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第10話‐② これを邂逅と言えばいいのだろうか

始めまして、白黒西瓜シロクロ スイカです。

某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。


ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。

若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。


今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)

 ジェイドが女将にお茶とお菓子を貰いに行っている間に、エイナーはズーシュエンに、さっき街中の仕立屋の前でマラトと思われる男を見た話をした。


「彼は用心深く、殆ど表には出てこないのだが、あの仕立屋には、半年に一度程度、採寸にやってくるんです。服装や見た目には異様なこだわりがあるようで、服に一寸染みが付いたとかで、怒り狂ったり、普通とは思えない振る舞いをするらしい。実際にその現場を見た訳ではないが、異常な男には間違いない。」


「彼に直接会ったことは?」


「四回ほど、二回は彼が虚明堂にやってきた時で、一回はここベレン、もう一回は西夏との国境にある小さな村でした。だが、彼の根城がどこなのかは目星がついていないんです。」


 女将とジェイドが戻ってくるのが見えたので、話を止めた。


 二人は、ピスタチオを挟んだパイの様なお菓子と、コーヒーを運できてくれた。


 お菓子をほおばりながら、ジェイドが興味津々で尋ねた。

「ズーシュエンはどこで何をしてる人で、ここには何をしに来たの?」


 笑みを絶やさずに、ズーシュエンは答えた。

「私は、西山にある虚明堂という所の副堂長をしている。」


 それを聞いたジェイドの目が輝き、興奮気味に尋ねた。

「母上が十六歳になるまで過ごした場所だ。私の母上はムーランと言う名前なのだが、知っているか?」


「ムーランかぁ、残念だがそう言う名前の人はいなかったね。もしかすると、堂を出た後に名前を変えたのかもしれない。そういう人も多いからね。」


「そうなのか……」


 残念そうなジェイドをみて、ズーシュエンは申し訳なさそうに言った。


「以前の名前が分れば良いのだけれど。」


「ベレンには良く来ているようだが、何か理由が?」


 エイナーが話題を変えようと、違う質問をした。


「商談みたいなものかな。虚明堂には古くからの運営方針があってね、特定の家や国などから多額の寄付を貰えないことになっている。また、運営費は可能な限り自分たちで稼ぐことにしている。そのために酒、薬、武器、農産物などを作って、売って運営資金に当てたり、時には傭兵や講師派遣のようなことをして資金調達などもする。またそれも、特定の一か所に大量に卸しては駄目で、複数の相手と取引をしなくてはならなくて、既存の取引相手を尋ねたり、新規開拓をしたりと、商人の様な事もしないといけなくてね。東方よりもイズミールでやり取りをする方がいろいろと便利で、特にこの辺は贔屓が多いから、定期的に訪問している。どこにも属さずに独自の運営を続けるためには必要なことだし、気分転換にもなるから結構楽しい仕事だ。」


 ジェイドが呟いた。

「酒、薬、武器、農産物……」


 彼女が持っている知識に似通ったものたちである。


「ジェイドが詳しい物ばかりだな。」

 エイナーが言った。


「そうだね。なんでだろう。」




 ジェイドが虚明堂やズーシュエンのことを知りたがったので、ズーシュエンが丁寧に説明をしてくれた。


 数百年前に南風地方から、医者をしていた女性が東方地方を通り、各地の武術や医学を学びながら、西山にある虚明湖にたどり着き、そこに今の虚明堂の基になる寺子屋のようなものを開き、人々に武術と医学を教えたことが始まりとされている。

 堂にはその女性が祭られているが、寺ではないので僧侶はおらず、特になにか宗教的な意味合いを持つ堂ではなく、特に武術に重きを置いた、無料の職業訓練所の様なところで、武術以外では語学も教えていて、他には、酒、薬、武器、農産物などの作り方も教えつつ、子どもたちと一緒に生産をしている。

 開祖が女性のためか、堂長になれるのは女性だけで、以前は母が、今は妹が堂長をしている。

 場所が場所だけに通うのは難しく、皆一緒に堂に暮らして学んでいるが、その多くは孤児や、親が面倒を見られなくなった子どもたちなどである。

 孤児で名前が分からないものは、その時の堂長の姓を名乗らせており、母の時は、ヤン(楊)、妹になってからはリュウ(劉)姓を名乗らせている、今いる子どもの半分以上がリュウなので、下の名前で呼ばないと誰が誰だか分からない。


 父親は山の麓で菓子屋を営んでいて、父がリュウ姓のため、妹と自分はリュウを名乗っている。

 母は武術の達人だが、妹は全くダメで、水墨画や詩を書いていて、西山ではちょっとした著名人で彼女の水墨画は高く売れる。

 父親はどこかの宮廷料理人だったが、争いでその国が無くなってしまい、虚明堂に流れ着き、一時は厨房で働いていたが、念願だった自分の菓子屋を開き、母と結婚して、母が堂長を引退するまで別々に暮らしていた。


 ジェイドは真剣に話を聞いているが、表情は少し浮かない感じだった。


 そんな彼女を見て、ズーシュエンが提案をした。


「私の話はこのくらいにして、もしよかったらお二人の馴れ初めなど聞かせてもらうことは出来るかな?」


 その後、ジェイド目線の二人の馴れ初め話が語られた。


 もともと、親が以前から二人を結婚させたがっていたこと。


 エイナーが権力者の娘との縁談を断り、それが原因で出世が出来なくなったことを彼の父親が心配して、自分との縁談を急ピッチで進めたこと。


 エイナーがこの縁談を受けるかどうか判断するために、わざわざ自分を品定めしにやってきたこと。


 求婚用のブレスレットを、何故か結婚して二カ月程経ってからくれたこと。渡してくれた場所が担々麺屋だったこと。美味しかったし嬉しかったこと。


 自分の父親はロマンチストなのに、エイナーが理詰めでその父親と話をしようとするので、いつも話が拗れること。


 エイナーは、嘘じゃないけど、そんなこと言わなくていいじゃないかと言う話をされ、

 彼らの横で顔色を青や赤にしながら、黙って聞いていたが、


 彼女の総括が、『一緒にいて楽しいし、結婚してよかった。』だったので、心からホッとした。


今回はいかがでしたでしょうか?


ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。


よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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