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独り言  作者: 玄冬玄武
5/8

勉強

4時間目も残り3分を切ったころ


「ということで、ここでの筆者の言いたいことは・・・・」

教壇の女性教師が教科書に載っている作品の説明をしている。

教壇に立っているのは袋田ミサキ 25歳 2-1担任の国語教師 

今年の春から赴任してきた新人教師だ。背丈は157㎝ほど少し小柄である。

髪は黒髪、顔はかわいらしさがあり、小柄な体と相まって子どもっぽい。

「他にわからないところがあればなんでも質問してね。」

「せんせー、わからないことがありまーす。」

五百田が袋田になれなれしく問いかける。

莫迦(五百田)が口を開くということは嫌な予感しかしない。)

「五百田くん。どこが解らないのかな?」

生徒に真摯に向き合おうとする袋田が合図を出す。

「せんせー、なんで筆者の言いたいこと筆者じゃないのにわかるんすか?

っていうかなんで勉強しなきゃいけないんすか?」

莫迦(五百田)め中高生特有の変な疑問を出しやがって。口を少しは慎むことは出来ないのか。袋田先生、大丈夫、先生は新人と雖も立派な教師だ。自分の教師としての意見を吐き出してこの莫迦(五百田)に知らしめてやれ!!)

「え?・・・え・・っと・・・・・それは・・・・そ・その・・・

私たちでも筆者の伝えたいことは伝わるし・・・それに・・・

君たちは高校生だから勉強しないといけないから・・・・・」

(うーーん・・ちょっと吃ってしまっている。高圧的にでも言ってくれたらいいん

だが、そうはできないタイプかぁ。)

「えーでも、本当に筆者の言いたいことかどうかわかんないじゃーん。」

(素直に言うことを聞けばいいものを・・・小癪なガキめ。)

「え・・・でも・・・」

いきなり新人なのに担任を任されてしまって緊張していた日々、

教師としての日が浅いなりにもちょっとずつ慣れてきた今日この頃、

こういう質問は予定していなかったのか口ごもってしまう。

「せんせーなら生徒のわからないことぐらい教えてよー。」

(あーあ、これだから無知なる愚民は困る、黙ってくれないのか。)

「う・・・い・いや・・・・でも・・・・・」

(先生が困っているだろ。今にも泣きそうじゃないか。堪えてくれぇ。)


キーンコーンカーンコーン


「き・・今日は・・・こ・ここまで!!」

チャイムが鳴ったのは幸い、

しかし、言い淀んでしまい居辛くなり手早く荷物を纏め教室から勢いよく出て行った。

(あーあ、耐えられなくなったか。気にしていなければいいのだが・・・)

チャイムが鳴り、教師もいなくなった」ことで静から動へと時間が動き出す。

いそいそと教室から出ていく者や少人数グループで昼食を摂るために机を動かす者

皆それぞれの行動をとる中(かまびす)しい教室に(かまびす)しい大声が加わる。

「ハハッハハッ・・・ちょっとからかっただけで泣きそうになってたぜ?」

五百田がしたり顔で自慢げに本宮に問いかける。

「ハハッ・・うるうるしてたけど、ちょっとやりすぎじゃね?」

袋田の涙目を見て少し心配したのか五百田に意見を言う本宮。

「でもそんなの答えられないせんせーが悪いじゃん、俺何も悪いことしてねーぜ?」

全く悪びれる様子は無い。

「それはそうだけど、あまり先生にはいうなよな。」

五百田の悪い癖を軽く制する本宮。

「わかったよ。それはそうとさ、早く購買行こうよ。」

友人の軽い忠告を軽く受け取りさらっと話題をそらす五百田。

「そういえば、ちゃんと今日は財布持ってきてんだろうな?もう、金は貸さないぞ?」

「今日はもう大丈夫だよ。ちゃんと、持って・・・・・・・・・・・・」

財布をスールバッグから出し財布の中身を確認した途端、顔を大袈裟に曇らせる。

「やっべ・・・32円しかねえ。お願い今日もお金貸して?一生のお願いだから。」

「また・・・おまえってやつは・・・・・・・・・・・・・・」

「仕方ねえな。いくぞ、購買。」

「はい!!!」

何処かで見たことのある一連のやり取りを終わらせ教室を出る二人。


-------------------------------------------------------------------------------------

