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或るウイルスの物語  作者: RARUHI
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若者たちの決意

今回の小説には特撮ネタや、特撮キャラをモチーフにした人物が物語中に登場します。

苦手なかたはブラウザバックを推奨します。

それでも大丈夫だと言う方は、ぜひお楽しみください。

『記者には、今の現実とその裏に隠された真実を伝える義務がある。仮にその真実が都合の悪い物だとしても』


これは俺に今の職業に就く決意をさせた言葉だ。

そしてそれと同時に、死ぬまで突き通す信念でもある。こういう事は俺たちにしか出来ないのだから。



「なあ石井、お前『旧新見国立病院』の事知ってるよな?」


いつものように出勤すると、同じ出版社の先輩の神垣さんに話しかけられた。


「『旧新見国立病院』って、確か廃病院ですよね?それも4年位前に閉まってるやつ」


「おおー、やっぱ知ってたか。流石うちの最年少記者だな」


「茶化さないで下さいよ。で、何かあったんですか?

神垣さんがこういう話をするのって、大体仕事絡みなのは分かってんすから」


そう言うと神垣さんは、なら話が早いと笑いながら話を続けた。


「『新見国立病院』1991年に王族政権が終わり、新政府が作られた事を記念して建てられた。しかし突如経営難を理由に2004年に閉院し、その立地も相まって今では誰1人として訪れようともしない病院。そこまでは知ってるだろ?」


「ええ、その当時は大騒ぎになったんでしょう?新政府になって初めて建てられた病院が僅か13年で閉院って、普通あり得ない事ですもんね」


「もっともあの病院は元々民間のもので、それを新政府が買い取って多少改修しただけだったから、あんまり損害があった訳じゃ無かったらしい」


「でもその病院がどうしたんですか?

それだけじゃ、余りにも記事のネタとしてはインパクトが無いし。そもそも記事に出来なくないですか?」


すると神垣さんはニヤッと笑い、その病院にまつわるとある話をした。


「あの病院が閉院したのは別の理由だと言われてるのは知ってたか?

あの病院、元は新政府が様々なウイルスを検査及び解析を行う為に作られたらしい。そして2004年に新型のウイルスがこの国で発見されたんだ。その発見された新型ウイルスってのが、その病院で解析されていた物じゃないかと言われていた」


「その話初耳ですよ⁉︎そもそもそんな話一切聞いたことありませんし」


かなり驚かされた。

そもそも、2004年に新型ウイルスが発見されたという事実は無いはず。それ以前にあの病院がウイルスの検査、解析を行っていたというのも驚きだ。


「驚くのはまだ早えよ。まだ話の核心にきてねえのにここまで驚かれると、こっちが気が引ける」


そう言われて慌てて、すみませんと言って再び話を聞いた。


「さっきも言った通り、当時発見された新型ウイルスはあの病院で解析されてた物だと言われてたんだが、その噂が立ち始めた頃に病院が閉院になって、結局調べられず仕舞い。それでそのウイルス騒動は終わり……になるはずだったんだが、ここに来て止まってた事件が動き始めた。

3日前に俺の仲間が別の事件を追ってその病院の近くを通った時に、何故かその病院に向かって走ってるトラックがいたらしい。病院までは一本道だからあそこに行く以外は考えられない。だからひょっとしたらここに来て、再びあの病院が使われてるのかも知れないってな」


「なるほど、つまりそれを俺と神垣さんとの2人で調査しようって事ですか」


そう言うと、そのとーり‼︎と笑いながら親指を立てた。

ただ流石に2人だけで行くのは心許ないという事で、当日は俺の友人で神垣さんとも面識のあった東の計3人で行く………はずだった。


いよいよ調査当日。神垣さんと東との事前の打ち合わせで、現地集合する事になったので家から車で出ようとした時に


「兄貴!どーこ行くんだよ‼︎」


そう言ったのは俺の弟の淳だった。


「どこって、今からちょっと仕事で『旧新見国立病院』に行くんだよ」


「なら俺も付いてっていいか?」


淳は表情からしてもかなり興味津々そうだった。これまでも何度か仕事について来ていたので、また行きたいと思っていたんだろう。

ただ今回の仕事はそれまでのモノとは訳が違う。ヘタをすれば裏で大きな力が働いている可能性もあるからダメだ、と言った。

しかしそう説明しても引く様子を見せなかった。さらに淳は、


「それに場所は『旧新見国立病院』なんだろ?あの病院って言ったら……」


それを聞いて俺は(成る程な、ひょっとしたら母さんの事が関係してるかもしれないから行きたいのか)と思い、


「分かったよ。ただし、付いてくるって言うならしっかりと手伝って貰うからな」


と笑いながら言った。

俺たちの力ならこの事件の真実を見せる事が出来る‼︎そう信じて疑わなかった。







[登場人物紹介]

石井 敦(21)雑誌記者 弟の淳の大学費と母親の入院費を稼ぐ為に高校卒業と同時に今の出版社に就職した。近接格闘が得意。

神垣 誠(24)雑誌記者 敦の先輩で廃病院の噂を聞き、敦を誘った。

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