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明日は晴れると思う  作者: 奏路野仁
8/13

8話

江戸紫 然  雨男 杉本書店にてアルバイト フリーで翻訳の仕事 作家志望

青山 翔   ポストマン ボランティアで地元ラジオ局DJ

東雲 健太  大手自動車会社勤務 法人営業部 柔道部のスポーツ推薦入社

杉本 茜   杉本書店の二代目 通販大手に勝ちたい

松田 珊瑚  スペイン料理店「オラ」でバイト 声優目指して日夜レッスン

桜井 朱莉  大手自動車会社勤務 営業事務 バレー部のスポーツ入社

ブランシェア・ラクシーニュ  自称テンシ

シャルロ・ステファヌス・アートルメクス  自称アクマ

八話


挿絵(By みてみん)


夏は嫌いだ。

暑いから嫌いだ。脱いでも脱いでも暑い。

エアコン付けたら電気代が嫌いだ。

夜にアイスを食べたらお腹が痛くなって嫌いだ。

夏なんて来なければいいのに。


01 江戸紫アパート内、部屋。外は晴れている。

  ブラン「海行くぞ海。」

  シャリ「行くーっ。」

  ブラン「おっさんは来るなよ。」

  江戸紫「待て待て。プールなら許す。」

  ブラン「何でだ。」

  江戸紫「海は保護者いないとダメだ。」

  シャリ「おっちゃんでイイじゃん。」

  ブラン「アホ。こいつ来たら雨降るんだぞ。」

  シャリ「(頭を抱えて)いやーっ。」

  江戸紫「とにかく二人で行くならプールだからな。」

  ブラン「仕方無い。木葉達とプール行くか。」

  シャリ「プール!プール!」

  プール道具を持って出掛けるシャリ、ブラン。

  江戸紫が見送り、そのまま部屋に戻らず通りを歩く。

  空を見上げて苦い顔をする。

  江戸紫そのまま通りを歩く。

  

