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ボドゲ日和  作者: A
4/7

ドミニオンII

「じゃあ始めましょうか!よろしくお願いします。」


「宜しくお願いします!」


始まりの挨拶を済ませて、全員山札から5枚を引く。


まずは私の番


「手札から4金を払って、鍛冶屋を買います」


そして美咲ちゃんの番


「私は、4金払って民兵を買います」


次にかずみちさんの番


「俺は、3金払って村を購入!」


最後にあきらさんの番


「5金払って、魔女を購入」


2ターン目もバイフェイズでそれぞれ好きなものを購入し、3ターン目のアクションフェイズにかずみちさんが動いた。


「村を使い、1枚引きます。プラス2アクションなので鍛冶屋を使い3枚引きます。5金払って市場を買います。」


またドローカード?


「出たなドロみち!」


マスターがにやけながら入ってくる。


「ドロみち言うな!笑 知らん人が聞いたらただの悪口だからな!笑」


「ドロみち?」


「かずみちの作る山札は、よくドローカードでいっぱいになるんだ。ドローカードは山札を引くだけだが甘く見てはいけない。あと数ターンもしたらその強さを見せつけられると思うよ。」


ドローのかずみちか、面白い。次はあきらさんの番。


「俺は村で1枚引き、プラス2アクションなので、魔女を使います。」


魔女、初めて見るカードが来た。


「魔女の効果ってなんですか?」


「魔女はね、他のプレイヤーは1枚ずつ呪いのカードを引くという能力を持ってるんだ。そこにカラスのカードがあるだろ?それが呪いのカード。」


呪いには勝ち点マイナス1の表記がされている。


あきらさん以外全員が呪いのカードを引く。


「呪いはね、勝ち点が1下がるだけじゃない。デッキを圧迫されるという追加効果があるんだ。」


「圧迫ですか?」


「圧迫の恐怖もおいおいわかるよ!」


またマスターはニヤニヤする。


さらに数ターン過ぎたころ、はじめに動いたのはかずみちさんだった。


「村を使い1枚引きます。鍛冶屋で3枚引きます。市場で1枚引きます。村で1枚引きます。鍛冶屋で3枚引きます。市場で1枚引きます。堀で2枚引きます。山札が無くなったのでシャッフルして、引き。村を使い1枚引きます。更に鍛冶屋で3枚引きます。市場で1枚ひきます。」


止まらない!何これ、みるみるかずみちさんの手札が増えていく。


「そろそろいいかな。21金と購入権が3回、属州2枚と公領1枚を購入します。」


属州を一気に2枚!?公領の点数も合わせて15点…強すぎる。


「出たな成みち!」


「成みち言うな!笑」


「成みち?」


「かずみちは止まらないドローから一気に成金へと変貌する。こいつは今、成みちなのさ。成みちになったら簡単には止まらないよ!」


かずみちさんの番が終わりあきらさんの番


「かずみちは相変わらずだな。俺は村を使い1枚引いて、魔女のカードを2枚使います。」


魔女を2枚!?


「あーいやらしい。あきらは妨害が好きでね、こいつに魔女や民兵を持たせると危険なんだ。」


あきらさん以外全員が呪いのカードを2枚ずつ引く。


「金貨2枚と銀貨1枚で属州を買います。」


また属州が、なくなった。


そして私の番。


美咲ちゃんからの民兵もくらい、手札は銅貨1枚と鍛冶屋が二枚、そして呪いが2枚。


「じゃあ、鍛冶屋を使います。」


3枚引く。


呪い、呪い、呪い。


手札で5枚のカラスが微笑む。


「何も出来ない…」


「これが圧迫の恐ろしさだね。始めはたった1枚のカラスが気づいたら山札いっぱいに詰まってる。後半戦になってくるとカードを引くのが怖くなってくるもんさ。」


クリーンアップフェイズが終わり美咲ちゃんに番が回る。


「私は礼拝堂を使い、銅貨1枚と呪い4枚を破棄します。」


「破棄?」


「破棄は捨て札ではなく、その名の通り破棄するって意味だね。礼拝堂は圧迫の逆、圧縮することができる、いいカードだよ!」


美沙ちゃんの番も終わり


かずみちさんの番


あきらさんの番


と数ターン過ぎた頃、勝負は決した。


かずみちさんが属州を買い占めゲーム終了。


順位は


かずみちさんが1位


あきらさんが2位


美咲ちゃんが3位


…で私が4位


「何も出来なかった…」


美咲ちゃんも悔しさが顔に出ていた。


「2人とも手加減を知らないからな!笑 どうだい上級者との戦いは?」


「…すごく悔しいです。でも勉強になりました。」


「私も勉強になりました。あーまだまだだなぁ」


「まあ椿さんも美咲ちゃんもボードゲーム熱は熱いからね、きっとしばらくもしないうちに、この2人を超えるプレイヤーになれると思うよ!」


私たちは帰り支度を整えると、それぞれの帰路に着いた。


家に帰るとタバコを吹かすことなく、ベッドに倒れ込む。


悔しい。悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい…悔しい!


こんなに悔しい思いをしたのは生まれて初めてかもしれない。


ピコン


ん?


