お金
昼休みが始まったばかりの12:40頃、東は昼食を摂ろうとしていた。
今日の弁当は、東の大好物である唐揚げが入っている。
唐揚げのほかにはレタスやポテトサラダ、そしてタコさんウィンナーも入っている。視線が仕切りを跨ぐと白米が詰められており、その上には梅干しが一粒乗せられている。
仕切りが真ん中にあるはずなのに、白米は自分の陣を守らず唐揚げの陣にまで乗り込もうとしている。しかし、唐揚げ及びレタス・ポテトサラダ・タコさん連合軍も負けずと総動員までして均衡を保とうとしている。
一段の弁当箱に些か「詰め込み過ぎでは?」と思う東であったが、いつものことでもあるし母親には早起きしてまで作ってもらっているので文句なども言えず、寧ろ感謝を言わなければならない東であった。
しかし、「詰め込むのであればせめて二段にすれば良いのに」という文句とは違うアドバイスをいつも思っていたが、アドバイスさえも言えない東でもあった。
東が昼食を摂っていると教室右前方の席から何やら話し声が聞こえてきた。東の箸が止まる。
「ねぇ、峻煕ー。いつデートする?」彼氏とのデートのプライオリティが高い鹿島。「短いスパンのうちにデートしすぎだろ。」と思う東。鹿島と峻煕のデートは週末の日曜と放課後を合わせて週に1~2回ほどある。
大学生みたいに余裕があるわけでもないのに高校生が勉強よりもデート(色恋沙汰)に時間を割くなど言語道断。勉強が終わっているのならごちゃごちゃ言うことはないのだが・・・なんて考えた後には箸の動きが再開する。
「うーん。京介とも遊ぶ約束してるし今月中はムリかなぁ。」彼女とのデートのプライオリティは尊重しつつ、先約を重要視して日取りを決めようとスマホをチェックする。
「えぇぇ!ムリなの?じゃあ、来月は?」大仰に動揺する。鹿島にとって峻煕という存在は酸素よりも大切な存在であるのだ。知らないけど。
「来月の初めはたぶん空いてると思うけど、今金がないからなぁ。」日取りはどうにかなるが、現在はお金に苦悩しているようだ。東は「どうせ学校に隠れてバイトでもしているのだろう。」と証拠が揃ったら先生にでもチクってやろうとまで考えた。事実、峻煕はバイトをしている。何のバイトかは知らないが、給料日前らしい。低賃金でしょうが。
「えー。じゃあ、ダメってこと?」愚痴を漏らす鹿島。不満げに口をとがらせている。
「ダメってことはないけど、来月の末になるまではムリだな。」どうやら給料日が来月末に近いらしい。ちゃんと働いているようだ。
「ウチが出すから、それじゃあダメ?」峻煕よりも金を持っているような素振りを見せる。デート代も結構かかるものだ。払ったこともデートの経験もしたことないけど。食事代や買い物代、遊興費、公共交通機関を使うのであれば運賃などが必要。それも二人分。親に強請っているのも無きにしも非ずだが、二人分も女子が強請るともお思えない。峻煕と同様に隠れてバイトでもしているのか。しかし、この教室にいてガールズトークを聞いているときには鹿島の口からバイトのことを聞いたことはない。バイトの話題がなかったわけでもないが、意図して避けているようにも思えた。ということは・・・“闇”が感ぜられる。噂でも見知らぬオジサンと夜の街へ消えていったとかそんなことを言っている奴もいたが、あくまでも噂だ。噂の域を出ない。が、以前から校則を破っていても特に咎められることもなかった。至るところにそういうオジサンがいるのだろうか。そうしたら、お金にも気苦労する必要もないことが合点いく。まあ、あくまでも噂だ。これらは憶測に過ぎない。見たわけでもないのだから・・・
なんてことを考えていたら、二人の会話を聞き損じていた。聞き損じた会話の一文は聞き損じた会話の前後から推察するに・・・・・・
「ダメ、ダメ。俺が出さないと、俺のメンツが許さないから。」だと思う。なにが『俺のメンツが許さないから。』だ!今さら気障な言葉を言いやがって。
ふんっ!・・・・・・・僻みがこれ以上思い浮かばない・・・
「やっぱ、峻煕はカッコイイ!!うっとり・・しちゃうなぁ・・・・・」始まったよ。ほら、始まった・・・ 日取りが何月何日かを決めてからやれよ。
「これがいつもの俺だぜ?」本日2回目の気障な言葉。東の声はまるで届かない。そりゃあ、声を出してるわけでもないから当然といえば当然だ。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!カッコイイィィィィ!!!!」拍車がかかるわかかるわ。
二人は二人の世界の中で会話を続ける。
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二人の世界に閉じ籠った二人は置いておいて、東は昼食を片付けようと奮闘する。