02 劇場パラダイス前 バイクで通り過ぎる青山。

  駅前 青山のバイクが走り去り駅階段から松田が降りてくる。


03 オフィスビル 青山のバイク走る。

  郵便物を手にする桜井DMをゴミ箱へ。


04 杉本書店。

  ブラン、シャリはガリガリ君。

  ブラン「ん。何か来てた。」

  同じDMをブランが江戸紫に渡す。

  江戸紫「ん?ありがとう。DMか。」

  杉本「エドの夏休みの予定は?」

  江戸紫「午前中はパラダイス行って午後はバイトです。」

  杉本「お盆どうするの。」

  江戸紫「お店はどうなんです?」

  杉本「当然営業。」

  江戸紫「じゃバイト来ますよ。」

  杉本「実家に帰らないの?」

  江戸紫「実家無いです。」

  杉本「え?」

  江戸紫「消息不明なんです。」

  杉本「どういう事よ。」

  江戸紫「どうもこうも、何処で何しているやら。」

     「じいさんばあさんの墓参りは行きますけどね。」

  江戸紫「杉本さんはどうするんです?」

  杉本「実家近いからお墓参りは行くわよ。」

  シャリ「シャリもお礼参りするー。」

  ブラン「誰にだよ。」


05 夜 オラ店内。

  杉本、桜井、松田、東雲、青山、江戸紫、ブランシェア、シャルロ食事中。

  ブラン「てめえら私たちを海に連れて行きやがってください。」

  一同「は?」

  ブラン「エドの野郎が保護者同伴じゃないとダメだとぬかしやがる。」

  杉本「エドでいいじゃん。」

  シャリ「(訛って)おっちゃんはだみだ。」

  ブラン「雨男を海に運んで他の海水浴客に迷惑かけるとか正気か?」

  青山「オレが連れて行ってやるよ。」

  ブラン「さすが変態DJ。」

  シャリ「うーみ!うーみ!」

  青山「シノも行くよな。むしろ皆行くだろ?」

  ブラン「エド以外。」

  青山「そうと決まれば日程決めようか。」

  東雲「え?何が決まったって?」

  桜井「そもそも休み合う日ってあるのかよ。」

  青山「休みは合わせるんだよ。それでこそ友情!」

  杉本「青山君やけに張り切ってない?」

  江戸紫「夏ですから。」


06 朝。江戸紫宅。

  ブラン「明日海連れて行ってくれるって。」

  江戸紫「誰が?どうして。」

  ブラン「木葉んとこ。あそこらへんのうちって毎年行ってるんだって。」

  江戸紫「便乗させてもらえるんだ。」

  ブラン「一泊だけどいいよな。な?な?」

  江戸紫「泊まりか。じゃあちょっとその木葉ちゃんの家教えて。」

  ブラン「なんで?」

  江戸紫「挨拶くらいしないと。」


07 西の丘の上公園。脇に鳥居と階段。

  江戸紫「この上?木葉ちゃんて神社の子なの?」

  ブラン「言ったじゃん。」

  三人汗をかきながら階段を登り境内へ

  シャリ「こっちー」

  その奥に橘家。


08 橘家、客間。

  三人正座して並ぶ。

  ブラン「広いな。」

  江戸紫「広い。」

  シャリ「側転していい?側転。」

  江戸紫「やめなさい。」

  シャリ「じゃあロンダートからのバク転で我慢する。」

  江戸紫「じゃあって何だ。ダメです。」

  橘木葉が麦茶をもって現れる。

  木葉「今母が参ります。」

  江戸紫「ご丁寧にどうも。お忙しいのに恐れ入ります。」

  ブラン「木葉の行儀がおかしい。」

  木葉はブランシェアを睨む。

  木葉「これが普通ですので余計な事言わないように。」

  橘木葉の母、橘結が客間へ。

  橘結「余計な事って何。」

  木葉「ひぃっ。」

  逃げる木葉。

  橘結「あっちょっと木葉っ。」


09 橘家 客間

  三人正座。向かいに橘結。

  橘結「ごめんなさいバタバタと。」

  江戸紫「いえお忙しいのに突然お邪魔して申し訳ありません。」

  橘結「お父さん。じゃないわよね。」

  江戸紫「はい?ああ、はい親戚の子です。」

  橘結「それでね、折角長い階段登って来てもらって申し訳ないのたけど。」

    「主催はうちじゃないのよねー。」

  江戸紫「はい?」


10 小室道場前。立派な門にびびる江戸紫。

  ブラン「どうする熊みたいなおっさん出てきていきなり殴られたら。」

  江戸紫「どうして殴られるんだ?」

  ブラン「幼女誘拐犯に間違えられる可能性は高い。」

  シャリ「たのもー」

  江戸紫「うわっ止めろっ」

  シャリ「お手わせー。看板よこせー」

  江戸紫「お前自分で何言ってるのか判ってないだろっ。」

  慌てて口を塞ぐ。

  門の向こうの戸が開く。

  長身の女性

  小室絢「今どき道場破りとは珍しい。どうぞ中へ。」

  シャリ「よし逃げろっ」

  駆け出そうとするシャリを止める江戸紫


11 小室家 客間

  三人正座。

  ブラン「ここも広いな。」

  江戸紫「広い。」

  シャリ「今こそライズからのコークスクリューを」

