時の環 ~インターミッション~
こんにちは。
日毎に土の中の温度が下がっています。
草が紅葉して枯れてその根本をみると、
新しい芽があります。
そこに情と愛を見出だすのは、人のお仕事かもしれません。
私は失った。
それだけはわかっている。私が飛べないのはなぜなのかは、わからない。
「私の翼は今どこにあるのだろう」
そう言いながら見る先は、大抵は空、更なる高みの蒼穹、そして天、または宇宙。
あんなに高くては、届かない。
赤い翼。
紅色の炎の羽。
虹をまとうあなた。
あなたはどこにいったのか。
まばゆく輝く円の中にいて、私を待つあなた。
円はどこにあるのか。
円とは何なのか。
なぜ
私は地べたを歩くしかできないのだろう。
私が行きたいのは、あの空、あの蒼穹の向こう。
なのに、どうして。
私を乗せて星の糸を編んだあなた。
星の髄からおもてへ沸き上がる、
止めることのできないほとばしりを、
私たちはからめて編んだ。
精霊王たち、けものの王、虫の者たち、鳥の長、人の代表たち。
たくさんの者と、歌い踊り、遊ぶ記憶。
星をまるごと祝い、笑い合った。
どこにいるのだろう。
私を背に乗せたあなた。
風を裂いて飛ぶのではなかった。
ただ風と共にあれば、翼と体の周囲に摩擦のない世界ができた。
懐かしい、せつない、
思い出。
私は最近、空を見上げる事はなくなった。
地面に生きる私には、遠すぎたので。
空の果てに行けないなら、地の底に行ってやる。
徹底的に這いつくばってやる。
そんな事を思う時があって、私は関心を自分に移したのです。
地の底に、探す翼はありませんでした。
でも、水晶の珠をたくさん保管する世界を見ました。
龍の出産を見ました。
木の根から植物の世界に入り込み、植物たちの共有する記録が網の目のように拡がるのを見ました。
山や川床に龍の柩を見たり、
行き宛を無くした巨大な人に出会った。
胸の辺りに火が灯る。
それは円。
丸い形のまばゆいものが、私の胸の辺りにあると気がつきました。
胸の骨の更にその奥に、
まばゆく輝く円を見つけました。
私を待つあなた。
私は、胸の奥深くにある円に、私を乗せた翼を見つけたのでしょうか。
まばゆい円の中で、あなたは飛ぶ。
ゆらめく虹色を纏うあなた。
今度こそ、私はあなたに会えるかもしれない。
また飛ぼうよ。
また飛べるさ。
と声がします。
風や、水が、言っているきがします。
地面の中や、太陽の陽射しに、そんな言葉がしまってある気がします。
私はきっと、あなたに会う。
そして再度、星を巡りましょう。
豊穣の力の担い手よ。
はやく、はやく、あなたに会いたい。
私のあなた。
あなたの源の輝きに、私は住む。
私たちは会う。
再び。
そしてもう二度と、分かたれない。
大好きなあなた。
忘れたことのないあなた。
まもなく、私たちは、会うのですよ。
そろそろ少年は星に帰ります。
世の中の少年は、色々なものに乗る。
いるかに乗ったり
はんようひとがたに乗ったり
鳥に乗ったり
何に乗るかはとても重要なのです。