表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/150

第125話 アバガスでの戦い⑦

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

「敵の様子がおかしいと思わないか?」


 敵に囲まれている城外を眺めながらアシルがエイナーに言った。


「はい、以前より騒がしい気がしますね。」


 エイナーが答えた。


 ここ数日、夜になると大騒ぎをしている兵士たちの声が良く聞こえた。

 既に勝った気にでもなっているのだろうか? それとも自暴自棄にでもなったのか? とエイナーも不思議に思っていた。

 その夜も、兵士たちの騒ぎ声がアバガスの城内まで聞こえていた。




 翌朝は敵からの攻撃がなく、様子を伺っていると、外から大声でこちらに呼び掛けている声が聞こえた。


「私はヤバン将軍だ。だが、たった今からヤバン国王になる。アバガスを占拠して、ここに我らの独立国を作る。我々に素直に城を明け渡し、協力するのであれば、これ以上の危害は加えない。」


 第一城壁の上から敵の攻撃に備えていた、アシルとエイナーが自分たちの耳を疑った。


「良く聞こえなかった。今なんて言ったの?」


 アシルがヤバン将軍に向かって大声で叫んだ。


 ヤバン将軍(自称、ヤバン国王)は咳払いをして、再び大声を張り上げた。


「我々はアバガスを占拠し独立する。お前たちは大人しく、我らにアバガスを引き渡せ。」


 それを聞いたアシルが大きな目をパチクリとさせた。


「エイナー聞こえた? ここに独立国を作るんだって。 僕の聞き間違いじゃないよね?」


 エイナーは困惑しながら答えた。


「私にもそう聞こえました。」


 再び、アシルはヤバンに向かって大声を張り上げようと、胸壁から身を乗り出そうとした。

 そんなアシルをエイナーが後ろから引っ張った。


「そんなに身を乗り出したら、敵の矢で射られますよ。」


 大人しく身を乗り出すのを止めたアシルが、大声で尋ねた。


「どこから独立するんだ?」


「どこ?……モラン国からに決まっているだろう。」


 ヤバンが答えた。


「なんで、そうしようと思ったんだ?」


 アシルが再び大声を張り上げた。


 ヤバンは躊躇ちゅうしょしたが、直ぐに答えた。


「お前らには関係のない話だ。城を明け渡して、大人しく我らに従え。」


「関係なくないよ。急にそんなこと言われても、こっちにだって事情ってものがあるんだ。ちゃんと説明してくれ。」


 苛立ちを見せたヤバンが怒鳴った。


「アシル・クム……お前は、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、早く、城を明け渡せ。」


 アシルは言い返すのを一旦止めて、エイナーにジトっとした視線を送った。

 エイナーもジトっとした視線で彼の視線を受け止めた。




「ヤバンたちは、モラン国を敵にまわしたってことだよね? だったら、彼らはモラン国から物資や兵士の調達が出来ないどころか、モラン国から攻撃を受けることになる。」


 アシルが、目の前の四人に向かって言った。


「ですが、ここ数日、兵士の数が増えている気がします。」


 ナフナ将軍が答えた。


「私も、思っていました。ですが、兵士の数が増えたからと言って、攻撃力が上がった訳ではなさそうだったので、気のせいかとも思っていました。それと、数日前から、敵の兵士たちが夜中に大騒ぎをしているのも気になっていました。」


 アサヤ将軍も同意した。


「何が起こっているのだ?」


 腕組をしたサムートが溜息をついた。


「そういった変化が起こって数日たっていますが、モラン国が彼らを攻撃してくる気配がありませんね。これからですかね?」


 エイナーが言った。


「彼らの独立と私たちは無関係ですよね、彼らの目的が独立だとしたら、私たちが戦い続ける意味とは……」


 アサヤ将軍が言い難そうに言った。


「ダメだよ、ムンド国の一部を占拠なんてさせないよ。しかもアバガスは絶対に明け渡さない。」


 アシルが言い返した。


「そうだな、ここに独立国を作ることは許容できない。」


 サムートも同意した。


「しかし、少し困ったことになったな。私の使命はジャーダン討伐だ、この状態でそれをどうやって成し遂げればいいのだ。」


 アシルに同意しつつも、現状にどう対処すべきかサムートは困惑していた。


「ただ、こんな反乱を起こされるなんて、パレオスで何か起きているとしか考えられない。」


 エイナーがサムートに言った。


「確かにそうだよ。本当にジャーダンがカリーナ王女に罷免ひめんされたのかもしれない、そして、モラン国は戦いを止めようとしているのかもしれない。でも、ここで考えていても確かなことは何もわからない。だから、自分たちが今やるべきことをやろう。援軍が来るまで私たちでアバガスを守るんだ。」


 アシルの意見にその場にいた全員が同意した。


「そうだな、援軍が来るまでここを守り切る。その後、パレオスで状況を確認しよう。」


 そう言って、サムートは城壁の上に上り、敵の兵士を見渡した。アサヤ将軍とナフナ将軍はサムートに続いた。




 エイナーとアシルは自分たちの持ち場に帰る前に、マチアスの所に寄って、今、話をしたことを説明し、カラスが戻ってきていないかを確認した。


「訳の分からん状況になったな。カラスはまだ戻っていない。ヨナスの所に帰ったのかもしれないな。」


 お茶をすすりながら、そう言った。






今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せました。理解の参考にしていただけると幸いです。


地図 全体

挿絵(By みてみん)


地図 モラン国周辺拡大

挿絵(By みてみん)



家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性


エレン・クム:元ムンド国皇太子

アシル・クム:元ムンド国第二王二

ルスラン八世:元ノンイン国王

アサヤ将軍:元アルーム国軍の将軍

ナフナ将軍:元ムンド国軍の将軍

ヤバン将軍:モラン軍の将軍の一人で、アバガスに攻め入っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