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第10話‐① これを邂逅と言えばいいのだろうか

始めまして、白黒西瓜シロクロ スイカです。

某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。


ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。

若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。


今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。


自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。


参考資料:

地図

挿絵(By みてみん)


家系図

挿絵(By みてみん)

 受付にいた息子ウリムに、リュウ・ズーシュエンと名乗る男が来たら、自分たちがここに宿泊していることを伝えて欲しいとお願いした。するとウリムが驚いた様子で言った。


「ズーシュエンさんには、よくうちを使ってもらってるんですよ、お知り合いだったんですか?そういえば、奥さんはどことなくズーシュエンさんに似てるような気がします。」


「妻も東方の血を引いているので、きっと似ているように見えるんでしょうね。単に、仕事上での知り合いですよ。」


 と答えておいた。




 姉の所に行く前に、少し街中の様子を見ておこうと探索に出かけた。

 ジェイドは女将さんの手伝いでジャガイモの皮をむくと言って、宿に残った。


 この辺は、モラン国辺りのいざこざの影響が生活面には出ていないようだったが、多少物流に影響が出ていて、ドライフルーツや酒が入ってこなくなったと言っていた。

 しかし、生活必需品ではないので特に困った様子はなかった。


 酒はこの隙に、ノーサンストのワインを試してもらって、第二夫人の後押しもあれば、継続的に需要が維持できるかもしれない。

 などと考えつつも、この旅の本当の目的を思い出し、そちらに関する情報が何かないかもう少し街中を回ってみようと思った。


 服の仕立屋の前を通りかかった時、店の中から大柄な男が出てきて、直ぐに黒塗りの馬車に乗り込んでいった。

 この辺りでは見かけない、黒の上下のスーツを身にまとい、しわ一つないビシッとした着こなしである。

 丸刈りの頭に、神経質そうな顔立ち、左の口元に大きな傷があり、目は透き通るような薄い青、シャムネコの様な瞳をしていた。


 おやおやおやおや、


 彼女の復讐すべき仇、どう見ても彼の特徴と一致している。

 自分の手が震えている感じがしたが、努めて平静を装い、極力不自然な動きをしないように心掛け、馬車が遠く離れるのを待った。


 心の中で、ジェイドが後二時間くらいジャガイモの皮をむき続けてくれることを祈りながら、仕立屋に入った。


「いらっしゃいませ。お客様この店は初めてですか?」


 若い男性の店員が声を掛けてきた。


「ええ、初めてです。さっき出て行ったお客さんが着ていた服、ああいうのって、ルッカまで渡らないと手に入らないと思っていたのですが、もしや、ここでも購入できるんですか?」


「あ、先ほどの黒いスーツの方ですか。」


「そうです、かなり上質なもののようだったので、気になってしまって。」


 店内を見回すと、特にスーツ系の服や生地は置いてない感じで、色も柄も刺繍も派手目の服や生地が置かれていた。


「うちでは作っておりませんが、寸法を測って、ルッカにあるお店に注文するシステムになっています。なので、通常よりも時間がかかってしまうのですが、形や生地の見本が奥にあるので、いかがですか?」


 奥に通されて、見本を見ながら店員と話をした。


「随分と洒落た方でしたね、しわ一つない着こなしをされていた。きっと、仕立ても良いんですね。」


「はい、仕立ても一流の店です、自信を持ってお勧めできますよ。ルッカにある『ハリーとエグジー』というお店です。お客様は旅の方ですか?」


「ええ、まあ。この辺でもああいうスーツの様な格好をする人って多いんですか?」


「あまりいませんね。ごく一部の方だけですね。」


「私は向こうで生まれ育ったので、この辺りで正装が必要になった際に、問題がないのであれば、着慣れたスーツを着たいと思っているのですが、そうはいかないものなのですかね?この辺りでは、具体的にどういった方がスーツを着られているのですか?」


「難しい質問ですね。スーツを着てパーティーなどに参加されると、多分、目立つと思いますね。良い意味でも、悪い意味でも。職業までは存じあげませんが、皆さま強いこだわりを持たれている方が多いと思います。先ほどのかたは不定期ですが半年に一回程度は、寸法を測り直していますね。毎回ほぼ同じ寸法なので計りなおす必要がないのですが。今回も前回と同じ数値でした。後は、西方の文化がお好きな方とかですかね、理由はいろいろですね。」


「西方文化が好きな方ですか、話が合いそうだ。そういう方が集まりそうな場所はこの近くにあったりするんですか?」


「そういう方が集まる酒場がありますよ、私も時々飲みに行くのですが、場所をお教えしますよ。」


 これ以上、黒いスーツの男の話をしつこく聞いても怪しまれると思い、酒場の名前と場所を聞いて、一先ず帰ることにした。


 ジャガイモの皮むきを終えたジェイドが、街中を一人でウロウロして、マラトと出くわしていないかと心配で、急いで帰ってみると、ジェイドはズーシュエンと一緒に、厨房の棚を直していた。


 ズーシュエンは虚明堂で会った時とは雰囲気が異なり、動きやすそうな紺色の道服を着ていた。

 優雅と言うよりは、凛々しい雰囲気になっていた。




「エイナーお帰り、一人だけ遊びに行ってずるいよ。こっちはいろいろ大変だったんだから。」


「遊んではいないぞ。ズーシュエンはいつ着いたんですか?」


「少し前に着きました。着いた途端に棚直しの手伝いをさせられてしまいました。」


 そう言いながら、ズーシュエンはとても嬉しそうに笑っている。

 偶然だろうが、二人とも頭の上の方で髪を一つに束ねた同じような髪形をしている。

 二人並んで棚を直しをしていると、もう仲良し親子以外の何者にも見えない。


「私が一人で棚を直している所に、丁度ズーシュエンがやって来たから、手伝ってもらったんだ。ありがとうね。」


 そう言って、ジェイドは竈の上から飛び降りた。


「もう随分仲が良さそうだから、紹介は不要かな?」


 エイナーが聞くと、ジェイドが答えた。


「そうだね、名前も聞いたし、これからいろいろ話をすれば良いから大丈夫だよ。エイナーが言った通り気が合いそうだよ。」


「ジェイドさんは随分頑張って働いてたみたいだから、お茶でもしながらゆっくり話をしようか。お腹も空いたでしょう。」


「空いたさぁ。私のことはジェイドでいいよ。私はアーズーって呼ぶよ。」


「アーズーはダメだね、もし呼びにくかったら、ズーシーとでも呼んでくれたら良いよ。」


 笑いながらも、駄目なものはダメと言うのかと思い、エイナーは疑問に思ったことを聞いた。

「アーズーって何?」


 ジェイドが答えた、

「ズーちゃんみたいなこと。エイナーだったら、エイちゃんみたいな感じだよ。シャオズーってのもあるよ。後はズーズー」


「そりゃ駄目だろう。」


 結局、お互いにあだ名は付けずに、全員そのまま呼び捨てで呼び合うことになった。

今回はいかがでしたでしょうか?


ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。


よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

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