本当の西瓜も好きです。

今年は、小玉だけど2つ収穫できまして、食べたら甘くて美味しかった。

今年の夏の思い出です。

気が早いですけど、そろそろ秋がやってきます。サンマ、柿、栗、葡萄、銀杏、サツマイモ、カボチャ、、、ああ、食べ物の季節。

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