表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
独り言  作者: 玄冬玄武
4/8

友達

ああ、どこもかしくも騒々しい。

いくら教室の中でももう少し声のトーンを下げてほしいものだ。


開かれた窓は、清々しい五月の暖かくやわらかい日光を取り込み換気を促している。

が、夾雑した雰囲気(ムード)までもは、換気してくれないようだ。

そんなことをすぐに忘れさせてくれるように、五月の暖かくやわらかい日の光は、

暖かさとともに冷めた私の心を融かしてくれるようだ。

今にも寝てしまいそうな、夢現真っ最中の時を強制的に遮断するものが現れた。


ガラガラガラガラッ!!バンッ!!

教室の扉が外れそうに、そして扉のガラスが揺れるほど勢いよく引きあけられた。

「いや~~午後の授業だるくね?5時間目世界史だしさ~。」

声帯が莫迦になっているかと思うほどの大音声で問いかけるのは五百田幸夫。

髪は坊主。野球部所属。背丈は169㎝程度。

よく言えばムードメーカー、悪く言えば問題児。

私はこの手の人間が一番嫌いだ。誰彼構わず、おちょくってくるような人間。

黒板を爪で引っ掻くような人間。先生を揶揄い授業を妨害する人間。

一番嫌いだ。何時も巫山戯ている。

ほんとに、ほん...愚痴ばかり言ってしまって済まない。ここらへんにしておこう。

「だよな~。マジだりぃ~。特に6時間目の数学な?」

五百田に賛同するのは本宮翔。髪は黒髪。男子バスケ部所属。

背丈は180㎝近い。彼女もいる(リア充)らしいが誰かは知らない。

周りからの評判もいい所謂イケメンというやつだろう。

一方的に軽蔑します。

「あっ!ヤッベ!数学の宿題当てられてんだった~。やってきてね~わ。

なあ、翔。宿題写させて?いっしょ~のお願い!」

大音声でしゃべる莫迦(五百田)がいるせいで意識をそらそうとしても集中できない。

宿題をやってこない莫迦など今時いるだろうか?・・・・・いるか。

「マジで?お前やってきてねえのかよ。俺は貸さないよ、ノート。」

駄弁ばかりで耳が腐りそうだ。できることなら莫迦(五百田)の声帯のみを

消音(ミュート)にしたい。捻りつぶしたい。

「うそだろ~!おねがいおねがい!たのむよ~俺たち友達だろ?」

「そうやってお願いするの何回目?一生のお願いはもうないだろ?」

いつも連んでいる莫迦(五百田)と違って本宮はだいぶ冷静(クール)なようだ。

性格が正反対の人間が連むとは些か本宮には興味がわく。

まあ、実際に話しかけるなど行動は起こさないが。

「これが最後だからさ、ノート貸して?」

「こうなるとお前一歩も引かねえよな?何年のつきあいだよ。

友達だからわかってるよ。ノート見せるからそれでいいのか?」

駄々をこねる子供と宥めるために仕方なく折れる母のよう。

「さっすが、翔!その持ち前のルックスとやさしさで彼女を射止めたのか。

男の俺でもクラっと来ちまうぜっ。」変化を見せない軽佻なままの五百田。

「冗談でもお前にだけは言われたくないわ。それはそうと、冗談は置いといて

ノート写さねえと6時間目に間に合わねえぞ。」

五百田の冗談を常套的に軽快に躱す本宮。

「悪りぃ、悪りぃ。」

いつもの二人の空気はいつもの一時的な終わりを迎えた。



-------------------------------------------------------------------------------------


否が応にも聞いてしまったものは仕方がない。テーマは彼らから抜き出すとしよう。


テーマは・・・そうだな・・・・・うん、決めたっ!



テーマは『友達』だ。友達の少ない私が『友達』について語る・考えるのも癪だが、

『友達』について独り言を言うとしよう。


『友達』・・・・・・か。『友達』って何だろう。

今まであまり考えてはこなかったが、今になって考えると実態がつかめない

靄に包まれたような存在だ。ぼんやりとしている、うむ難しい。


『友達』の定義も難しい。なにをもって『友達』というのか?

どこまで行ったら『友達』なのか?一緒にいる時間に比例するのか?

