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第27話 再び出発!

始めまして、白黒西瓜シロクロ スイカです。

某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。


ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。

若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。


今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿

アラン2世:モラン国王


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫

 ハンナからはずっと敵討ちを止めるように説得をされ続けていたが、ジェイドの意志は変わらず、明日はアムール国へ向かって出発することになった。


「姉上の心配は本当に有難い、きっと私のこともそうだけどエイナーのことも心配で言ってるんだろうな。」

 窓辺に運んだ椅子に座り、頬杖を突きながら外を眺めてジェイドが呟いた。外はやっと空が白みだしている所だった。


「…早いね、眠れなかったのかい?」

 彼女の声に気づいて、まだ目が覚め切らないままエイナーが声を掛けた。


「早く目が覚めちゃうんだ、習慣かな……でも、今日はちょっと違うかも、やっぱりいろいろ考えてしまう。起こしちゃったみたいだね、ごめんね。」


「大丈夫、起きようっかな。」


 あくびをして、明るくなり始めた外を眺めながらまだ眠そうな声で言った。そして、眠い頭で少し考えてジェイドに声を掛けた。


「散歩にでも行かない?」




「麦の収穫は終わったのかな、こないだの麦畑は綺麗だったね。」

 ジェイドの手を握りながら、先日訪れた麦畑がある方向を見てエイナーが言った。


「そうだな、収穫は終わったみたいだ。今はその後の処理をしてるらしい。乾燥とか脱穀とか。」

 エイナーに右手を引かれながら、ジェイドも同じ方向を見た。


「詳しいね。そうか、後宮の仕事を手伝ってるんだたな。どこに行っても何か手伝ってるよね、君は。」


「そうだね。」


 そう言って、何となく二人で微笑んだ。

 ふと思うと、ジェイドとこんな風に手をつないで散歩するのは初めてかもしれないと、エイナーは心の中で少し驚き、とても嬉しい気持ちになっていた。




「まあ、今日は来るのは仕方がないな。」


 フォンミンが全員に向かって言った。何だかんだと言いながら全員分の食事を用意していた。


「お前らがいなくなって清々するよと言いたいところだが、やっぱり少し寂しいな。」


 ちょっとだけ寂し気に微笑んだフォンミンの横で、アリマも少し寂しげに見えた。


「明日から、フォンミンと差し飲みになっちゃうなぁ。」


「もう来るなよ、お前は。」


 アリマは「うん。」とも「いやだ。」とも言わずに、口をとがらせて酒を飲んだ。


「タユナの遺骨はいつ故郷に撒きに行くの?行くときは私も一緒に行きたいな。」

 棚に置かれた白い布に包まれた壺を見つめてアリマが尋ねた。


「当分、長期の休暇は取れないから、ことが落ち着いてからだな。」

 フォンミンもその壺を眺めて申し訳なさそうに言った。


 エイナーたちのナルクでの滞在は三週間程度だったが、いろいろな出来事があったせいか、もっとずっと長い時間を一緒に過ごしていたような気がしていた。明日が出発であったとしても、酒を飲むペースも量も落とすようなものはおらず、全員いつも通り、いやいつも以上に飲んだ。ジェイドは飲めない分を食べる量で挽回するかの如く食べていた。犬たちはそんな人間を横目に、のんびりと好きな人の足元で寛いでいた。


 飲んで食べて喋って笑って、只々穏やかな楽しい時間を過ごした。


 フォンミンとアリマは明日の朝早くから仕事があるため出発前に会うのはこれが最後になる。

 二人とも酒に酔って上機嫌でこれから旅立つ面々にはなむけの言葉を送った。


「明日は見送りできないけど、気張って行ってくれ。」


「フォンミンが怠けないよう目を光らせてるから、その点は安心して。来年の結婚式楽しみにしてるからね。本当に気を付けてね。」


 言葉を発するまでは上機嫌だったが、そう言ってアリマが涙を流してジェイドの手を取った。ジェイドもその手を強く握り返して頷いた。


 それを見たフォンミンがアリマの背中を軽く二度ほど叩くと、アリマはぐちゃぐちゃにした顔をフォンミンに向けて、


「職場でこれしたらセクハラだからな。」

 そう言ってもっと泣いた。




 お世話になったパナート王子とハンナ妃に挨拶をしてエイナーとジェイドは城を出た。

 城の外ではズーシュエンとマチアスが二人を待っていた。


 これから四人と二匹はナルクから東に向かい、モラン国方面に進む。


 エイナーが何気に城を見上げると、窓越しにハンナがこちらを見ていた。エイナーはハンナに笑いかけ手を振った、ハンナも笑って手を振り返した。

 その笑い顔は少し悲しそうにも見えた。

今回はいかがでしたでしょうか?


ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。


よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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