二人の世界で鹿島と峻煕は会話もさながら互いの弁当の具、特に卵焼きをあーんさせあっている。二人の世界には笑顔しかなかった。
東は一人で弁当に向き合い、左右に分かれたおかずと白米のバランスをとりながら奮闘していた。一人の世界には笑顔などなかった。
一人の世界と二人の世界、人数でこんなにもムードが違うことは小学生の頃から知っていた。
小学生の頃は給食、中学生の頃も給食。机を合わせて隣・前後の人と班を作る。班を作って給食となる。一見人数が多いから二人の世界のように良いムードになると思うかもしれないがそれはまやかしだ。ただ、隣に前に左斜め前に右斜め前に人がいるからと言って、楽しくなることなどなかった。両隣の人が私を挟んで会話のラリーを続ける。私に会話が来ることなどほとんどなかった。会話が来た時があっても、単語で答えるだけだった。別に、話しかけてほしいとか話しかけるなとかということではなく、どっちでもいいという考え方であったが、話しかけるなの方が気持ち多かったかもしれない。
だから、一人の世界では慣れている・・・と思いたい。そう信じたい。
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東が昼食を摂り終えた後、昼休みも半分ほどになった時分。始まる。
さあ、今回の“テーマ”は例の二人の会話から見つけ出している。
それは・・・・・・・・・・・・・『お金』だ。
『お金』・・・それは、資本主義の世の中を生きるうえで一番大事なもの。
そんな『お金』について考えていく。
お金というものは人を惑わせる・動かす強大な力がある。お金は誰にとっても欲しいものであり、それもできることなら何百万・何千万円といったお金を欲するであろう。
そりゃあ、私もお金はたくさん欲しい。もちろん、高校生では限界がある。
そこで、一つ目の問題が出てくる。それは・・・・・・・
『楽して大金を掴むにはどうしたらいいのか問題』だ。
資本主義の世の中でもどうしても貧富の差が残っている。資本家が大きな得をして、労働者は小さな得しかしない。資本家は小さな労働力で大きな富を得る。それに対して、労働者は大きな労働力で小さな富を得る。
私は政治家でも何でもないので抜本的に世の中を変える力も知恵もないので、資本主義の中でいかに労働者階級の人が資本家階級に対抗できるか、乗り込むのかという視点で考えていく。
もちろん、裏金や汚い金、身体で稼いだ金などは倫理上の問題から外していく。
まず、一つ思いつくのは「大手企業に就職すること」だ。大手企業に就職すれば、待遇も良く給料も一般の企業よりも良いところも多い。仕事もそつなくこなしていれば労働者ながらも金は貰える。しかし、労働者は労働者だ。重役になっているわけでもない。まず、競争率も高いのでその大手企業に就職できるかも危うい。就職したとしても、出世街道を進むには人数が多すぎる。つまり、「大手企業に就職すること」は難しいのである。
では次に、出世せずとも重役に身を置く方法を考える。一つしかないだろう。
「社長になる」だ。社長になるなど無理だと思う人もいると思うが、今のご時世高校生・大学生でも社長になる人もいるのだ。クリエイティブな発想と行動力、信頼・人望そして知識。これらがあれば誰でも社長になれる。もちろん、お金も必要にはなるが500万あれば会社はできる(規模にもよるが)。確かに、いざ行動しようと思っても500万は大金だ。しかし、大切なのは周りの人を巻き込む力が必要ということだ。だから、ある程度の青写真を描き、具体性を持たせるということも大事だと思う。しかし、社長になれるのも一握り。そのうえで成功するのも運が必要だ。
次は、競争率の低そうな職業に目を向けよう。
それは、「印税を得られる職業」だ。例えば、歌手や作曲家・作詞家、それらを纏めたシンガーソングライター、小説家や漫画家などになれば印税生活が送れる。ただ、売れるまでの道のり・才能・運が必要だ。才能がなくても運さえあれば活躍することが出来る。ついさっきまで無名だった歌手が小説家が漫画家が一曲の歌・一冊の本で人生を変えることもある。夢を諦めずにやってみれば意外と売れるかもしれない。確証はないけれど。
次は上記のものとは打って変わって簡単そうなものを選んでみた。
それは、「玉の輿に乗ること」だ。
男も逆玉に乗ることも出来るが、女の方が玉の輿には乗りやすいだろう。
金持ちの男を見つけて、結婚して甘えればそれなりの裕福な生活を送ることができるだろう。ただ、どこでそんな男を見つけるのかは知らないが。まあ、確実に捕らえたいのならば高望みにならないことをおススメする。
さあ、次は確実にお金を得られるものとは違うが努力などは必要なく大金を得られる方法を見てみよう。
それは、「宝くじ」だ。