一緒にいる時間に比例するとして、

「一緒にいる」とは隣同士でいることなのか、将又同じ空間にいることなのか?

そもそも一緒にいれば『友達』なのか?うん・・・非常に難しい。

『友達』の定義を決めるとなれば、『友』の漢字の成り立ちを参考にしよう。

『友』の漢字の成り立ちは、「手と手を取り合う」象形文字からきている。

『友』の「ナ」の部分は「又(右手)」を表し、「又」も「又(右手)」を表している。

では、『友達』の定義は「互いに助けあう者」としよう。


さて、ここで出てくるのは

『互いに助けあうほどの関係でもないけど友達になって楽しもうよ』問題

が出てくる。

『友達』の定義は「互いに助けあう者」だ。

「友達100人作ろうよ」と言っている人がいるとする。

その場合『友達』の定義にそぐう人は100人中何人いるのだろうか。

100人中100人が『友達』の定義にそぐうということはまずないだろう。

では、100人中90人では?無理だろう。 100人中80人は?無理だな。

100人中70人では?いや、無理だろう。 100人中60人は?無理無理。

100人中50人半分では?まだまだ無理であろう。100人中40人?無理だと思うよ?

100人中30人?30人でも無理でしょ。100人中20人?無理かな?

100人中10人?少し希望が見えてきたかな?

100人中5人?ここぐらいが万人に作れる『友達』の定義にそぐう『友達』の

ボーダーラインだろう。

つまり、「広く浅くの交遊関係」でいいのか?という問題提起だ。

現代に蔓延るネット社会での人間関係の希薄。『友達』を作るのにそれでいいのか?

「広く浅くの交遊関係」でいると悪夢を見るぞ。

インターネットでいつでもどこでも『ペラペラな友達』を100単位で作り、

『友達』の定義に当てはまらない『友達』が多すぎる。

そこから悪い大人たちが近づき、金銭トラブルや身体関係のトラブル、ナンパだとか

女性(男性)かんけいのトラブルにも発展してしまう。

悪い出来事しか招かない。

数が多くても限界がすぐに来てしまうから親密度が下がってしまう。


では、「狭く深くの交遊関係」はどうだろうか。

「広く浅くの交遊関係」と真逆なため、『ペラペラな友達』を作ることなく

全員が全員親密度の高い『友達』の定義に当てはまる『友達』を

作ることができる。

『友達』は「狭く深くの交遊関係」『仕事』は「広く浅くの人間関係」

がちょうどいいだろう。

『友達』はウェットな関係を、『仕事』はドライな関係を作ることに

越したことはない。

そんな『友達』はウェットな関係を作る事と『仕事』はドライな関係を作る事とを

公私混同して使っている中高生(ガキ)が非常に多い。

本当に懊悩とはこのことだ。


私も『友達』は「狭く深くの交遊関係」を築いている。

私の『友達』は片手で数えられ・・・・・・3本指に入って・・・・・・・・・・・・

1人はいるがこれも「(極端に)狭く(極端に)深くの交遊関係」だ。

だから、「広く浅くの()交遊関係」の『友()達』を持つ人()をひどく軽蔑している。

「広く浅くの()交遊関係」の『友()達』を持つ人()はトラブル製造機でしかないのだ。


それに「学校」が友達を作る場所へと変容しつつある。

クラス全員が『友達』だとか『仲間』だとかばかげたことを言うやつがいる。

たった1年間しかいない奴とどうやって『友達』になれというのか?

なった心算でいるのも甚だ気持ちが悪い。

クラス単位で区切られ一纏めに、十把一絡げにされる。

それなのに近づこうとする輩がいる。頭がおかしいのではないかと疑うほどだ。

挙句の果てには、友達のいない者(ぼっち)は願いもしない方法で除け者にされ虐げられる。

非常に悲しい集団心理の現状だ。


まあ、もう少しは『友達』欲しいけど・・・・・・

話し相手の話を聞いたり、話し相手と話したいからもう一人ぐらい増やしたいけど。

そんな話はもういいんだ!!!!!!!!

終わりだ!『友達』の話なんてもう終わりだ!!!!!!


キーンコーンカーンコーン


良かった・・・・ふぅ・・・・

5時間目は得意科目の世界史だから準備しなきゃいけない。

それじゃっ!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