昼食を早々に食べ終えたその後・・・


さあ、肚が膨れたところでいつも通り暇つぶしといくか。

テーマはもう決まっている。さて、今日のテーマそれは・・・・・・・・・・・・

『勉強』だ。


莫迦(五百田)の言うことに答える気は毛頭なかったが、先生が答えられなかったので

先生の代わりに答えることとしよう。

あくまでも教師としての見地を持って答えたいと思う。


まあまず、高校にまで進学し高校も1年を過ぎ、勉強の意義や勉強が面倒くさいとは

甚だおかしいことではあるが、私の考えを述べさせてもらう。


さあまず、莫迦(五百田)が疑問に思った国語についての勉強する意義を述べていこう。

何故国語を勉強するのか?日本人ならいや人間ならば母国語は

勉強する必要はあるだろう。母国語の研鑽には終わりはない。

つまり現代文は勉強しなくてもいいということはない。

では、古文・漢文はどうだろうか。

日本語(現代文)の本意は歴史(過去)にあるのではなかろうか。

現代文も古文・漢文も表裏一体、国語は学ぶ意義があるのだろう。


次は、数学だ。まあ私も理系ではないので必要性を述べる必要もないのだが、

述懐しておこう。

数学は論理的思考を養うことができる。日常生活で言うならば商品やサービスを

購入するときにお金が何円必要か、財布の小銭をいかに減らすか。

または、銀行や株などのお金を増やすのに何年かかりいくら儲けが出るのか

など日常生活に密接に関わっている“お金”についての思考力。

数学が出てくるのは“お金”に限ったことではない。

数学が必要になる職業はたくさんある。例えば、エンジニアやプログラマーなど

機械やPCを扱う職業では必ず出てくる。またゲーム会社につきたいのであれば

必須と言えるであろう。ほかにも、国家資格を要するものや建設会社、

研究者などが数学が必要であろう。

つまり、数学だけに言えることではなく勉強全般に対して言ううのだが、

自分の将来設計への選択肢を広げるということが第一であろう。

社会に出て役立つだとか役立たないだとか言う人がいるが、その人は本当に

自分の将来設計について考え、取捨選択したことがあるのだろうか。


さて、次は英語だ。日本人が抱える“言語の壁”。

日本語と英語は全く語順が違うし、日本語ほど英語には自由度がないため

個人的には日本人が英語を全員が全員習得できるとは思っていない。

しかし、これからはグローバルな時代のため皆無とはいけないだろう。

実際問題、日本人は英単語は結構な量を覚えている。

つまりあとは語順の問題だけではなかろうか。

皆無ではなくある程度(なんとなく何か言っているかわかる)くらい出来れば、

私個人としては、親指を立てられると思える。


次は、社会だ。世界史・日本史などが苦手だという人も少なくはない。

社会科目は単なる暗記科目だと思う人もいるかもしれないがそれは間違いだ。

世界史・日本史は経験則を教えてくれる科目だ。

人間は自分自身が失敗しないと学ばない生き物だ。

例えば、小さな争いや諍いがあるとする。その小さな争いや諍いが大きなものと

なりさらに大きくなる。やがて世界規模にもなるだろう。そのまま、時間が進むに

つれ、犠牲者が増えることになる。そして長い時間が経った後沈静化した。

その大きな争いをこれからも経験しないといけないのか?いや違う。

人類が生まれてから約700万年、新人が登場してから約20万年。

もう、膨大なくらいの歴史があるではないか。

繰り返された歴史を学ばなければ、また同じ歴史を繰り返すであろう。

歴史を学び、同じ轍を踏まぬように過ちを未然に防ぐのである。

公民も苦手という人もいるが公民こそ大事であろう。

現代社会に生けるのであれば、公民を学ばないと損するだろう。

例えば、選挙などでは国のリーダーを決める大事なものだ。

政党のことを知らなければ投票しても意味がなく、国家が衆愚へと転んでしまう。

また、国内の政治形態・法律を知らなければ社会に出てもしがない人生にしか

ならないだろう。


そのほかの副教科も社会には役立つものが多いのである。


っていうかそもそも世間に出たことも無え、世の中の“世”の字も知ら無え

中高生風情のガキが「なんで勉強しないといけないの~」だとか

「勉強とかだりぃ~し、もっと遊びてえわ~」とか言ってんじゃねえ。

その疑問こそが愚問だわ。

人間の歴史が生み出した最善策だろうが、文句言わずに勉強だけしとけばいいんだよ。

国の言うことに反発するのはいいが、反発するだけでなく国の言うことは

聞いてんのか?愚民どもめ。莫迦しかいねえのかこの国は。

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ

イライライライライライライライライライライライライライライライライライラ


おっと、すまないちょっと取り乱してしまった。私ながら恥ずかしい。

あっ、もう数分でチャイムが鳴るな。掃除も始まるし5時間目は英語だ。

君たちもちゃんと勉強はするんだぞ。では・・・



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