これは『運』さえあれば他は何もいらない方法だ。当てるために努力する必要もない。だが、そんなに当たらない。当たる確率はものにもよるが1000万分の1の確率で当たるようだ。しかし、数字予想型の宝くじやスクラッチ方式の宝くじは100万分の1を切り、25万分の1や5万分の1など比較的当たりやすくなっているものもある。もちろん、比較的当たりやすくなっているものは当選金額が10万単位から300万ほどのものであるが、300万でも十分大金となっている。宝くじ以外にも競馬やボートレースなど高額当選しやすいものもあるが、それらは宝くじと違って課税対象になってしまうので要注意である(詳しくは各自で調べるように)。
当たるまで辛抱強く買い続ける事がなによりの秘訣だ。
もう少し、堅実的にそして確実に稼ぎたいのならば・・・
「株や投資」をやってみてはどうだろうか。
難しいかと思うが大学で経済について知っているだけでも有利にはなる。
長期的に見て売るタイミングを見誤らなければ損をすることはない。
外国為替の場合はドルや円だけではなくユーロやオーストラリアドルなど複数に分けて持っておくというのも重要。銀行の場合も複数の銀行に預けておくということも重要。
株だけじゃなく上記のことに通ずるものではあるが、初期費用となる資本は必要となってくる。つまり、長々と書いてはきたが金がない状態ではできないことは留意していてほしい。
まあ、つまり資本家階級になって大儲けをするのには
「やってみる」「才能がある」「運がある」「知識がある」「周りに人がいる」の5つが大切ということだ。
5つの中で最も大事なのは「やってみる」だ。やってみなければ才能があるかどうかもわからないし、やってみなければ運があるかもわからない。やってみれば知識も人も後から付けてでも遅くはない。
いろんなことに挑戦して成功を収めよう。才能も運もない場合はあるが・・・
まあ、まだ高校生風情の私であるので鵜呑みにはしないように。あくまでも目安になればと思っている。
でも、これだけは言える・・・血や汗を流して働くことが一番なのだよ。
次に、問題・・・というか私的に気になることがある。
それは・・・・・・・・・・『昔の紙幣の肖像画の人物知らない問題』だ。
皆は紙幣・・・お札を毎日見かけることもあるだろうが、お札のことをどれだけ知っているのだろうか。
お札の正式名称は「日本銀行券」これは誰でも知っている。
まず、現在に出回っている(発行中の)お札の肖像画の人物について見てみよう。
1万円札に載っているのは福沢諭吉。福沢諭吉は簡単に言うとすんごい人。
5千円札に載っているのは樋口一葉。樋口一葉は簡単に言うと凄い人。
千円札に載っているのは野口英世。野口英世は簡単に言うとスゴイ人。だ。
次は出回っているが製造が終了している物を見ていこう。
これからが知らない人が出てくる。覚悟しておくように。
2千円札の裡に載っているのは紫式部。まあ、すごい人。
1万円札に載っているのは聖徳太子。今やほんとにいたかもわからない人。
5千円札に載っているのは新渡戸稲造。ものすんごい人。
聖徳太子。またまた登場聖徳太子。
千円札に載っているのは夏目漱石。まあ、すごい人
伊藤博文。初代総理大臣、すごいね。
聖徳太子。また、お会いしましたね。再登場。
日本武尊。古事記に出てくる居たのかもわからん人。
5百円札に載っているのは岩倉具視。マジですごい人。
2百円札・百円札・20円札に載っているのは藤原鎌足。時代創った人。
2百円札・5円札・1円札載っているのは武内宿禰。
300年余り生きたっぽい伝説上の人。たぶんなんかの間違い。
百円札に載っているのは板垣退助。非常に素晴らしい人。
聖徳太子。また、あなたですか。もういいですよ。
50円札に載っているのは高橋是清。尊敬すべき人。
20円札・5円札に載っているのは菅原道真。受験時にはお世話になりました。これからも宜しくお願い。
10円札に載っているのは和気清麻呂。悪人に屈しない礼賛を送るべき人。
10円札・5円札・1円札に載っているのは神功皇后。ほんとにいたのかなあ?
1円札に載っているのは二宮尊徳。勤勉なことはいいことですよ。でも、最近見ないですね。
などなど、知らない人物だけじゃなく存在までもが怪しい人物が結構いるのである。
まあ、日本人は昔から迷信深く伝説上の人物もしっかりと崇める性質なので良いことは良いことであるが、現在はもう忘れられているのだ。そんな、忘れられている偉人たちにもう一度光をライトを当てたいだけなのだ。どうか皆はこの偉人たちを忘れないでいてほしい。ただそれだけなのだ。
キーンコーンカーンコーン
もう、時間のようだな。今日は学活が5時間目にあるな。どんな内容なんだろうか。
楽しい時間だったな。一人でこんなにも楽しめるとは僕は幸せ者だなあ。
んじゃ、さらばだ。