第七日 温水洋一があなたの言いなりに動きます 何をさせる? 2019.9/21 ヌクミズ概論、今回はお笑い考察から入ります。 科学的見地へと陥らない「ボケ的手段」について~お笑い無双という理想状態
判定には四段階あります
玄武 マイナス!……いわゆる一本!
続行!……好意的延長要請
続行・・・……否定的延長要請
白虎 マイナス!……自爆判定
温水洋一があなたの言いなりに動きます
何をさせる? #ダイナマイト関西お題
第一投
地層へ行き、のちの世代に温水地蔵として発掘されなさい
判定
玄武 マイナス!
第二投
食前には必ずタンポポの綿毛に息を吹きかけ、そのあっけなさを目に焼きつけなさい
判定
続行・・・
第三投
キサマに薄毛界隈で入手困難とされているとても貴重な育毛剤を与えよう。ただし条件がある、髪の毛一本を抜くにつきワンスプレー、一本でワンスプレーだ、わかったな?
判定
続行!
第四投
待ち合わせ場所でヘアカタログをバッグにそっとしまい いつも不安にさせ、いつしか電話ひとつですぐ呼び出せる都合のいいベテラン俳優に変えてしまう
判定
続行!
第五投
目隠しで連行して名もなき砂漠の真ん中に置き去りにする
判定
玄武 マイナス!
第六投
世界初の知性を持った温水洋一として一躍有名になってもらい、体外へ排出される汚物等をグッズ販売し小金を稼いでいく
判定
続行!
第七投
ワックスでしっかりとお手入れをしておき 鏡としての用途を錆びつかせない
判定
続行!
第八投
目の前に広がりつづける一面の雪景色をペロッと完食してしまいなさい。ただし各種シロップのおわかりは無限に可能とする。
判定
続行・・・
第九投
娘の命が惜しければ、ボストンバッグいっぱいの温水洋一を詰めて駅前のコインロッカーに用意しろ、わかったな?
判定
続行!
第十投
世界一美しい女性オペラ歌手になりその美声によって世界中の人々に幸せな心地を与えなさい
判定
玄武 マイナス!
第七日感想戦
ヌクミズという最高のモノボケアイテム、だからこそ安直な笑いにしたくない、そういうお題だったかと思われます。
大喜利に参加してみて強く実感していることは、まず命名系はとても難しい、ということ。
大喜利の初心者からすれば、あらかじめテンプレがあるわけですし、むしろありがたく感じている方々もいるでしょう。
しかし大喜利を掘り下げていくと、そこに待っているものは一過性の笑いではやはり強度というか豊かさというか、そういう芸術性みたいなものは出しづらくなるお題なんですね。
加えて昨日のような有りモノ、これも難しいと思います。昨日のようにドラえもんがお題であれば、ドラえもん世界からあるあるを引き出さなければならない、というのが基本です。
昨日は途中からそれをずらしていきましたが、うまくハマらないままフィニッシュしてしまった、というのが関の山でありました。
今回も芸能人をいじる、という一見有りモノではありますが、いかにお笑い核兵器たるヌクミズと言えど、現実に存在する人間です。彼を荒唐無稽な非現実世界へと連れ去ってみたところで、さほど無理はなくなる、それが大喜利の素晴らしいマジックなのですよ。
しかもお笑いの1ジャンルとしては申し分のないハゲというベタさ加減、さらには哀愁たっぷりの中年俳優ですから、ちょっとアレンジを加えるだけで面白くなってしまいます。
第一投がボクの大喜利として出せるものを全て出しきれたような、理想的な回答へと運よく持っていくことができましたが、ありがたいことに一本を頂きましてとてもアガりました。
続いて自信を持って第二投を投げることできましたが、予想外のマイナス判定をくらいちょっとげんなり。
そこで昨日の悪夢がよみがえり、今回は違った形で挑もう、と考え直していきました。
大喜利とはスピード競技だと考えています。
ただ、これはツイッター企画ですし、それにどう挑もうがユーザー次第です。
そこで、ヌクミズをどう料理していこうかと、傾向と対策を練ってから挑むことになりました。
結果的には第三投から第十投までを全て仕上げてしまってから連投していきました。別作業をやりながらでしたので、正味2時間くらいは使いましたかね、8問に2時間。
ただ、反応を待ちながら煮詰まれば休む、という通常のスタイルならば、余裕で5時間とか使っていますので、結果的にはこっちが効率よかったりしました。まあ、即興力を育てることには直結しませんが、これがむしろ役に立つのかなと思ったり。そもそも物語の構想とギャグの力を伸ばす目的でやっているので、ボクに実入りがあるのはこっちの方法かもしれません。明日以降はどっちで挑むでしょうかね。
そもそも何故そのような通常とは違った挑みかたをやってみようと思いついたのか、と言うと、ボケの薄さ、濃度というよりは立体性で計るところの薄さですね。その平坦さ、をいかに回避していくか、が大喜利の鉄則ではないかな、と思ったんです。
回答者や、もっと言えば芸人によっては、ガツンと殴るようなファニーの力を有する猛者もいます。
ですが、ボクは笑いに関してはそういうパワーは持っていないタイプである、と自認しています。これは第三日の感想にも残してますので気になったらば読んでみてください。
それで、ボクのようなタイプが目指すものは、物語性の立体感に他なりません。しかし、悲しいかなボクが一筆書きで作るものはことごとくそのような豊穣さとはほど遠いものになっちゃうんですね、ここがボクのお笑いとしての限界です。
ですが、ボクは幸い小説家です、芸人、あるいは大喜利の猛者と違った特技を持っているんですね。
