表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/150

第123話 あなたの出番です

背景説明地図と登場人物紹介は後書きにあります。

「彼ら?」


 ジェイドがバナムに尋ねた。


「ガイアム軍の一行がパレオスに向かっています。」


 バナムが穏やかに答えた。


「ん?…エイナーを助けに来たのか? そんな個人的なことで軍が動く訳ないか、いや、エイナーのお父上が金を積んだのか? そんなことする感じの人に見えなかったけどな……ん、もしや、うちのオヤジ?」


「そう言う理由ではありませんよ。」


 バナムは、くすりと笑って穏やかに答え、彼の知っている経緯を説明した。




 ハルン国の要請を受け、ユーリハ国、イーロア国も対モラン国への出兵を行った。それと並行して、この三国からガイアム国に停戦仲介の依頼も行っていた。


 ガイアム国王がこの依頼を了承し、ガイアム軍から仲介役が派遣され、仲介役の一行はハルン国内のモラン国との国境付近まで進み、そこで待機をしながら、モラン国側に停戦協議の打診を行っていた。

 その打診に王女が応じたため、彼らはパレオスに向かっていて、二、三日中にも到着する予定である。


 王女はこの停戦協議で停戦を受け入れるつもりだが、それを快く思わない一部の大臣たちから非難の声が上がった。また、今回のヤバン将軍のように、自ら独立国家を作ろうとするものまで出て来てしまい、パレオスは混乱している。


 また、アバガスにヤバン将軍率いる反乱兵たちの鎮圧に向かいたくても、停戦を望まない大臣たちに阻まれてしまい、直ぐにアバガスに援軍を送ることが出来ない状況でもあった。

 そのため、アバガスにいるアルーム国とムンド国の王子救出のための援助をガイアム軍に依頼したいと考えていた。




「ガイアム軍も一度パレオスに入ってしまうと、アバガスに向かうことを阻まれてしまう可能性があります。そのため、王女はガイアム軍に直接アバガスに向かってもらえるよう根回しができないかと悩んでおられました。」


 バナムが事の説明をすると、


「そうだな、直接向かってもらえるならば、その方が有難いな。」


 そう言って、ジェイドはうなずいた。アルも横で一緒にうなずいた。


「そこで、ジェイドさんあなたの出番ですよ。」


 バナムが小声で静かに言った。



 ~~~~~~

 三国が戦う以外にモラン国の支配から逃れる方法として、モラン国と停戦条約を結ぶ案を検討していた。その為には、第三国にモラン国と彼ら三国との間で停戦交渉を仲介してもらう必要があった。もし、ユーリハやイーロアがモラン国に支配されれば、バラル湾を渡り一日でたどり着くことが出来るガイアム国にもそれなりに影響が出ることを見越し、それを事前に防ぐためにもガイアム国にとっても有益な話になると考え、彼らはガイアム国に打診をしたのだった。


 この打診に対して、北の領地と、中央の領地の両領主が賛成、南の領地の領主は反対しなかった。また、北と中央の領主から資金援助を受けられることになったため、ガイアム国王も仲介役として国王軍からの派遣を了承した。


 と言う経緯があった。

 ~~~~~~



 この後、バナム、エレン・クム(元ムンド国皇太子で、アシルの兄)とジェイドは、カリーナ王女に秘密裏に面会した。


 そして、バナムとエレンはサムートとアシル救出のためにアルーム軍、ムンド軍の出兵命令を下した。ジェイドは王女の委任状を持って、ガイアム軍と合流するため出発した。




 パレオスからユーリハに続く一本道があり、ジェイドはその道に沿ってユーリハ方面に向かった。ペペに乗っているので、道を走る訳にはいかず、道に沿った茂みの中を走り続けた。


 半日ほど走り続けると、遠くに青い旗と白い旗を掲げた兵士の大群がこちらに向かって進んでくるのが見えた。


 ジェイドは、その青い旗には良く見覚えがあった。


 白い旗は、国王軍などが、戦闘の意図せず致し方ない事情で他国を通過する又は入国する際に、戦闘の意思はない事を示すものであった。

 一応、決まり事ととして掲げることになっているが、だからと言って、襲われないことが確約されている訳ではない。


「仲介役にしては、随分と大軍だな。」


 遠くに見える行列を眺めながらジェイドはそう呟き、その行列に向かって、再び走り出した。






今回のお話はいかがでしたでしょうか?

ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。

よろしければ、いいね!ブックマークなどもよろしくお願いします<(_ _)>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せました。理解の参考にしていただけると幸いです。


地図 全体

挿絵(By みてみん)


地図 モラン国周辺拡大

挿絵(By みてみん)



家系図

挿絵(By みてみん)


登場人物が増えたので追記しました。

リュウ・ズーシュエン(劉紫轩):虚明堂の副堂長

ヤン・リーイン(楊日瑩):ムーランと同一人物

リュウ・ズーハン(劉紫涵):ジェイドと同一人物


マラト・ベルカント:ある組織の幹部、ジェイドの仇

ジャーダン・ナラハルト:モラン国王の娘婿、国王の摂政(マラトと組んでモラン国を拡大させていると言われている。)

アラン2世:モラン国王(体調不良で表には出てこないと言われている。)

カリーナ王女:アラン二世の娘、ジャーダンの妻


アクセル・ゲイラヴォル:軍でのエイナーの上官

ヴォルヴァ・ゲイラヴォル:アクセルの妻

テュール(8) 、マグニ(6)、ダグ(4)、エーシル(1):ゲイラヴォル家の子どもたち(年齢)


サムート・ハン:エイナーの文通相手だったアルーム国の王子

マルチナ・アリア:サムートの婚約者


ヤン・フォンミン(楊楓明):ユーリハ国王軍の司令官、ズーシュエンの母方の従兄

タユナ・ハイネン:ユーリハ国王軍の副司令官

アリマ:ユーリハ国王軍の女性兵士、ジェイドの友だち


ジョゼフ・テオ:ある組織の創設者


ヤン・シィェンフゥア(楊仙華):ズーシュエンの母親、虚明堂の前堂長

リュウ・シュエンュエ(劉轩月):ズーシュエンの父親、菓子屋

リュウ・ュエフゥア(劉月花):ズーシュエンの妹、虚明堂の現堂長

シャンマオ(バナジール):西山で洋食屋をやっている元(現役?)ハリスの部下

チャン・リーファ:(張李花)ズーシュエンの彼女

ワン・シア(王仔空):リーファの息子


ソフィアとその祖母:ナルクで出会った麦畑の少女とその祖母


師匠 マチアス・ジュノー:ジェイドの師匠、元軍医、東アルタ在住

ペペとムー:ジェイドの犬たち

ピン:ジェイドが飼っていた猫


ヤン・ジンウェン(楊金温):ピブラナ国の首都ボヤーナで医師をしている女性

ヨナス・デスモン:ピブラナ王室に送り込まれた、マラトの部下


バナム・アルマン:南モラン地区(旧アルーム国)の物資調達責任者、モラン国大臣代理

アルタイル(通称:アル):バナムの部下

カジャナ・ポナー:サムートの主治医

ナズ:カジャナ医師の助手

アスリ:カジャナ医師の助手

メイ・モーイエ(梅莫耶):旧アルーム国の首都グレナディで医者をしている女性


エレン・クム:元ムンド国皇太子

アシル・クム:元ムンド国第二王二

ルスラン八世:元ノンイン国王

アサヤ将軍:元アルーム国軍の将軍

ナフナ将軍:元ムンド国軍の将軍

ヤバン将軍:モラン軍の将軍の一人で、アバガスに攻め入っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