  江戸紫「いけませんっ」

  小室七夕(なゆ)が麦茶を持って現れる。

  七夕「いらっしゃいませ。」

  ブラン「七夕まで行儀がおかしい。」

  七夕「おかしくないっ。」

  小室七夕の母、小室絢が部屋へ。

  小室絢「おかしいって何だ七夕。」

  七夕「ひぃっ」

  小室絢「待てこらっ。」


12 小室家 客間。

  三人正座。向かいに小室絢。

  小室「七夕から聞いて保護者の承認得られればいいよって答えたけど」

    「君が保護者?お父さんって年齢には見えないな。」

  江戸紫「親戚の子を預かっています。」

  小室「本当は道場に通っている子だけなんだけど。」

    「七夕から誘ったみたいだからね。」

  江戸紫「そうなんですか?」

  江戸紫、ブランシェに

  江戸紫「てっきりお前が強要したのかと。」

  ブラン「失礼な保護者だ。」

  江戸紫「お前たちの肩身狭くならないか?」

  小室「それは大丈夫。うちの子ら皆賑やかだから。」

    「何だったら君も来る?」

  江戸紫「あ、いやその日バイトで。」

  小室「そうか。あ、何なら道場通うか?三人共。」

  江戸紫「三人?」


13 頼代駅前 中央通り。オラに向かい歩く。

  映画館パラダイス前。

  桜井「エド。」

  パラダイスから出てきた桜井と鉢合わせ。

  江戸紫「あれ?今日休み?」

  桜井「うん。エドは?」

  江戸紫「夕方からバイト。」

  桜井「それまで暇ね。お昼付き合ってよ。」

  江戸紫「はい。」


14 オラ店内

  松田が案内する

  松田「デートの帰り?」

  桜井「そこでたまたま一緒になったんだよ。」

  席に着く二人。水とおしぼりが運ばれる。

  手を拭きながら

  桜井「あの子達はどうしたの。」

  江戸紫「道場の見学。」

  桜井「でお前は?パラダイスにいるかと思ったのに。」

  江戸紫「その子達の付き添いに行ってたんだよ。」

    「それで、どうしたの。」

  桜井「どうしたのって?」

  江戸紫「何か相談事があるんじゃないの?」

  桜井「そーゆーのは判るんだ。」


15 オラ店内

  桜井「実はさ」

    「うちのバレーチームそこそこ強くてさ。

    「新しいユニフォーム作ったからモデルになって欲しいって。」

  江戸紫「うん。いいんじゃない?」

    「ファッション雑誌やらテレビやらに出るわけじゃ無いんでしょ?」

  桜井「出るんだよ。」

  江戸紫「はい?」

  桜井「この間の全国大会でファッション雑誌の人に名刺もらった。」

  江戸紫「どういう事。」

  桜井「ユニフォーム着ての撮影はもう終わってるんだ。」

    「それをメーカーのカタログにも乗せたいって話になって。」

    「そこの人が雑誌のモデルにもどうかって紹介したらしい。」

    「メーカーやら広告代理店やら通って会社に連絡が入ったんだとよ。」

  江戸紫「随分と追われたねぇ。」

  桜井「まったくだよ。」

  江戸紫「で?どうするの?」

  桜井「どうしたらいい?」


16 頼代駅前。中央通り。江戸紫がオラから杉本書店裏口。

  江戸紫がバイト入り。

  杉本書店。お客が1人店を出る。杉本レジから

  杉本「ありがとうございましたー。」

  自動ドアが閉まりきると同時に杉本、江戸紫が同時に溜息。

  江戸紫「どうかしました?」

  杉本「エドこそ。」

  江戸紫「僕はどうもしていないですよ。」

  杉本、休憩室を一度見てから

  杉本「コレ。」

  と、お見合い写真を江戸紫に見せる。

  江戸紫「お見合いするんだ。」

  杉本「するって決まったわけじゃないのよ。」

  江戸紫写真を見ながら

  江戸紫「男前じゃないですか。」

  杉本「まぁねぇ。」

  江戸紫「何が気に入らないんです?」

  杉本「何もかもよ。」

  何時の間にか隣にいるブランシェア。

  ブラン「大佐不機嫌なの珍しいな。」

    「お見合いの一つや二つすればイイじゃん。」

  杉本「断るの判っていてお見合いするのも失礼でしょ。」

  江戸紫「断るかどうか会ってから決めれば?」

  杉本「今のところ結婚するつもり無いのよ。」

  江戸紫「じゃそもそもなんでお見合い写真なんか。」

  杉本「私じゃなくて親が結婚させたがっているのよ。」

  ブラン「じゃ断れよ。」

  杉本「勿論断ったわよ。世界進出に男は邪魔よ。」

  江戸紫「凄腕のビジネスマンだったら?」

  杉本「そうしたらその男の手腕だって言われるでしょうよ。」

  江戸紫「そんなもんかなぁ。」

  ブラン「そう親に言ったんだな?」

  杉本「ええ。」

  江戸紫「で?」

  杉本「アメリカ行ってこいって。」

  一同「は?」


17 オラ店内。

  桜井1人でコーヒーを飲みながらファッション雑誌を見ている。