構成の妙、といいますか、ボケを単発で終わらせないで、複数配置させ、その全体を複合させていくシステム。これを使えば名だたる芸人の繰り出す大喜利にも負けない、ひじょうに強度の高い、豊かなネタの世界を生み出すことができるんですよ。これぞ、小説家のマジックではないかなと。
以下、そこに至るまでのエッセンス、メモ箇条書き。
単発ボケと 複合ボケ→ボケの立体化
うまく融合されていなければたんにボケを並べているにすぎず、冗長になりマイナス化されてしまう。
ポイントとしては、
ボケが浮かんだときそれを現実側からの手段として陥らないこと。
目的をかなえるために科学的見地を重視してはいけない。
発明というかアイデアがなければいけない。
そこに滑稽が生まれる。
直観 情景=ゴールのボケ
手段と呼ばずボケ的手段と呼んでみる
はい。科学的見地を重視してはいけない。素敵ですね~とても。
それではヌクミズ調理法へと話を戻しましょう。
ヌクミズは、素材としては申し分ありません。どのような角度、どのような悪意を込めていくか、というところから考えていきました。
ヌクミズの調理法として設定していったものは
殺す 心理的 理不尽 奴隷化 絶望 辱しめ 家畜化 不可能系 コントパロディ ギャップ
これらを使って今回はお題に挑みました。ポイントはやはり、答えといってもよいお笑いとしての絵、そこからスタートすることですね。
第二日に書いたとおり、ボクは点を拡大していくタイプ、これが基本となっているので、なかなか想像力が及ばないのですが、それも鍛練かなと思いますし、何より、そこが強化されていけば今後のエンタメ創作に驚くほど役に立てるのだろうな、そういう計算もあるんです。
回答としての結論からの着想、そして、そこに至るための帳じり合わせを単なる帳じり合わせでは終わらせない方法、それが科学的見地への回避。そしてそれをなし得るものはもちろん、手段ではないボケ的手段の決行、そういうことです。
そしてそこには起伏があったほうがいい、つまりボケを複数配置させているし、それらのブリッジにはひとつひとつの言い回しが付随するし、自ずと笑いが付随している。
漫才ではないですが、ボケの荒唐無稽を成立させる成分って、結局フリでしかないんですよね。フリが長い漫才はつまらないし、理想的にはフリすらボケと化したお笑いネタ、これぞ無双だとボクは考えます。
難しい挑戦ですが、ギリギリまで詰めていく必要がある、それが大喜利にとっての推敲だと思います。
今回の調理法をまとめてみました。
第一投 殺す 地蔵
第二投 心理的 タンポポの綿毛なくなる
第三投 理不尽 育毛剤
第四投 奴隷化 都合のいい温水
第五投 絶望 連行
第六投 辱しめ 世界初
第七投 家畜化 ワックス
第八投 不可能系 雪景色
第九投 コントパロディ ボストンバッグ
第十投 ギャップ オペラ歌手 美声
さて。結果的に今回は玄武 を3本頂き、白虎 はひとつも食らいませんでした、おそらくこれまでの挑戦では最も質の高い回だったと思います。
このツールを使うことで、自分のなかでは、第五投、連行、以外は全て納得の回答ができました、とても満足です。
創作論をベースにしたお笑いヒューマンドラマ、拙作『ヒバナ』には、ボケとツッコミボケというふたつの、性質の根本から異なるボケの存在における、圧倒的なパワーの違いについての言及がセリフとして語られます。しかし、執筆当時、その答えが何なのか掴んでいない状態で書き進めていたことを今になって思い返すことができます。今回の無双状態、これこそが純粋なボケ であり、それを生み出すシステムが、ボケ的手段の完全無欠なのだなあ、とやっとのことでありがたいことに掴むことができました。
個別な感想ですが、かなりの自信とともに放たれた
第二投、第七投
そしてキャッチーな笑いで突き抜け、ボクらしさも捨ててはいない
第九投
が一本判定を貰えなかったのは残念ですが、上出来の第一投は順当だとして、明らかにボクにとっては不出来である
第五投
これが一本判定に評価されたのはラッキーでした。
大喜利って、相手を落とす心理戦でもあり、やっぱりボクもマシーンではありませんから、誉められることでよっしゃ!と調子を上げる単純な生き物なんですね、一本判定は全体の流れにはとても大事です。
まあ、今回のような録って出し、の場合にはそもそも関係ないかもしれませんが、それでもコピペに感情は宿りますし、宿らねーか笑
第十投
が評価されたのはめちゃくちゃ意外で、嬉しかったですね。
これは、科学的見地の否定、を叶えるマジック文脈がどうしても思いつかず、まあ、科学的に普通に考えれば整形とか女体化とかいろんな小道具が思いついたりしますが、そうではなくて、まっさらなファンタジーでぶつけたるぞー、何も書かん。というのがこの回答で駆使されたボケ的手段なんです。
最もラジカルな表現だと思うので、ボケとしてのパワーは、実はこれがいちばんなのでは?などと考えたりもします。
ボケの面白い面白くない判定は、人間それぞれの感覚に依存しているので絶対的な尺度なんてないんだと思います。
できる努力はそれ以前、やることやり尽くしたら、眼前に後悔なんてあるわけがありません。
以前の割烹『ウケる技術』の回に上げましたが、
やること、つまり、受ける、より自分が面白いと思うモノを作り上げること、ですね。
結果として、丁寧に挑んだ結果に悪いものはない、そう実感することのできた回でした。今回収穫は多大。幸いです。