美咲ちゃんからだ。


『今日は惨敗でしたね。そういえば来週マスターが一緒に行き付けのボードゲーム屋さんに行かないかって誘ってくれたんですが、椿さんも一緒に行きませんか?』


『行く。』


『良かった!来週が楽しみです!』


ボードゲーム屋さんかぁ。


少しでも、ドミニオンをプレイしてあの2人を見返してやりたい所だけど、気晴らしにはちょうどいいかもしれない。


これからの一週間は同僚や部長に心配されるほど、私は心ここにあらずだった。


あっという間に一週間が過ぎて約束の日。


ねこ屋に着くと美咲ちゃんとマスターが待ってた。


「こんにちは」


「こんにちはー」


「そういえばマスター、お店留守にして大丈夫なんですか?」


「あー、嫁が店番してくれるから大丈夫だよ!」


「あ、奥さん来てるんですね」


「さて、行こうか」


水色のワゴンRの後部座席に私と美咲ちゃんが乗り込むと、隣街のオタク街へと着いた。


ここは、正直あまり来たことがない。


駐車場に車を停めると、歩いてお店へと向かった。


『ゲームショップまつお』


松尾さんのお店か?


中に入ると色黒の大柄の男性が立っていた。


でかいっ!


「よっボイジャン!また来たよ!」


「お前店は?」


「嫁に任せてきた!笑」


「相変わらずだな、全く。その2人は?」


「あー、うちの常連さんで、椿さんと美咲ちゃん。」


「こんにちはー」「こんにちは」


「うっす!まあ自由に見てってよ!」


お店の中にはありとあらゆるボードゲームが並んでいた。


「ボードゲームってこんなに種類があるんですね。」


「ここには世界中のゲームがあるからね」


「あっ!ドミニオンがある!ネットより安い!」


「ネットは品薄なのをいいことに倍値くらいつけてるからね〜だから転売屋が湧くんだよったく」


「転売屋?」


「正規の値段で買った物を値段を吊り上げてネットで売ってる輩だよ。そいつらのせいで更に品薄になっちゃうんだ。」


「なんか許せないですね」


「うん、あっボイジャンカタン入荷してる?」


「いやまだだな」


「そっか…ドミニオンの拡張は?海辺とか入った?」


「ドミニオンの拡張も、どのシリーズも品切れだよ」


「なんもないな!笑」


「文句あるなら帰れ!ったく。」


マスター達を、他所に。私は美咲ちゃんといろいろなボードゲームに目を輝かせていた。


「そういえば美咲ちゃん、ドミニオンの拡張って?」


「ドミニオンは、私たちが遊んでるのは基本セットで、十二種類くらいのテーマに沿った追加カードのセットが売られてるんですよ。」


「へぇー、それらを組み合わせて遊べるってわけね。」


「そうです!さっきマスターが言ってた海辺もそのうちの一つで、面白いって評判なんですよ!」


「へぇー、海辺か気になるな」


「まあ海辺もネットでは買えるんですがかなりの高値なんですよね…」


「それも転売屋?」


「ですね」


私は転売屋に対する怒りがふつふつと沸いてきた。


「あっ椿さん見てください!これ可愛い!」


「赤ずきんは眠らない?」


「おっ、お二人さんその商品が気になるのかい?」


「はいっ」


「そのゲームは遊び方は簡単だけど、奥の深い読み合いのゲームなんだ。まずは狼役を選ぶ。狼は残りのプレイヤーを豚か赤ずきんに選んで、狼以外のプレイヤーはトラップを仕掛けるか寝るかを決める。狼はトラップに掛からず寝てるプレイヤーを食べたら勝ち。狼以外のプレイヤーはトラップで狼をハメるか、寝てるままスルーされたら勝ち!な?簡単だろ?」


私たちはその他にもいろいろなゲームをボイさんに教えてもらった。


「どれもこれも、面白そうなゲームばかりですねっ!」


「そうだね!あっ、美咲ちゃんこれは?」


ガンナガン


「おっお二人さんお目が高いね!これはガンナガンって言ってな、最近出たばかりのオススメ品なんだ!」


「ガンナガン?」


「まずプレイヤーは4人の中から扱うキャラクターを選ぶんだ。そしてナガンと呼ばれる銃を二丁えらんで、その二丁の銃で撃ち合い30点のライフポイントを先に0にした方の勝ちってゲームさ。」


「マスター!ガンナガン買いましょうガンナガン!」


「別にガンナガン買いに来たわけじゃないんだけど、いっか!ボイジャン、ガンナガン一つ!」


「まいどありっ」


店を後にし車に戻る。


「今日はありがとうございました」


「椿さんも美咲ちゃんも楽しんでくれたみたいで良かった。」


「はいっ!お店に帰ったら早速ガンナガンで勝負しましょ椿さん!」


「とりあえずルール覚えなきゃだなぁ…」


「きっと椿さんならすぐ覚えられますよ!」


「だといいけど…美咲ちゃんも覚えるの手伝ってね」


「もちろんです!あー楽しみだなー!」


「だね!」


このときの私はこんなに楽しい日々がずっと続くと思っていた。

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