  松田「おかわりは?」

  桜井「あぁうん。貰うよ。」

  松田「その雑誌?」

  桜井「うん。」

  松田「返事したの?」

  桜井「いや。まだ。」

    「珊瑚だったら引き受ける?」

  松田「うーん。ワタシは朱莉ちゃんじゃ無いから。」

  桜井「そうなんだけどさぁ。」

    「じゃあさ、オーディションも無しで」

    「誰かの知り合いだからってだけで出演依頼きたら引き受ける?」

  松田「話は聞いてみるわ。」

  桜井「ああ、そりゃそうだようなぁ。」

    「質問がおかしかったか。」

    「うーんと。」

  桜井しばらく考える。

  松田「質問思いついたらお呼びください。」


18 杉本書店。客なし。

  杉本「マジメに聞くけど、エドは正社員になるつもりない?」

  江戸紫「はい?」

  杉本「翻訳の仕事って不安定なんでしょ?」

  江戸紫「ええまあ。」

  杉本「就職しない?」

  江戸紫「ちょっと待ってください。」

     「有り難い申し出ですけど

     「そんなに簡単には決められないですよ。」

  杉本「そう?なんで?」

  江戸紫「なんでって。」

  杉本「エドが社員で店番してくれれば私も安心してアメリカ行けるわ。」

  江戸紫「バイト雇って廻せばいいじゃないですか。」

     「何だったら休業にするとか。」

  杉本「一応本店よ。」

  江戸紫「でも本部はとっくに移転したんでしょ?」

  杉本「それはそうなんだけどね。」

  何時の間にかシャリとブランがいる。(ガリガリ君食べている)

  ブラン「何が引っ掛かるんだよ。」

  杉本「私ね、こーゆー本屋好きなのよ。」

    「わが街の本屋さん。みたいなの。」

    「大きなチェーン店じゃなくて小さなお店で」

    「レジ打ちするだけの人じゃない」

    「商品知識も豊富な店員のいるお店。」

  ブラン「時代にゃ合わんな。」

  杉本「ええ、合わないでしょうね。」

    「でも世界進出するならいろんな形態の本屋を知る必要があると思うの。」

  ブラン「なるほど。単純にもっと判断材料を増やしたいのか。」

  杉本「ええ。」

  ブラン「じゃ行けばイイじゃん。」

  杉本「だから」

  ブラン「大きな何かを得るには大きな何かを失う。」

  シャリ「そしてたいていの場合得た喜びよりも失った悲しみが大きい。」

     「人はその後悔を背負い、それでも目先の喜びを求め続ける。」

  江戸紫「お前達は何を言っている。」


19 早朝。小室道場前

  バスが止まっている。道場に通う子供達が集まっている。

  江戸紫がブランとシャリを連れて挨拶

  江戸紫「間違いなくご迷惑お掛けします。申し訳ありません。」

  ブラン「まだ何もしてねぇっ。」


20 江戸紫宅

  部屋で一人PCに向かう。キーボードの音と蝉の鳴き声。


21 正午過ぎ。江戸紫宅

  部屋で一人PCに向かう。キーボードの音と蝉の鳴き声。

  バイクの音。止まる音。外階段を歩く音。ドアチャイム。

  江戸紫「開いてるー。」

  青山が部屋へ。コンビニの袋を持っている。

  

22 午後 江戸紫宅

  コンビニの弁当容器を片付ける江戸紫。

  青山「お前も行けば良かったのに。」

  江戸紫「バイト。」

  青山「杉本さんなら休みくれるだろ。」

  江戸紫「あの二人これで気が済むんじゃないか?」

  青山「俺の気が済まないっ。」


23 朝、オラの駐車場。雨。

  ブラン「だから連れて来るなって言ったんだーっ。」

  シャリ「(必死に)置いて行こう。ね。置いて行こうよ。」

  青山「大丈夫だよ。オレ晴れ男だから。」

  江戸紫「いや、ホント本気で自分が雨男のような気がしてきた。」

  ブラン「気のせいじゃねえっての。」

  シャリ「テンシとアクマが言うんだから間違いないよ。」

  桜井「エドちょっと凹んでるでしょ。」

  松田「かなり凹んでるわね。」

  青山「雨男がいようと知った事か。」

    「うだうだ言ってねぇで全員乗りやがれ。」

  ブラン「雨の海行ってどうするんだよー。」

  青山「うるさい。晴れるから乗れ。」

  シャリ「晴れなかったらどうするんだよぅ。」

  青山「そのときはエドを埋めて太陽神に捧げる。」

  松田「青山君この前から何かヤケになってない?」

  青山「なってませんっ。」

  桜井「(江戸紫に小声で)なんかあったの?」

  青山「何こそこそ言ってるんだ?乗れ。オマエラ。」

  車に乗り込む。


24 ドライブ中。

  青山が運転。助手席に桜井。


   桜井    青山

  シャリ エド ブラン

  杉本  東雲  松田


  の順で乗っている。

  桜井「なあ。どうしてわざわざ県外行くんだ?」

  青山「そっちは晴れてるから。」

  桜井「ああなるほど。」

  

