思い出したこんな人だった
「ん?知り合いか?」
隊長さんがクラウスに聞いている。
「はい。同級生でぶちまかすだけの攻撃魔法なら国の中でもトップレベルかと。」
「え?でも、治療師って言ってたよ?正反対じゃない?必要な技術。
あと、ぶちまかすだけって・・・?」
「言葉の通りです。コントロールが下手でしたが、ぶちまかすだけの攻撃ならとんでもない威力でした。多分、あのドラゴンくらいなら吹き飛ばせますよ。」
「いや、あれ王宮魔導士でも一人で吹き飛ばせるの数えるくらいしかいないよ・・・?」
「いけます。この人なら。
・・・まあ、他のものも全部吹き飛ばしそうではありますが。」
後半はボソッとクラウスは言った。
くそー。確かに、攻撃系の成績は良かったよ。そうですね。コントロールが下手なせいであなたに一位の座を奪われてましたね。
でもね、治療師になるべく苦手な魔術コントロールを練習してきたし、なによりここは私の故郷。
絶対に関係ないものは飛ばさない・・・多分。って思ってたら、言葉にしちゃってました。
「できます!!!」
「え、いや、無理しないで。一般人の人にお願いするのも・・・」
「いえ、隊長さん、やらせてください!私も故郷の一大事に何かしたいんです。」
それに、このむかつくクラウスに成長した姿を見せねば。
「いや、でも」
隊長さんが渋っているが、もう私はやる気満々。
速攻杖を取り出し、魔法を繰り出す。
「え、無演唱?!しかも、火球でかくね?」
隊長さんがまだ何か言っているが、熱くなっている私には何も聞こえていない。
大きな火球が暴れていたドラゴンに合ったって、ドラゴンが飛んでいく。物理的に。
「燃えさせる気だったんですけど、やっぱりドラゴンの皮膚って強いですね。燃えなかったです。」
「いや、そういう問題じゃ・・・」
「礼は?」
クラウスが少し口角を上げて言ってくる。
そう。私は燃えると思っていたので、火の回りにきちんとシールドを張っていたが、飛んで行った方向には張っていなかった。クラウスが瞬時に張ってくれていなかったら、間違えなくこの辺り一帯が焼け野原だ。
「ありがとう」
ぼそっと言った。
「いえいえ。やっぱりコントロール下手だな。あと、そういえば後先考えなかったな昔から。もっと純度を上げれば燃やせたし、もっと考えてればこうなるって予想できたろ。」
「すみませんねえ、それができないから、万年二位だったんですよ。」
くっそむかつく。思い出したよしっかりと。こいつは、一位を奪い取っていくだけじゃなくて、こんなむかつく発言しかしてくれなかった。