第9話‐② 出発の時二人は何を考え思うのか
始めまして、白黒西瓜です。
某鉄道会社のキャラクターが好きでこの名前にしました。
ロードオブザリングが好きで、その世界観をオマージュした小説を書いてみたいと思って小説に挑戦しましたが、全く違うものになりました。
若い夫婦の旅物語です。母の仇を打つべく自分を鍛え上げた娘ジェイドと、不本意ながらも彼女の復讐の完全成功に導くために頑張る結婚相手のエイナーとの旅物語です。
今の所、毎週水、土、日の14:30に新しいエピソードを更新しています。
自分でこの小説を書いていても、人の名前や地名など混乱してしまうので、参考資料としてざっくりとした世界観説明用地図と家系図を載せておきます。理解の参考にしていただけると幸いです。
参考資料:
地図
家系図
リュウ・ズーシュエンとは、ベレンにある『白い肥えた小馬』という宿屋で落ち合うことになっていたため、その宿に数日泊ることにした。
宿帳に氏名、年齢、職業、続柄を記載するよう言われ、記載していると、
続柄に『妻』と記載している時に、受付係が驚いた顔をしたのに気付いた。
その後、彼はジェイドをしげしげと眺め少し困惑している様子だった。
ジェイドは受付のカウンターを背に、片肘をカウンターに置いて立っていたが、彼の視線に気づき、彼に顔を向けた。
その時、彼は彼女の胸のあたりを見て、納得した顔をしていた。
人の妻の性別を胸で判断したのかこいつはとムカついたが、自分も最初に出会った時に同じだったことを思い出し、今回だけは不問にした。
「このペン借りるね。」
とジェイドは受付にあるペンを手に取り、外に向かって投げた。
外で、男の悲鳴が聞こえた。男の肩にペンが刺さっている。
「何やってるんだ。」
エイナーが声を掛けたが、彼女がそれを聞かずに外に走って行き、悲鳴を上げた男が手にしている袋を取り上げた、男は後ずさり、背を向けて走って逃げた。
その後、彼女は後ろに倒れていたやや高齢の女性の横にしゃがみこんで、その袋を女性に返した。
女性はジェイドの手を取りゆっくりと立ち上がり、
「まあ、お若いのに凄いわね、本当にありがとう。今週の売り上げが全部取られてしまう所だったわ。」
「気を付けなきゃだめだよ。どこに持って行くんだ?一緒に行こうか?」
「スリだったのか。急に人にペンを投げ付けたからびっくりしたよ。」
駆け付けたエイナーが言った。女性はエイナーを見て、
「あら、上司の方?優秀な部下をお持ちですね、本当に助かりました。私は、この宿の女将をしてます。あら、もしかしてお客さん?」
後ろから、受付係もやってきて
「母さん、大丈夫だったかい、怪我はない?奥さん本当にありがとう。助かりました。」
「奥さんって?」
不思議そうに女性が息子に尋ねた。
「お二人は、ご夫婦なんだよ。」
母と息子の二人でこの宿の切り盛りをしていて、母親が仕入れの支払いに向かった所でスリにあってしまったそうだ。
「ごめんなさいね、てっきり、ジェイドさんのことを衛兵の見習いさんか何かかと思ってしまって。ご夫婦で旅行?」
「いえ、旅行ではなく、商人をしています。」
とエイナーが答えた。
「どういったものを売っているの?」
「主に、ノーサンストとスノースバンの特産品です。馬、大麦、ライムギ、ホップ、ワイン、羊毛などが主なものです。あと、訪れた地方でいい物があればそれを買い付けたりもしています。」
「あら、ノーサンストのワインって、アルコール度数が高くて美味しいのよね。この国の第一王子の第二夫人がノーサンストのご出身で、何かのお祝いの時に振舞っていただいて、美味しかったわ。でも少量では販売してくれないんでしょう?」
「そうですね、樽で運ぶことになるので、一バレルからになります。ボトルにすると3百本分くらいの量になりますね。値段は送料込みでこのくらいです。」
「あら、近所の食堂とも相談してみて共同購入できたら、お願いするかもしれないわ。」
「はい、その時は是非よろしくお願いします。」
「販売ノルマって全部捌かないとならないのか?馬なんてどこで売ればいいんだよ。」
部屋に入るやいなや、ジェイドがぼやいた。
「捌ききれた方が気持ちいいじゃないか、馬は一番売りやすいかもしれないぞ、スノースバンの馬は頑丈で調教しやすいってことで有名だ。軍用でも運搬用でも重宝されてるし、この辺りはもしかすると、これから軍事費を増やして馬の購入も増えるかもしれない。」
「エイナー、楽しそうだね。何よりだよ。私も、連れてきた甲斐があったってもんだよ。」
「そりゃどうも。」
今回はいかがでしたでしょうか?
ほんのちょっとでも続きが気になるという方がいらっしゃったら、本当に本当にうれしいです。
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