25 海。浜辺。晴れ。

  青山「どうだ!」

  ブラン「さすが変態DJ」

  シャリ「変態!変態!」

  青山「体操したら行くぞ!」

  ブラン、シャリ「オー」

  松田「エドは泳がないの?」

  江戸紫「何で泳ぐの?」

  杉本「そこに海があるからよ。」

  

26 海の家。

  江戸紫が一人でかき氷を食べている。

  店の中は混雑している。

  誰かを見るでもなくただボケっと海辺を眺める。

  そこにシャリとブラン。

  ブラン「泳げないのか?」

  江戸紫「泳がないんだよ。」

  シャリ「カキ氷~」

  ブラン「ワタシレモンでシャリはメロンな。」

  江戸紫「買えって言っているのか?」

  ブラン「判ってるなら行ってくる。」

  江戸紫が席を立ち混雑しているレジへ向かう。


27 海。夕方。浜辺。人も減っている。

  全員着替えを済ませている。

  シャリ、ブラン、松田、桜井、青山が砂で城を作っている。

  東雲は寝ている。

  少し離れた場所に座って城作りを見る江戸紫、

  その隣に杉本が立って海を見ている。

  杉本「翻訳って何処の国の言葉訳しているの?」

  江戸紫「日本語と英語とスペイン語。」

  杉本「ちょっとは喋れたりするの?」

  江戸紫「ついばむ程度でしたら。」

  杉本「将来は通訳にでもなるの?」

  江戸紫「そんなレベルじゃないですよ。」

  杉本「一緒にアメリカ行かない?」

  江戸紫「は?」

  杉本「私英語苦手だから」

  杉本台詞の途中で城を作っている皆から悲鳴。

  それを見る江戸紫と杉本

  半分以上崩れている城。

  ブラン「この変態DJ!」

  シャリ「埋める!このDJ埋めつくす!」

  松田「シャリちゃんが怒ったわ。」

  青山「待て。俺を埋めたら帰れなくなるぞ。」

    「埋めるならそこに寝ている奴にしろ。」

  ブラン「何て奴だ。」

  シャリ「やっぱり埋めるしかないな。」

  江戸紫「あーあ。ちょっと止めてきます。」

  江戸紫立ち上がりシャリ達の元へ。


28 浜辺

  シャリ「(泣きながら)こいつは埋めるしかないんだ!」

  江戸紫「待て待て。かわいそうな奴なんだから待て。」

  ブラン「何だそのかわいそうってのは。」

  江戸紫「いいか。よく考えろ。」

     「せっかくの海なのにどうして皆一緒に来るんだ。」

  シャリが元気に

  シャリ「皆一緒だと楽しいからーっ」

  江戸紫簡単に受け流す

  江戸紫「そうだな。」

  ブランに向かって

  江戸紫「わかってやれ。」

     「海だぞ。本当なら2人きりで来たいだろう?」

  ブラン「ハッ!」

     「そうか。そうだったのか。」

  ブラン、青山のところへ行きハグ

  ブラン「許す。今日は許してやるぞ。」

  シャリ「シャリもゆするー。」

  ブラン「ゆするな。」

  桜井「何がどうしたってのよ。」

  江戸紫「沈み行く夕日に向かって叫びたくなる事もある。」

  桜井「は?」

  

29 夜。浜辺。

  花火をしている。

  

夏は嫌いだ。暑いのは嫌いだ。

何かが起こりそうな開放的な空気が大嫌いだ。

僕は自分の過ごしやすいように夏を過ごす。

何も変わる事なく、ただ通り過ぎるだけの夏。

それで充分なのに。

夏の夜の浜辺で花火を持つ自分がいる。

しかも、笑っているなんて。

もうすぐ、大嫌いな9月になるのに笑っている。


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